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8. 7 日本の経済技術協力の対象分野 5

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北朝鮮に対する経済技術協力の対象分野を考えるにあたっては北朝鮮の 経済開発計画を含めて詳細な検討が必要であるが、第3次7ヵ年経済開発計 画(1987−93)以降は3年間の緩衝・調整期に入り、その後は新規の経済 計画は策定されていない。このため、本節では前述の経済再建の課題を基 に、我が国の経済技術協力の対象分野を展望する。また、我が国の経済技 術協力といった場合、政府開発援助のほか民間の協力も考えられるが、本

節では緊急性の高い人道的支援の観点から行われる食糧支援等を除いた ODAに焦点をあてた我が国の経済技術協力について検討する。

北朝鮮は電力不足、インフラの未整備、老朽化した工場設備と生産技 術・工場運営・品質管理等の遅れ、競争力のある産業や製品の欠如、慢性 的な農業不振等の課題を抱え、これらが、成長制約要因となってきた。現 在必要とされるのは、第一に成長制約要因を取り除く協力である。次に考 慮すべきことは有望な新規産業の育成である。従って、わが国の北朝鮮に 対する経済技術協力の重点分野としては①電力、鉄道、道路、港湾、通信、

上下水道等のインフラ整備、②産業部門のリハビリと新規投資、③輸出産 業の育成、④情報産業の育成・強化。⑤農業部門の改善、⑥環境対策と災 害防止、⑦経済再建に資する各種技術協力が挙げられる。各分野別の資金 配分は日本と北朝鮮政府間の交渉で決定される事項なので、ここでは具体 的な金額は示さないが、インフラ整備に5割、産業部門のリハビリと新規 投資、輸出産業の育成並びに情報産業の育成・強化に3割、農業部門の支 援及び環境対策と災害防止並びに経済再建に資する各種技術協力に2割程 度が妥当ではないのではなかろうか。

経済協力の実施にあたってはオーバーラップを避けるため、他の援助機 関との密接な調整が必要となろう。特に、ADB、世界銀行、EUと韓国等 との協議が重要である。ADBと世界銀行は産業部門よりは農業分野、イン フラ、保健・教育等の社会開発部門や環境分野を重視している。また、

EUの関心分野は多岐に亘っているが、融資よりは技術協力を中心とした 経済協力になるものと思われる。いずれにしても、北朝鮮の将来を展望し た上で効果的かつ決めの細かな経済協力が求められよう。

北朝鮮のインフラは上記の通り質・量の両面において十分でなく経済低 迷の一因となっている。経済再生のために、電力、鉄道、道路、港湾、通 信といった基幹インフラを整備することは経済成長のボトルネックを解消 し、持続可能な経済成長を実現する上で必須といえる。経済再建過程で電 力インフラ、交通・運輸インフラと通信インフラの整備を同時進行的に実 施することで、生産と流通システムが全体的に改善され、生産性の上昇を

もたらすことが期待できる。生産の回復には、電力供給のボトルネックの 解消が急務である。電力不足で工場の稼働率は大幅に低下し、生産を停滞 させる要因となっている。発電設備はもとより送配電設備の老朽化も著し く早急な更新が求められている。また、電力を効率的に稼動させる運営面 の改善も必要である。鉄道、道路や港湾を中心とした輸送インフラの改善 は貨物の輸送時間の短縮、運賃の低減等物流の効率化を実現する。道路整 備は車のメインテナンス・コストを減少させる。北朝鮮の輸送コストは輸 送インフラの未整備から高いといわれている。輸送インフラの改善は工場 への原材料供給、消費地や輸出港への製品輸送並びに都市への地方産品輸 送の条件を大きく改善し、北朝鮮の企業のみならず、外資系企業進出にも 好影響を与えよう。通信の発展は効率的な情報交換によって取引機会の増 大と取引コストの低減をもたらし、経済活動をより一層活性化させること になろう。

産業部門のリハビリと新規投資は費用・便益分析を実施し、優先度の高 い順に行うべきである。リハビリ投資は一般的にリターンは高いが、設備 の老朽化が著しい場合には新規投資を実施した方が後発者の利益を享受で きるかもしれない。輸出産業の育成は外貨獲得のために戦略的に育成して いく必要があるので北朝鮮の比較優位性を勘案して行わなければならな い。軽工業の他、新規投資によって競争力があると考えられる一部の機械、

非鉄金属、セメントや造船等がこれに該当しよう。電子・情報産業の発展 は遅れているが、他の産業に対するインパクトも大きいので育成の対象と なろう。北朝鮮も電子・情報産業の重要性を認識し育成に努めているが、

軍需産業との絡みから輸出規制の対象となっている設備・部品が多く計画 通りに発展させていけるかどうかは微妙である。農業は近年の食料不足に 見られるように早急な建て直しを図らなければならない。農業分野の日本 の経済技術協力については次章で論述されるのでここでは省略する。

経済再建に資する技術協力も北朝鮮の経済再建にあたって極めて重要で ある。技術協力分野は各種考えられるが例示すれば以下の通り。技術協力 の方法には①政府および関係機関の職員や経営者、技術者などをわが国に

受け入れ、国内で技術訓練をほどこす方法、②現地に技術訓練センターを 設立し、わが国から指導技術者を派遣して訓練する方法、③訓練センター は特に設立しないが、わが国から相手国の職業訓練所や工場などに指導技 術者を派遣して技術指導や職業訓練を行う方法などがあるが、北朝鮮の場 合は、技術訓練ニーズが広範な分野に及んでいることから、これら三つの 技術協力方式のうち現地に技術訓練センターを設立し、わが国から指導技 術者を派遣して訓練する方法を中心として実施することが最も効果的であ るものと思われる。

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