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高齢者の活動の場・興味

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 31-36)

高齢者が社会活動の場に参加するとき、どのような場に興味を持って活動を選ぶのか、先 行研究のレビューから考える。

2.2.1 生涯学習

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高齢者の学びの場として、生涯学習がある。浅野(2002)は、放送大学の受講者、特に高 齢学生に対して面接による検証を行っている。学習を継続する意思を強めるためには「自己 向上志向」と「特定課題志向」の学習動機を持つことが効果的である、としている。被験者 は、「学習に価値をおく価値観を形成していた」ことが特徴である。また、浅野(2006)は、

放送大学の高齢学生の継続検証として、“高齢層においては、多様で複眼的な思考をする楽し さが生涯学習への参加に影響を及ぼしていることが示唆された”、としており、“従来の自分 の視点とは異なった視点を獲得し、多様な考え方ができるようになることは自己の能力・個 性の伸長を意味し、そこにおのずと喜びを感じるので、ますます積極的に学習し、かつ学習 を継続しようとしていると考えられる”、としている。

樋口(2004)は、高齢者の生きがいと学習との関係において、次のように述べている。

“高齢者が社会参加のきっかけとなる学習活動へ参加するうえで、消極的な参加でなく、積極 的な参加を行うには、自らが参加することに価値を見出し、参加することの意味を実感でき るということ、そのためには受講生が学習プログラムを編成し、運営そのものに主体となっ て参加することが不可欠”、としている。

浅野は、公民館の学習者との学習動機は異なる、としているが、多角的に高齢者の学習を 捉えるために先行研究レビューに用いた。

2.2.2 懐かしさと音楽活動

高齢者の多様な経験は、懐かしい記憶を引き起こす。また、音楽療法は高齢者の介護予防 としても取り入れられる。アクションの事例で見出した「懐かしさ」と音楽の関わりについ てもレビューを行う。心理療法としての回想法とは、異なるために「懐かしさ」とした。

アサダ(2016)は、映像を同窓会会場に取り入れることで、音楽による想起を検証してい る。それによると、音楽の内容が、想起イメージにつながる。さらに映像を用いて参加者の 対話を促し、対話によってさらにイメージが広がり、共有されるというものである。音楽や 映像そのものが懐かしいわけではなく、音楽や映像を機に参加者の対話が促され、想起イメ ージが個々により、多様に変遷しながら新たな想起イメージへ展開していくとしている。

図2-1、図2-2に示す。

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図2-1 アサダワタル(2016)音楽による想起がもたらすコミュニケーションデザインの

可能性―歌声スナック「銀杏」における同窓会現場を題材にP40より引用

図2-2 アサダワタル(2016)音楽による想起がもたらすコミュニケーションデザインの

可能性―歌声スナック「銀杏」における同窓会現場を題材P41より引用

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山下ら(2016)は、高齢者が歌唱時に涙を表出する検証を行い、高齢者は歌唱する際、歌 唱曲の歌詞や旋律に喚起されて自身の過去を振り返り、その思い出に涙していることがわか った、としている。

谷口(2006)は現代人、特に学生の音楽聴取生活の実態から、音楽が心に響くという体験 からはどんどん遠ざかっているように見える、としており、自分の心身をある状態にしたい 願望と聴いた音楽が一致した時、あるいは音楽を聴いて新しい発見があり、肯定的な心的変 化が生じた時に、その音楽が心に響いたと言われる、と述べている。

高橋(2004)は「なじみの歌」が非常に有効であることと、補完代替医療としても音楽を 生かせると述べている。

Hays(2005)は、音楽が幸福感の維持に必要であり孤独の軽減や健康促進にも役立つこと を、述べている。市江(2006)は、音楽の持つ大きな力をもっと有効に活用し、高齢者の健 康増進や介護予防に役立てる必要性を述べている。

2.2.3 ボランティア活動・サロン活動

高齢者の孤立防止として、居場所の必要性が問われる。居場所・出番の試みとしてボラン ティア活動、サロン活動がしばしば例にあげられる。本論文でも3章・4章で取り上げるこ とから、レビューを行う。

