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実験結果および考察

ドキュメント内 高精度波形整形に関する研究 (ページ 138-143)

第 5 章 高精度増幅器前置き型波形整形 (FROG 画像参照適応制御 ) 125

5.3 LC-SLM による位相変調のみによる増幅器前置き型最適制御実験

5.3.3 実験結果および考察

300 fsダブルパルス

定量的定性的な議論が可能なようにシンプルなプロトタイプとして300 fsダブルパルスの設計 実験を行なう.Fig. 5.5 (a)に ,ターゲット FROG画像を示す.このターゲット FROG画像は ,

0 1

-5 0 5 10 15 20

-300 -150 0 150 300

Time (fs)

(a) (b)

Fig.5.5 (a) Target PG-FROG trace calculated from (b). (b) Calculated target wave-form (thick line) designed with SA. Thin line represents ideal intensity wavewave-form used for SA calculation.

第5章 高精度増幅器前置き型波形整形(FROG画像参照適応制御) 132

Fig. 5.5 (b)のターゲット波形をからEq. (5.1)を用いて計算された.本システムでは最適化制御

を用いるので原理的にはターゲット FROG画像にはどのようなものを用いても良い.ここでは波 形整形器に位相変調のみを加えているが ,位相変調のみでは得られない波形をターゲット 波形と してターゲットFROG画像を用意しても良い .最適化アルゴ リズムは ,実験制約条件の中で最も 近い解を自動的に求めてくれるはずである.しかしながら ,ここではシステムのパフォーマンス を議論する必要があることから ,ターゲット 波形には実際に位相変調のみで得ることが可能な波 形を用意した .光源で ,与えられたスペクトルにおいてスペクトル位相フィルタリングのみで得 られることを計算機上で確認済みである.それを確認することによって ,実際に実験で得られた 波形とターゲット 波形を直接比較することが可能になり,システムのパフォーマンスの議論が明 確になる.

0 1

-5 0 5 10 15 20

-300 -150 0 150 300 Time (fs)

Intensity (a.u.)

(a) (b)

Phase (rad)

Fig.5.6 (a) Initial FROG trace when no modulation is applied to the LC-SLM. Only the gratings distance in the pulse compressor of the CPA is optimized. This FROG trace indicates that a large third order dispersion is inherent in the output pulse. (b) Reconstructed intensity (solid) and phase (dotted) distribution from the initial FROG trace (a). Sub pulses are due to the large third order dispersion.

再生増幅器から 得られ る初期 FROG 波形は Fig. 5.6 (a) である .この初期 FROG 波形を FROG再構築アルゴ リズムを用いて再構築すると Fig. 5.6 (b)となる.

この波形を初期波形とし ,Fig. 5.5をターゲット FROG画像として最適化を開始する.このと きのSAのパラメータは ,初期温度Tini = 1.0×107,温度冷却係数η = 9.990×101,グレー レベル(量子化レベル)2π/16 radである.

適応制御中のコストの減少の様子をFig. 5.7に示す.コストはEq. (5.5)によって計算される,

ターゲット FROG画像とリアルタイムモニタリングされている増幅器後の整形波形のFROG画 像の差なので ,このコストが減少していくにつれて ,測定FROG画像がターゲット FROG画像

第5章 高精度増幅器前置き型波形整形(FROG画像参照適応制御) 133

6 10-6 9 10-6 1.2 10-5 1.5 10-5

0 4 10-8 8 10-8 1.2 10-7

0 500 1000 1500 2000

Iteration #

Temperature

x

x

x

x x x x

Fig.5.7 Solid line represents the Cost function in respect of the iteration number.

Dotted line represents the system temperature given to the algorithm.

に近づく.最適化の結果375回のregular,288回のaccept,1337回のrejectが得られた . 最終的に得られたFROG 画像を ,Fig.5.8 (a)に示す.またそのときのマスク関数をターゲッ ト 波形のマスク関数と共に Fig. 5.9に示す.Fig. 5.8 (b)は 最終的にFROG解析によって得ら

0 1

-5 0 5 10 15 20

-300 -150 0 150 300

Time (fs)

(a) (b)

Fig.5.8 (a) Shaped FROG trace after 2000 iterations. (b) Reconstructed shaped waveform from FROG trace (a).

れた波形である.グリッド サイズ512×512で解析したときのFROGエラーは0.6 %であった .

第5章 高精度増幅器前置き型波形整形(FROG画像参照適応制御) 134

-15 -10 -5

0 5 10

Pixel #

0 32 64 96 128

(b)

Wavelength (nm)

775 800 825

750 850

Phase (rad)

-15 -10 -5

0 5

10

(a)

Wavelength (nm)

775 800 825

750 850

Pixel #

0 32 64 96 128

Fig.5.9 (a) Mask function of the target waveform. (b) Mask function of the shaped pulse.

