1 当用漢字全数読み書き調査の方法
中学生の漢字習得の実態を調べるために,諸調査を企画実施したが,当用漢 字の習得状況は当用漢字罪数読み書き調査によってみることにした。
A 心用漢字全数読み書き調査の方法
当用漢字全数読み書き調査の具体的方法は次のようである。
当用漢字全数読み書き調査(付表外字の読み) 年間 2回
当用漢字1850字を当用漢字音調表で認められている音調すべてにわたって剛
胆する。
従来の漢字調査方法では,当用漢字(教育漢字)を調査する場合,どちらか の音か訓で問題を作るが,この調査では,当用漢字音訓表で認められている音 講ますべて調査の対象とした。したがって1850字3122音訓について調べること になる。
まず,入学の蒔,当用漢字の全数1850字(3122寄寄IDを調査し,それを年間 2回ずつ(各学年の1学期と3学期末)くり返し行なって,3年聞継続する。
岡一の生徒にくり返して調査するので,正しく読み書きすることが定着したか どうか,すなわち習得が完了したか否かを確かめることができる。定着が認め られた場合は,その文字を調査対象からはずして,薪たに,衰外宇を加えてい く方法をとった。
1.調査方法と問題作成
(1}漢宇習得と調査方法
調査方法・調査の問題作成について述べる場合,この調査で,漢字習得とい
第1章当用一宇習得調査の方法と結果の概観 37 うことをどのように考え,調査方法にとり入れたかを明らかにしておく必要が ある。
「習得」についての考察はあとに譲るが,漢宇の習得といった場合,学習し たその文字や語形を忘れることなく覚え,必要に応じて読み書きできるという 段階から,さらに,その文話の性質・機能を知って,その文掌の一般化や応用 化ができる,その文宇を食む未習の語句も類推して読み書きできるなど,年齢 や能力や経験などによって,習得といわれるものの内容に段階や程度があるも のと思われる。したがって漢字習得のための調査をする場合,厳密には,問題 作成の上で,一つの:文字について,いろいろな形で調べなければならず,現に,
提出語形によって反応に異同が生ずる場合もある。しかし,血温の漢宇調査を 実施する際に,1文学について幾種類もの語形で調べる煩は全数調査そのもの
を困難にする危険性がある。そこで,新出漢字として学習途上にある中学生に 対しては,学習した文字が誤まられたり,忘れられたりすることなく,正しく 読み書きできた状態をもって習得とみなすこと,提出語形は,なるべく中学生 にとって無理のない,親近性のあるものを対象とすることに努めた(文字によ
っては,1語だけでなく,2〜3語にわたって調べる)。:習得の条件をこのよ うに限定したが,読みの場合は,一つの文字を音痴にわたって調べたこと,継 続調査によって,習得の時闘的確度を調べたことにより,習得調査として,よ
り実態に近いものが把握できたと思われる。ここでいう文字の習得とは,以上 のような条件下でのことである。
く2)調査方法と問題
〈読み) 当用漢字の全音訓にわたる。
カードによる1対1方式(個人調査)
問懸例
i 教育漢字「通」(1音2訓の文字 ツウ/とおる か
i 交通
通 i よう)音訓をつくして問題を出すので,左図のよう
i通る 通う
… に見出しの漢字のほか,その文字の音と訓が出るよ
うな語形をあらかじめカードに記入しておいて,それを読ませ,反応集計表に 反応を詳しく記入する。
(調査法としていろいろの方法が鳶えられるが,小学6年生〈卒業ま近の児、
童〉にプリテストをしてみた結果,上寵の方法が,音・調の反応が嵐やすい。
ペーパーテスト〈読みの認入かなづけ〉より,調査者にとって,漢字習得の度
合いが判断しやすい一1対1方式なので,正しい読みの反応ぶり,1度で正
しくすみやかに読める,読み渋りがある,誤りと気づいて訂正する,など,ペ ーパーテストの結果だけでは知ることのできない反応の程度・過程もみられる 一テストの所要時問が早いなどの利点がある。)
(轡き)
読みでは,全音訓を調べたが,書きでは,原則として生徒に親近性のある読 み方のものをとり,問題があるもの,どちらともいえないものなどは,両方調
べる。
問題用紙に記入させる集団調査形式。
文掌の意隊がはっきりとわかりやすいような文脈や語句を示して,屠的の文 墨を記入させる。
問題例 「通」
つう とさミ かよ
「交〔通〕」または,「道を〔通〕る」で問題を嵐して,〔通〕うという語形では嵐 さない。
など れ
〔〕をあける。 西〔〕1965年。 など。
第1回調査での 教育漢字 16枚
テス ト用牽氏 教育漢字外当用漢字 22枚
(3}結果の整理
調査の結:果は文津別の個人用整理カードおよび文宇別の調査漢字整理表(&
人共通)に,整理記入する。
その際,正答,誤答,無答の別を開託し,誤答は,その誤りをそのまま記入 しておく。
第1章 当用漢字習得調査の方法と結果の概観 39 読みの場合は,1対1方式のたあ四丁の結果のみでなく1反応の過程や度合 いも見ることができ,正答でも,◎(すみやかに確答)と,○(渋っての正答,
自信のない正答。誤答したが自分で気づいて訂正する)の∫二種類に分けた。
書きでは,判定者が,明らかにその字として判断できれば,いわゆる点画の 長短,:方向,とめるかはねるか,つけるかはなすかなどについて,あまり,些 末な点にまではこだわらない(ことに,急いで書いたために字形がi整わないで 上記のチェック点がある時など)方針によったが,上記のような点画の不備の ために掌形としての構成上の欠陥にまで及ぶもの,宇義が変わるもの,たとえ ば,次のような二合は,判定基準を厳密にした。
〔例〕長短によって字形・宇義も変わる場合 土と士 未と末
点の有i無に関するもの 専:(×専)博(×博)
つき抜けるか,とめるかに関するもの 券(×券) 募(×募) 純(×純)
(個人用整理it 一一ド) (40ページ上の図)
パンチカードを用い,全数調査の読み書きの結果を文字別・個人別にカー ドに記入する。
読み書きの結果は,調査回数別に音翻それぞれの位置に記入,カ・一一:ド化す
る。
正答◎ ○(両者の区別は,◎がすみやかに正しく読めたのに対し,○は 渋り読み,ためらい読みあるいは一度誤ったが,のち,みず から正しく読み直したものを示す)
誤答誤りをそのまま記入
無答 /周囲はコ・一一ド化してあって,各回の調査時の結果,読み書き成績の別,音 訊の成績の差など,呂的に応じてパンチを入れ,整理を簡便にすることがで きる。8入各自}と,調査宇数の三木用整理カードがある。・
第2編漢字習得の実態に関する研究 40
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