江上(2001)は、生涯教育の場で多い形態は学識者の講演やスポーツ・レクリエーション 主体になるが、ボランティアの場では知識・技術の伝達を高齢者同士が行うことが可能であ り、高齢者自身の満足と自己啓発、さらには地域活性化につながる、としている。

藤原(2005)らは、ボランティア活動の多くは、グループ外にクライアントが存在し、さ らに外側に組織や団体も関わることから関係組織が増え、高齢者ボランティアの社会的ネッ トワーク・社会的役割が広がる、としている。

一方で、高野(1997)は、高齢者は,サービスとしての活動を、ボランティア活動と認識 していることがあり、担い手の多くが行っている地域型活動が、ボランティア活動として認 知されていない可能性も指摘されると述べている。

老人会とシルバー人材登録者を対象にアンケートを行った長田ら (2010) は、QOL質問票 と中程度以上の相関がみられたことによって、社会的活動での経験や継続が対象者の生活や 意識に影響を及ぼしている可能性が示唆された、としている。また、一度始めた社会的活動 に対しては、年齢を重ねてもある一定の継続性が見込めることを述べている。

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互助活動としての「ふれあい・いきいきサロン」について高野ら(2007) は、次のように 述べている。

・「サロン」活動は、高齢者の介護予防や仲間づくりを目的として、定期的に高齢者が集う 場を,歩いていける身近な地域につくり、担い手と参加する高齢者が「気軽に」・「無理な く」・「楽しく」活動を行うという理念に基づいて展開されている、

・「サロン」活動は,地域住民に対して格好の福祉教育の場を提供しているものと思われる。

「サロン」活動は,活動の担い手 (住民) と参加者 (高齢者) とが共同してつくりあげる福祉 サービスであるから。

・担い手は,活動によって得られる参加者との出会いや深い関わりによって高齢者が抱える 生活課題や地域社会の課題について理解を深めていくことになる。それは、結果的に担い手 自身、及びそのネットワーク上にある他の住民の福祉意識を高めていくことになる。

・「サロン」活動を通した気づきや発見の繰り返しが住民相互の見守りや声かけ活動へと発 展した事例も少なくないことが、これを証明している。

また、高齢者を公的サービスの受け手ではなく、サロンの担い手として社会活動を行うこと に着目し、サロンを「受け皿」機能だけでなく、高齢者を「客体」視点から「主体」視点と する支援の在り方も述べている。

中村(2009)は、平成6年から取り組んだ全国社会福祉協議会の「ふれあい・いきいきサ ロン」に地域コミュニティとして注目、地域組織による連帯や組織力が弱体化した現状で、

地域の共同生活は組織よりも場の設定が重要であると考える、としている。

森(2014)は、全国社会福祉協議会のサロン活動を「フリースペース型」と「プログラム 型」に分類し、多くのサロンで健康や生涯学習(歌や合唱)などのプログラム型の採択が行 われていることをあげている。サロン、高齢者に対して活動や交流の「場」を提供し、その 過程の中で「介護予防の推進」、「外出機会の向上」、「地域でのつながりの強化」などを 目的に活動しているが、運営はボランティア依存の部分も大きく、担い手・参加者・プログ ラムの3局面ともにマンネリなどの硬直化に陥りやすい傾向を持つ。またこれらに加え、先 行研究では参加者側からの調査が極端に少ないことから、サロンの目的が達成されているか は十分に検討されていない、としている。また、サロンを超えた参加者同士の付き合いを持 つ者が約 3 人に 2 人の割合でいたことから、サロンで芽生えた他者との出会いが地域社会

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での日常生活においても還元される可能性が高く、サロン活動は地域社会での日常生活にお ける人間関係の形成に寄与する可能性がある、としている。

高齢者の社会活動として、多様な趣味・稽古やサークルを除くと、地域密着型の代表的な 活動は「老人クラブ」と「サロン」が2つの大きな柱である。本研究でも、アクションリサ ーチの対象として、「サロン活動」を取り上げていることから、先行研究レビューを行った。

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