第 4 章 フェムト秒パルスレーザー SHG 顕微鏡システムの性能評価 61
5.5 サクラン薄膜の観察
Fig. 5.18サクラン薄膜表面のSHG顕微像(P = 8.7 mW、t= 300 s、I= 7.0)
ここで、400 nmのバンドパスフィルターを436 nmのバンドパスフィルターに入 れ替えた。図5.19は436 nmでの顕微像である。検出された信号は発光である可能 性が高いが、図5.18のサクラン薄膜表面のSHG顕微像と比べて、粒子状の像がな いことがわかった。粒子状の像は確かにSHGであることがいえる。
Fig. 5.19 436 nmでのサクラン薄膜表面の顕微像(P = 8.7 mW、t= 300 s、I= 7.0)
5.5.2 サクラン薄膜表面の多角度観察
入射光パワー、観察位置、積算時間、インテンシファイアのすべての条件を同一 にして、対物レンズに対する観察角度をそれぞれ -15◦、0◦、+15◦に変えて、 サク ラン薄膜表面を観察した。
Fig. 5.20各角度におけるサクラン薄膜表面のSHG顕微像(P = 8.7 mW、t = 300 s、I = 7.0)
図 5.20 はそれぞれの角度におけるサクラン薄膜表面のSHG顕微像である。高純 度サクランの観察結果と同じように、数十μmの大きさの粒子状のSHG像が観察 された。場所により強弱の角度依存性が異なり、同じ位置であってもSHG光の強 度が変化したことがわかった。同じ位置であってもSHG光の強度が変化したこと がわかった。次に、400 nmのバンドパスフィルターを436 nmのバンドパスフィル ターに入れ替えた。図5.21は436 nmでの顕微像である。
Fig. 5.21 436 nmでの各角度のサクラン薄膜表面の顕微像(P = 8.7 mW、t = 300 s、I = 7.0)
5.5.3 サクラン薄膜縁部の観察
サクラン薄膜縁部を観察した結果について述べる。図5.8に示すように、サクラ ン分子の伸び切り長は50μmの直棒として振る舞うので、サクランの直棒は面内方 向に面と平行して配向している。したがって、薄膜縁部には直棒の端となっている。
この描像を確かめるために、一枚の四角形サクラン薄膜の三つの辺(1),(2),(3)をそ れぞれ観察した。図 5.22 はサクラン薄膜のエッジにあたるビームの線形顕微像で ある。
Fig. 5.22サクラン薄膜エッジにあたるビームの線形顕微像
図5.23に示したのは400 nmでの顕微像である。図5.24は436 nmでの顕微像で ある。白線で挟んだ部分はエッジであるが、図5.23と図5.24の波長の違いは現象の 発生に大きな影響を与えず、像の形は同じものとなっている。したがって、図5.23 の信号はSHGであることが判断できず、多光子励起発光である可能性が高い。
Fig. 5.23 400 nmでのサクラン薄膜エッジの顕微像(P = 4.1 mW、t = 300 s、I = 7.0)
Fig. 5.24 436 nmでのサクラン薄膜エッジの顕微像(P = 4.1 mW、t = 300 s、I = 7.0)
5.5.4 サクラン薄膜縁部の多角度観察
入射光パワー、観察位置、積算時間、インテンシファイアのすべての条件が一致 して、対物レンズに対する観察角度をそれぞれ -15◦、0◦、+15◦に変えて、 サクラ ン薄膜のエッジを観察した。図5.25はそれぞれの角度におけるサクラン薄膜のエッ ジにあたるビームの線形顕微像である。
Fig. 5.25各角度におけるサクラン薄膜エッジにあたるビームの線形顕微像
図 5.26はそれぞれの角度におけるサクラン薄膜のエッジの400 nmでの顕微像で ある。いずれの角度でもSHGを検出されていない。白線で挟まった部分はエッジ であるから、粒子状のSHG信号はほとんどエッジ以外の場所(表面)から出たも のである。
図5.27は436 nmでの顕微像である。検出された信号は発光である可能性が高い。
図5.26と図5.27を比較すれば、SHGは検出されていないことがわかった。
Fig. 5.26 400 nmでの各角度のサクラン薄膜エッジの顕微像(P = 4.1 mW、t= 300 s、I= 7.0)
Fig. 5.27 436 nmでの各角度のサクラン薄膜エッジの顕微像(P = 4.1 mW、t= 300 s、I= 7.0)