• 検索結果がありません。

高機能BCCの開発と特性の検証

これまでの試験器の問題点、課題点を踏まえ、現行機を作成した。

3.6.1設計と製作

図3.64に現行機の荷電粒子入射実験用の概略図を示+.チェンバーは直径32 cmのステンレス製円筒で、

長さ36.25cmであり、放電や作業効率の面から試験器よりも大型化したが・蓋の厚さを0・8cmとし、胴 部の肉厚も薄くしたため、総重量で約15 kgと人力で持ち運び可能な程度に収まったo

ァノード、グリッド、リン久抵抗を支える支柱は絶縁物質のテフロンで作り、アノード側の蓋から6本 で支えることによってノイズ源となる振動に強い構造にした。アノードとグリッドのコネクタは信号線の配 線がしやすいように、試験器で採用していた検出制同部ではなく、アノード側の蓋に設置した。また・一様 電界をより確実に生成させるように、リングの数を増やし2cm間隔に14枚設置した。最後のリングから 2cm離してグリッドを設置し、そこからさらに5mm離してタンタル製のアノードを設置したoこの間隔 は試験器と同様テフロンスペ‑サーによって変えることができる。現行機では新たにアノードの外側にも シールド電極を設置し、アノード極板を突き抜けた粒子やアノ‑ドとアノード背後のチェンバー間で発生 した電離電子がアノード信号に寄与しないようにした.陽子入射反応では検出器の立体角は試験器と同様 で十分なので、内部電極写真(図3・65)に示すようにアノード、グリッド・リングには以前と同じものを用 いた。チェンバーが大きいので、必要であればこれらの電極を大きくすることも可能である。

図3.69に現行機の中性子入射実験用の横からの概略図を、図3・70に正面からの概略図を示す。中性子入 射反応に際しては、検出器の立体角を大きくするため、表3・6に示すようにアノード・グリッド・リング電 極は以前のものよりも大きいものを用いた。

表3.6:中性子用現行機の各電極の形状及び寸法

カソード.グリッド間距離(a)  ヨメ アノード板直径  ヨメ アノード.グリッド間距離(d') 天ヨメ カソ‑ド板直径  uXuV グリッドワイヤー半径(ro)  Vヨメ グリッド領域直径  c ヨメ グリッドワイヤー間隔(do)  uX萪 リング電極内径  C ヨメ

荷電粒子入射実験と中性子入射実験では・フラグメントの検山器‑の入射機構が異なるので、入射部であ るカソード部分を付け替えることによってそれぞれ対応した。それぞれのカソード部分について、以下で説 明する。

1)荷電粒子入射実験用

陽子入射実験の場合、図3.34に示した散乱チェンバーに接続するため、入射窓にカソード極板を兼 ねたユニットを使用するo散乱チェンバーに接続する部分には、簡便に取り外しができるKFフラン ジを採用した。また、散乱チェンバー側は真空であり、 BCC内部には200to汀のPIOガスが入って いるので、両者を隔てる入射窓が必要である。また入射窓はフラグメントのエネルギー損失を低減す るために両者を区切ると同時にカソード極板を兼用させるため、導電性があり強度の強いものが望ま しい。以上の観点から、真空窓によく用いられるマイラーフイルムにアルミニウムを蒸着させたもの であるアルミナイズドマイラーフイルムを入射窓兼カソード極板として採用した。また、厚さは2・5 pmのもの11を用い、真空に引かれる際に、圧力差で極板が歪むのを金メッキタングステンのメッシュ によって補強することによって、抑えている。薄膜は図3・67に示すように直径20mmの穴の開いた

11さらにエネルギーロスを減らすため、

えることができなかった。

厚さ2pmのアルミニウムを上記のメッシュで補強し・試みたが・ 200 toITの圧力差を支

アルミニウム製のカソード極板にエポキシ系接着剤(アラルダイト)を用いて貼り付けるが、 BCC側 が散乱チェンバー側より高圧力なので、散乱チェンバー側から見てカソード、メッシュ、マイラーの 順とした。このときマイラーのアルミニウム蒸着面は導電性を確保するためにカソード極板側に向け て貼り付ける。

図3.64: BCC現行機の陽子入射実験時の構造

図3.65: BCC現行機の内部構造の写真    図3・66: BCC現行機の電極構造の写真

cathode phte

(Al80ml, 1 rELnddck)

AluJninized mylaFfilm (35 mm 4, 2.5 Pmthick)

WOdd SuppOrt30 帆 l.

