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第 4 章 フェムト秒パルスレーザー SHG 顕微鏡システムの性能評価 61

5.4 高純度サクランの観察

Fig. 5.11高純度サクランのSHG顕微像(P = 8.0 mWt= 300 sI = 5.0

 次に、積算時間を長くすると、図 5.12に示すように、クリアなSHG顕微像が 観察された。

Fig. 5.12高純度サクランのSHG顕微像(P = 8.0 mWt= 1800 s I = 5.0

ここで、400 nmのバンドパスフィルターを436 nmのバンドパスフィルターに入

れ替えた。図5.13は436 nmでの顕微像である。バンドパスフィルターが400 nm の時に観察される強度信号には2つの可能性がある。すなわち、1つにはSHGの 可能性、もう1つは、試料が多光子で励起されてその多光子エネルギーより低い光

Fig. 5.13 436 nmでの高純度サクランの顕微像(P = 8.0 mWt= 1800 s I = 5.0

子エネルギーのところに発生する発光の可能性がある。もし、図5.12における信号 が後者によるものであれば、図5.12と図5.13の波長の違いは現象の発生に大きな 影響を与えず、像の形は同じものとなるはずである。ところが、図5.12と図5.13で は明らかに信号の空間分布が異なる。したがって、図5.12の信号は多光子励起発光 のものではない。したがって図5.12はSHGが主であり、一方図5.13の信号は二光 子励起発光と判断される。

 ここで、高純度のサクランにおける数十μm大きさの粒子状SHGスポットの起源 として以下の三つの候補が挙げる。候補(1)、位相整合条件によるもの;候補(2)、 鎖の末端が見えている;候補(3)、セルロースのように液晶ドメインがあるかと推 測されている。サンプルとして使用した高純度のサクランは液晶状態から乾燥して できたものなので、サクランの水溶液の濃度の増加によって、サクランは棒状組織 体から「骨格」を形成すると推測され、乾燥しているサクランも「骨格」の構造が 残していると予想している。試料に対する観察角度を変えたら、発生するSHGの 強度も変化すると予想した。それを検証するため、次に高純度サクランの多角度観 察を行った。

5.4.2 高純度サクランの多角度観察

図 5.14 は高純度サクランを多角度から観察する方法である。試料の対物レンズ に対する観察角度を変える。

Fig. 5.14高純度サクランの多角度観察

入射光パワー、観察位置、積算時間、インテンシファイアのすべての条件は同一 にして、対物レンズに対する観察角度をそれぞれ-15、0、+15に変化させた。

 図5.15の上段はそれぞれの角度における高純度サクラン線形像、下段はSHG像 である。場所により強弱の角度依存性が違う。数十μmの大きさの粒子状のSHG像 が観察された。同じ位置であってもSHG光の強度が変化したことがわかった。

 次に、400 nmのバンドパスフィルターを436 nmのバンドパスフィルターに入れ

替えた。図5.16は観察波長436 nmでの顕微像である。多少に信号を検出したが、

400 nmのSHG光と明らかに異なり、カットされなかった入射光や迷光と考えられ

る。すなわち、図5.15の粒子状のイメージはSHG応答である。400 nmのバンドパ スフィルターで観察されたのは確かにSHGであることがわかった。

Fig. 5.15各角度の高純度サクランの線形像とSHG像(P = 8.6 mWt = 1800 sI = 7.0

Fig. 5.16 436 nmでの各角度の高純度サクランの顕微像(P = 8.6 mW、t= 1800 s、I= 7.0)