第 2 章 非線形光学の基本理論 11
2.6 位相整合条件
となる。
二つにおいて、伝搬速度が異なっているから、二次高調波が効率よく発生しない。
となる。境界条件により、cE2ω+ =−E2ωから、式(2.66)は E2ωx = 1
2
[E2ωexp (iksz)−E2ωexp(
ik2ω+z)]
exp (−i2ωt)
= 1 2E2ω
(
e2i[ks+k+2ω+ks−k2ω+]z−ei2[ks+k+2ω−ks+k2ω+]z) e−i2ωt
=iE2ωexp (
iks+k+2ω
2 z
)exp (
iks−2k2ω+ z
)−exp
(−iks−2k+2ωz )
2i e−i2ωt
=iE2ωexp (
iks+k+2ω
2 z
) sin
(ks−k2ω+
2 z
)
exp (−i2ωt)
(2.67)
となる。その電場の強度は
I2ωx =|E2ωx|2
=|EIHx|2|EHx|2sin2
(ks−k+2ω
2 z
)
∝sin2 (∆k
2 z
) (2.68)
となる。∆k=ks−k+2ωは位相差である。
強制振動の波数ベクトルksと励起電場の波数ベクトルkωは
ks= 2kω (2.69)
となる。強制振動において
nωω =ckω (2.70)
式(2.6)より、
ks = 2nωω
c (2.71)
となる。自由振動において
k+2ω = n2ω2ω
c (2.72)
となる。
位相整合条件は
∆k=ks−k2ω+
= (2ω
c )
(nω−n2ω)
= 0
(2.73)
となる。
ここで、注意すべきのは、∆k = 0のとき、数学的には、式(2.53)の非線形波動 方程式は、式(2.59)の斉次解と式(2.58)の非斉次解が同じようになる。∆kは0に 近づくときは、非線形波動方程式は斉次解と非斉次解をもつが、∆k = 0は別の解 をもつ。その時の解は、以下のようになる。
区別するために、改めて、入射光である基本波はE1、非線形分極により発生し た高調波E2、それぞれの周波数と波数ベクトルはω1、k1とω2、k2と考えてみよ う。
z方向に進むとすると、一次元非線形光学波動方程式は
∂2E2
∂z2 − 1 c2
∂2
∂t2 (
E2+ P2L ε0
)
=µ0 ∂2
∂t2P2N L (2.74) と書ける。
PN L = P(2ω1)e−2i(ω1t−k1z)+c.c. (2.75) P(2ω1) = ε0↔χ(2)(ω2 =ω1+ω1)E1(ω1)E1(ω1) (2.76) E2 = E2(ω2)(z, t)e−i(ω2t−k2z)+c.c. (2.77) E2+P2L
ε0
= ε2 ε0
E2(ω2)(z, t)e−i2(ω2t−k2z)+c.c. (2.78) とする。ε2はω2に対する誘電率である。その屈折率n2 =√
ε2/ε0である。式(2.75)、 (2.76)、(2.77)、(2.78)を式(2.37)に代入すると
[
ik2∂E(ω2)
∂z −(−iω2)∂E(ω2)
∂t ]
e−i(ω2t−k2z) =(
−4ω12)
µ0P(2ω1)e−i2(ω1t−k1z) (2.79)
となる。k2 =n2ω2/c、ω1 =ω2/2と用いて式(2.79)を整理すると
∂E(ω2)
∂z + n2 c2
∂E(ω2)
∂t =iµ0ω22P(2ω1)e−i2(ω1t−k1z)+i(ω2t−k2z)
=iµ0ω22ε0↔χ(2)[
E(ω1)E(ω1)]
e−i(k2−2k1)z
=iµ0ω22ε0
↔χ(2)[
E(ω1)E(ω1)] e−i∆kz
(2.80)
となる。∆k=k2−2k1 = 0は位相整合条件である。
式(2.80)のE2(ω2)(z, t)は時間tに関してゆっくり変化するため、式(2.80)の時間 微分はゼロになるから、高調波発生の式は
∂E(ω2)
∂z =iµ0ω22ε0↔χ(2)[
E(ω1)E(ω1)]
e−i∆kz (2.81)
となる。入射面z = 0から出射面z =lまで積分すると、出力の高調波電場は E(ω2) =iµ0ω22ε0↔χ(2)[
E(ω1)E(ω1)] ∫ l
0
e−i∆kzdz
=iµ0ω22ε0↔χ(2)[
E(ω1)E(ω1)]e−i∆kl−1
−i∆k
(2.82)
となる。
E(ω2)2 = µ20ω24ε20 (↔
χ(2)
)2E(ω1)E(ω1)2sinc2 (∆kl
2 )
l2 (2.83) I2 = µ20ω24ε20
(↔ χ(2)
)2
I12sinc2 (∆kl
2 )
l2 (2.84)
ここで、sincはシンク関数
sincz = sinz
z (2.85)
である。結局、
I2 ∝I12 (2.86)
となる。高調波の強度I2は基本波I1の二乗に比例する。
位相整合条件を満たすとき、∆k = 0から、式(2.84)の干渉項sinc2(∆kz/2)は z = 0で1となり、最大となる。各部分で発生した二次高調波の位相は全て揃え、振 幅は各部分で発生する高調波の振幅の和となる。
ところが、一般に透明媒質では波長が短いほど屈折率が大きい。つまり、正常分 散となっている。ω2 > ω1に対してはn2 > n1である。そこで、n2 =n1を得るため に結晶の複屈折を用いる。図2.5に示すように、方解石を通して二重の像が見える。
図2.6に示したのは常光線と異常光線の定義である。常光線と異常光線に対する屈 折率ne、noが異なる。結晶の光学軸に対する入射角の関数である。 neとnoを用 いて結晶のSHGにおける位相整合角を計算できる。ここで、光学軸とは、ある特 定の入射方向では複屈折を示さないときこの方向を結晶の光学軸という。図2.5の 写真において、紙に対して方解石の角度を変えて、二重に見えなくなる方向は光学 軸である。複屈折を示す結晶ではこの光学軸が1つの場合は単軸結晶、2つの場合 は二軸結晶という。
Fig. 2.5方解石結晶による複屈折 Fig. 2.6常光線と異常光線