(30mesh. 0.1 xlOOx lOOmrn)

vTside/ePq 

Iニ̲̲ニ.一一一‑一一伽dsuppod  GassideAlsidc 

.巴≡ヨ巴============コ■一一‑.Aluminizedmyhr点1m 

日阜tq'LP貞de 日量 

PTeSStJre 

図3.67:カソード兼入射窓の構造

2)中性子入射美浜用

中性子入射実験では、サンプルを検出器内部に配置するため、外部から操作できる回転型のサンプ ルチェンジャーを設置する。サンプルチェンジャー自体の直径は13.8cmであり、サンプルは3ケま で設置できるようにした.サンプルチェンジャーの構造としては、図3・68に模式図を示すが、一枚の 円盤状板にサンプルを設置し、回転させてサンプルを交換させるリボルバー方式を採用した。図3・71 に示すようなサンプル都のみに穴の開いた0.5mm厚のTa製カソード板で、図3・72に示すような1 mm厚の銅製歯車からなるサンプルチェンジャー部分を挟み込むことによって、サンプルチェンジャー から生成するバックグラウンドを低減している。サンプルチェンジャーは、中心をカソード板上に固 定して、チェンジャー部分の歯車と磁気シール(理学メカトロニクス社製【1351)を利用したギヤを利 用して気密性を保ちつつ、チェンバー外に設置したステッピングモーターによって電動で回転させる。

また現行機では、アノードの中心部分とその外側から独立に信号を取り出せるように、図3・73や 写真3.74に示すようにアノードをセグメント化した。後節で述べるようにこのセグメントアノード 信号によって、 BCCの分解能を著しく悪化する原因となっていた検出器の横から突き抜ける粒子を 判定することができる。

Cross Section

図3.68:サンプルチェンジャーの模式図

図3,69: BCC現行機の中性子入射実験時の構造(樵)

図3.70: BCC現行機の中性子入射実験時の構造(正面)

図3.71: BCC現行機のサンプルチェンジャーの 写真(Ta蓋あり)

図3.73:セグメントアノード

図3,72: BCC現行機のセグメントアノードの 写真(Ta蓋なし)

図3.74: BCC現行機のセグメントアノードの写真

3.6.2 重イオンビームによる動作試験

これまで、 α線源を用いて、飽和特性やエネルギー波高値の線形性などの特性評価を行ってきたが、本研 究で対象としているのは、 α粒子よりも重い粒子で電荷密度や飛程が異なるので、重イオンに対しても別途 評価する必要がある。

そこで、加速器で生成される重イオンをBCCに直接入射することで、 BCCの重イオンに対する動作試験 を行った。実験は東北大学AVFサイクロトロンの第三ターゲット室の33コースビームラインを用いた。こ の33コースでは、主に半導体シングルイベント評価に必要な半導体メモリーの荷電粒子空気中照射を行っ ているコースであり[35ト現在のところ陽子から40Anまでの荷電粒子を照射することができる。

粒子を空気中に取り出すと、大きなエネルギー損失によって入射エネルギー値が不確かになる可能性があ るので、実験はmC33コースビームラインに直接BCCを接続することによって行った。これにより、

重イオンを加速器真空でのエネルギーロス無く、 BCCまで輸送することができる。ビームコースとBCC の模式図を図3.75に示し、写真を図3.76に示す。このコースでは空間的に一様など‑ムを生成するため、

ビームの出射孔から3 m程上流に1 〝m厚の金箔からなる散乱体を配置している。また、出射孔の直前に は、ラダー状のターゲットチェンジャーによって遠隔換作で厚さを変更できるエネルギーデグレーダを配置

している。

(▲■;

ZDS:

t  Q叫‑‑dpqbA,,‑HEleyl 剽&  辻メ ル‑

l 「  劔剪

I 劔      

、■;■ 劔   

■ 優 uv"ユD、オ lllllllll■■■‑‑iJI■ 剪 d印rI■HII■ 

degrldtT. (Ni=20,25,30pmdI ZhS..beJJZIYi的r  免ニニツ メ リ ツ

dm ly 劔冓 

図3.75:カクテルビーム入射実験の実験体系

一方、 BCCの動作試験では、粒子種とエネルギー点を頻繁に変えて実験を行うため、即座のビーム変更 が求められる。一般に、サイクロトロンで単一粒子を加速した場合、加速ビームの粒子・エネルギー変更は 入射イオン源から加速器パラメータをすべて交換する必要があり、非常に時間を要する。

以上の理由から、本研究では、加速粒子として、複数のイオン種を同時に加速するカクテルビームを採用 した。カクテルビームでは、質最数(M)と対価数(Q)比(M/Q)が等しい粒子を混合して、加速器で同時 に加速させることによって、入射粒子変更や加速パラメータ変更を減らし、短時間でイオン種の切替えが できる。

採用したカクテルビームのイオンとエネルギーを表3.7に示す0本研究で測定対象としている核種はLi

〜 siなので、検出器動作試験は主に炭素ビームを用いて行った。

加速器によって最大に加速された粒子はそのままではエネルギーが高く、検出器を突き抜けてしまうの で、入射エネルギーの調整を行った。各粒子のエネルギー変更は、様々な厚さのニッケル薄膜からなるエネ ルギーデグレーダーを通すことによって行った。デグレーダーとして採用したニッケル薄膜の厚さと、それ によって減速されたイオンとエネルギー値を表3.8に示す。これらの値は検出岸入射窓でのエネルギー損失 も考慮してきめたもので、ここでいうエネルギーは検出器に入射するエネルギーである。検出器に入射す