様々な波形設計における波形整形システムのパフォーマンス

Fig. 5.10 (a),(b)にそれぞれ 200 fs間隔,及び 400 fs 間隔のダブルパルス設計例を示す.い

0 1

-5 0 5 10 15 20

-400 -300-200 -100 0 100 200 300 400 Time (fs)

target

shaped

0 1

-5 0 5 10 15 20

-400 -300-200 -100 0 100 200 300 400

target target

shaped shaped

0 1

-15 -10 -5 0 5 10

-400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 Time (fs)

target shaped

0 1

-15 -10 -5 0 5 10

-400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400

target target shaped

shaped

Intensity (a.u.) Intensity (a.u.)

Phase (rad) Phase (rad)

(a) (b)

Fig.5.10 (a) 200 fs separated double pulse. (b) 400 fs separated double pulse.

ずれもその強度比は異なるもののパルス間隔は良く再現されている.Fig. 5.11には ,チャープパ ルスをターゲット波形とした際のFROG画像参照適応制御波形整形例を示している.コヒーレン ト 制御では今だチャープ パルスなど の比較的単純な構造を持った光パルスを高精度に整形するこ とは重要である.3次分散の大きい増幅システムを用いた場合でも ,レーザシステムの高次の残留 分散は前置き型波形整形適応制御システムを用いて自動補償可能な事が示された .

第5章 高精度増幅器前置き型波形整形(FROG画像参照適応制御) 135

0 1

-5 0 5 10 15

-300 -150 0 150 300 Time (fs)

target shaped

0 1

-5 0 5 10 15

-300 -150 0 150 300

target target shaped

shaped

(a) (b) (c)

Intensity (a.u.) Phase (rad)

Time delay (fs) Time delay (fs)

Wavelength (nm)

Wavelength (nm)

Fig.5.11 (a) Target FROG trace calculated from target waveform in (c); (b) Shaped FROG trace after 3500 times iterations. Initial FROG trace is same as Fig. 5.6 where a large 3’rd order dispersion is inherent; (c) Target and shaped waveform. Shaped waveform is reconstructed from (b).

Fig. 5.12には flat-top波形をターゲット波形とした例を示す.こうした矩形波では立ち上がり

立ち下がり成分に高低周波成分が集まる.そのためにスペクトルの裾までかなり正確に整形しな くては急峻な立ち上がりや立ち下がりを実現することは難しい .本システムで用いたワンショッ ト計測可能なPG-FROGではスペクトルの裾まで正確に位相を求めることは難しいために ,整形 された波形の立ち下がりや立ち上がりがなまった波形になっている.

FROG画像参照適応制御波形整形システムのパフォーマンス

超高速コヒーレント制御においては複素電界を高精度に制御することが求められている.マイ ケルソン干渉系において 2つの光路が半波長,即ち位相πずれた場合には光は destructiveに干 渉する.同様に光のコヒーレンスは電子量子波束に転写されるので ,2つのパルスで励起する簡単 な例では電子量子波束の位相π 以内の精度で制御可能なように光パルスの遅延時間を精度良く制 御する必要がある.このように一般に超高速コヒーレント制御に整形波形をもちいる際にはその 精度を確保することは最も重要である.

プロトタイプとして行なったFig. 5.8の実験結果はターゲット波形のパルス間隔が良く再現さ れている.しかしながら ,ピーク強度には非対称性が見られる.この誤差は 2つの原因が考えら れる.一つは最適化の指標の残差であり,他方はFROG画像再構築の際の誤差である.最適化に よる誤差はコスト関数が零にならないことからも必ず存在する.FROGエラーも同様であり ,こ の両者を同時に0にできない限りターゲット 波形と完全に同一の波形を得ることはできない .し かし ,これらのど ちらが整形波形の誤差により重大な影響を及ぼしているかを調べることは ,シ ステムのさらなる高精度を実現するする上で重要である.

そこで FROG 画像から得られた再構築された時間波形 Fig. 5.8 から 再び Eq. (5.1) を用い て FROG 画像を再計算する .Fig. 5.13にその再計算された FROG 画像を示す .Fig. 5.13で

第5章 高精度増幅器前置き型波形整形(FROG画像参照適応制御) 136

0 1

-400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 Time (fs)

Target shape Calculated shape

0 1

-400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 shaped pulse

(a) (b)

(c) (d)

Time (fs)

Intensity (a.u.)Intensity (a.u.)

Fig.5.12 (a) Target FROG trace of a flat-top pulse; (b) target waveform; (c) shaped FROG trace; (d) reconstructed waveform.

は ,-150 fsと150 fsの成分のピーク強度に差が見られる.ピーク強度比は約0.69であり ,この 非対称性は波形再構築に用いた測定された FROG 画像Fig. 5.8 (a)には見られない .このこと

から ,Fig. 5.8 (b)の時間強度波形に見られる非対称性の誤差要因は主に FROG エラー ,即ち

Fig. 5.2 で示すFROG再構築アルゴ リズムの過程で加わると考えられる.これは一概に FROG

測定手法の不備を指摘しているわけではなく,FROG測定法を本システムに組み入れて用いたシ ステムとしての精度の限界を指摘している.

ドキュメント内 高精度波形整形に関する研究 (ページ 138-143)