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9. 4 国際協力のあり方

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北朝鮮に対する農業・農村分野での国際協力は、上述した「農業・農村 開発の課題」と「課題解決へのアプローチ」を念頭において、以下の項目 について総合的かつ有機的な視点で、多国間および二国間ベースで国際協 力を行う必要がある。

(1) 農業生産インフラ基盤の整備・・・灌漑水利の拡充、圃場基盤の整備

(2) 農業投入財の供与・・・肥料・農薬、改良種子、農業機械などの無償供与

(3) 技術開発とそのための施設・設備の供与・・・試験場の再整備と近代的 試験場の設置

(4) 人材の育成・・・試験場や大学など研究機関での研究者育成

(5) 技術普及システムの導入と農業改良普及員の育成、農業者教育の推進

(6) 基礎的食糧の配分システムの合理化と備蓄制度の確立

(7) 農業統計情報の収集・加工・利用などに関するシステムの構築

(8) 農業生産者組織の育成(水利管理組織、農産物の共同出荷体制などの 確立)

(9) 食品・農産物加工技術の向上

(10)輸出食品・農産物の品質向上による国際競争力の強化

(11)貧困地域および貧困階層に特別の重点をおいた総合農村開発プロジェ クトの計画と実施

(12)農村生活インフラ基盤の整備(水・燃料・電力などの安定的な供給確保)

(13)政策の立案・企画とプロジェクト管理および政策評価などの能力向上 に対する支援

9. 5 おわりに

以上、北朝鮮における農業・農村開発の課題、課題解決へのアプローチ、

そして国際協力のあり方について、論じてきた。冒頭でも述べたように、

食糧の安定的確保は、社会の安定と経済発展の基盤となる喫緊の重要課題 であり、北朝鮮に居住する人々が、人間としての尊厳性を保ち、健康的で 文化的な生活を営む上での前提となるものである。ひいては北東アジア地 域の政治と経済・社会の安定のために不可欠の要素をなしている。

日本は、食糧の安定的確保と農村の活力向上に資する豊かな経験とノウ ハウを蓄積してきた。それらを、北朝鮮の農業・農村の開発のために、同 国の自然的かつ社会・経済的諸条件に適合させつつどのように活用し、移 転していくべきかが、今後真剣に問われなけばならないであろう。国際農 業協力においてこれまで試行錯誤してきた経験とその経験から引き出され る教訓も、すでに十分積み上げられてきている。我が国と比較的似通った 風土条件をもつ北朝鮮に対する国際農業協力は、農作物の近代的な栽培技 術の導入という側面だけに限ってみても、それほど大きな困難を伴うこと はあるまい。北朝鮮に対する国際農業協力は、我が国の政府と民間が連携 をとりあっていくことが必要であろうし、また北朝鮮と日本の政府ならび に農業関係者との間で相互の信頼関係が醸成されてこそ、その成果が現出 する性質のものである。

長期的な展望に立てば、北朝鮮における農業・農村開発を通した食糧の

安定的確保は、北朝鮮自体の利益になるのみでなく、朝鮮半島の政治的安 定を引き出し、ひいては日本―韓国―北朝鮮―中国・東北地方との間の経 済交流をより緊密で活発なものにする土台となるであろう。

食料自給率の低下に伴い食糧安全保障のあり方が久しく論議されてきて いる日本において、世界でも有数の豊かな穀倉地帯である中国・東北地方 で生産される穀物を今後安定的に供給・確保するためには、何よりも朝鮮 半島の政治と経済の安定が前提である。いかなる形であるにせよ、朝鮮半 島が安定を確保すれば、日本―朝鮮半島―中国・東北地方を結ぶコリドー ル(回廊)は、近い将来北東アジア地域における食糧安全保障のための重 要なライフラインとして再編し直され、農業・農村の開発に向けた新たな 地域協力システムが創出されるであろうことは想像に難くない。

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