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データによる事例の検証

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 95-99)

4.3 I 町老人クラブ-自主的なボランティア活動の事例分析

4.3.3 データによる事例の検証

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I町では、「地域の美化、安全を自分たちの手で維持するため」に、活動内で多くの情報・

能力を得ることが、自己実現に向けた能力取得の手段となっている。

【項目C:自己実現(生きがい)を形成する場について】

生き生きしていたら家族も安心する、自分が地域への恩返しとして奉仕している、感謝の 言葉をもらうとやっていてよかったと感じる、というような意見から、グループの所属を通 して高齢者の自己実現、生きがいを形成する場が築かれていることがわかる。

【項目D:コミュ二ティの環境について】

・若手参加者は、自分よりも高齢である参加者と活動を共にすることで、能力の差異に気づ き、ワークショップなどの難易度にも気を配って、皆が楽しめるような活動を行う。個人の 技能や知識にも配慮した取り組みは、やがてクラブ全体の良好な環境を築く。

・また地域内にとどまらず市や県、さらに全国老人クラブ連合においても取り組みが評価さ れるように導き「会員の活動成果による自己実現」を共通の目的としてグループのモチベー ションを上げ、男女ともに多くの会員を地域に根付かせる工夫をしている。

【項目E:リーダー・メディエーターとの関わりについて】

・この良いスパイラルを助けI町老人クラブ全体を活性化させているのは、18クラブを指導 者として俯瞰する連合会長である。まず自らが先頭に立ってボランティア活動を行い、地域 とも深く連携して新聞の広告費も捻出している。

・女性リーダーの育成に努め、クラブごとに「メディエーター」となる「まとめ役」を輩出 する。会員個人と各クラブのグループを皆が楽しめるように「自己実現、生きがいの場」と して活性化させているのは、まとめ役としての女性リーダーである。

【項目F:サービス提供による共創について】

・地域の中で、美化や清掃を行うことは、「地域に対して」サービスを行うことである。毎 回清掃などにあたる者には表彰状が用意されるが、地域貢献に尽力したことにより得られた 成果であり、継続したサービス共創を行うための会長のアイデアである。コスモス畑などの ボランティア活動では、銀行からの表彰だけでなく、遠くからの見物客という成果もあった。

サービス提供した者が、想定していなかった他者からも反響を得られる活動になっていたこ ともわかった。これは、地域の力となり、老人クラブ内での能力・団結力を高め、再び会員 個人のモチベーションへつながるという良い循環を生み出す。

・会長は、個人ごとの町への貢献にも応えつつ活動を継続してもらうために18のクラブそれ ぞれが発展するため表彰制度を実施、「見える形」としても印刷物に残している。サービス

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表彰で自分が認められる、表彰状は額に入れに飾ってある、など、提供したサービスが、

表彰により目に見える形で認められることも、自己実現と反響の欲求も満たし、モチベーシ ョンにつながる。

以上の分析をまとめると、表彰や新聞掲載という、見える形での努力評価は、自分達で地 域貢献・地域の安全を担っているという自己実現に向けた能力取得の力とともに、グループ 全体のモチベーションとなり、再び個人のモチベーションへとつながる持続・活性化した活 動になる。この関係は、第 3 章でアマチュアオーケストラの活動を分析して構築した仮説モ デルである「モチベーションとスキルに着目した活性化モデル」を使って、図 4-1 のように 示すことができる。

図4-1 I町老人クラブ:モチベーションと自己実現の能力取得に着目した 高齢者の活性化モデル

地域高齢者が取り組む社会参加活動の大半は自己啓発のみの学習や趣味・娯楽であるが、

ボランティア活動はグループ外の組織や団体とも関わり、社会的役割が広がることで活動か

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ら得られる心身の効果が大きくなる可能性がある(藤原ら2005)。

I町のボランティア活動は、多くの居住者が、なかなか参加したがらない「清掃」「資源ご みの回収」「花壇などの整備」を主に行う。自分たちの住む地域社会に対し、町の美化と安 全を守るサービス提供を行っている。そのような活動を続けるためには、活動を続ける参加 者に「表彰状」などで貢献をたたえる仕組みづくりが必要であった。これは、ひとえに連合 会長のアイデアによるものが大きい。I町のボランティア活動参加者たちは、「自分たちの暮 らす地域の安全・安定をはかるサービス提供を行う」ことで、安心して暮らせるモチベーシ ョンを持つ。また、地域からの評価や表彰状は、成果になると同時に他者からの反響として

「はりあい」にもなる。評価される活動を遂行することは、自己実現の場を形成する。

地域社会に対して、美化・安全を担うサービス提供を行う、I町の活動をモチベーションと 自己実現能力を軸としたサービス価値視点でとらえると、3 章でアマチュアオーケストラの 活動に基づいて構築したサービス価値共創モデルを使って、図4-2に示すことができる。

図4-2 I町老人クラブ:サービス価値共創モデル

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I町は、自分たちの町が暮らしやすく安全になるため、地域に行うサービス提供の能力を磨 く。また 18老人クラブが会員数の増加とともに活性化するよう、自主新聞を作り配布する。

地域商店などの広告をタイアップさせ地域内の活性化もはかる。地域の美化や安全見守りは、

地域・市・県などの新聞や表彰状という成果と、反響効果により、活動参加者の自己実現、

はりあいとなり、活動のモチベーションを持続する力につながる。老人クラブへの参加者が 多く、継続して活動するという、組織コミットメントが高いクラブとなっている。これには 相談を常に受け、参加者を気遣うメディエーターと、自ら率先してボランティア活動を引っ 張りつつ、参加者へ価値提供の配慮を行う会長の貢献がある。連合会長の「地域への恩返し として奉仕している。」という言葉は、I町に持続したサービス提供を行うきっかけであった ことをうかがわせる。I町では、高齢者が地域の美化、安全な暮らしを目的に自己実現に向け た能力向上をはかり、団結して地域の問題解決に向けたサービス提供を行う、というサービ ス価値共創モデルが成り立つ。

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