• 検索結果がありません。

中性子入射へ適用による問題点とその改善

第5章  中性子入射反応‑の適用

5.1 中性子入射へ適用による問題点とその改善

106 A/(cm2・S)を達成する。この施設は、世界でもユニークな施設であり、今後・ DRAMメモリ のSEU 実数や放射化実数などの大強度中性子が必要な実験に用いられる予定である。

本研究においても、中性子フラックスの不足が大きな問題であったので、この施設を用いて実験を行うこ ととした。

実験を行った大強度準単色中性子利用目的の32コースの上から模式図を図5.1に示す。 TIARA施設同 様、中性子はTLi(p,no.1)TBe(Qニー1.64 MeV, 0・431 MeV)反応を用いて生成する。 AVFサイクロトロンで

加速された陽子を薄い7Liターゲット(約2 MeVのエネルギー損失)に入射させ、透過した陽子はBen血g Mapetで曲げてビームダンプに入射させて停止させる。また、なるべく照射野との距離を縮めるために ターゲットチェンバーをBending Magnetに近接させている。生成した中性子は銅と鉄からなる候斜角40 の角状コリメーク(〜70cm)を通過して照射野に導かれる。またターゲットを通過した陽子は、照射野よ りも後方に配置した炭素からなるビームダンプに導かれ停止する。また、ビームダンプはファラデーカップ になっており、入射電流値を測定することでビームモニタを行っている。

図5.2に、 NE213有機液体シンチレ一夕を用いたTOF測定で得られた中性子スペクトルを示すムスペク トルは二体(p,n)反応からなるピーク鮎と多体崩壊反応による連続部からなる準単色中性子である。サイク ロトロンの繰り返し周期が短いため、連続部は‑30MeV付妃までしか得られていないが、この簡域では 7Li(p,n3Ee)a三体崩壊のkinematicsで表せるとことがわかっており【3ト計算値によって外挿できるC図 5.2に実数値と共に計算値を示す。若干スペクトルの連続部にビームダンプからの中性子が混入している様 子が見られるが、全体的には良い一致を示している。また、フラグメント生成反応の測定では一般に高い負 のQ値の反応(‑20 MeV)であるので、低エネルギー中性子の影響は少ない。

図5.1:薪CYmC準単色中性子源

JB

lX101 1・5

20    40    60    80

Neutron Energy (MeV)

図5.2:薪CYRIC準単色中性子源の中性子スペクトル

5.1.2 セグメントアノード電極

3.3節で述べたように、中性子入射反応用BCCでは、検出器内部にサンプルを配置するため、様々な方 向に放出したフラグメントが測定される。角度を持ち検出器内を斜めに走るフラグメントは、アノード電極 に対しプラッグカープ分布が斜めになる。測定されるプラッグカープ情報はアノードに垂直なBCC軸方向 への射影なので、角度を持った粒子のブラッグピーク値は本来のものより過大評価してしまい弁別性能の悪 化につながる。また、斜めに検出器外に突き抜ける粒子は、ブラッグカープが最後まで形成されず、プラッ グピークだけでなく、エネルギーに関する正しい情報も得られない。そこで、本研究では、角度をある程度 絞り込んで粒子の弁別を確実にするため、図3.73に示したようなセグメント型アノード電極を作成し、ア ノード電極を中心部分とその外側でセグメント化し、外側の電極の信号により、横に突き抜ける粒子を排除 する方法をとった。

図5.3にアノードセグメント電極による測定の原理図を示す。アノード極横を中心部(CentralAnode) と2つの円周部(PeripheralAnode,Anode Veto)とに分離し、横‑突き抜ける粒子は円周部のアノード の信号を検出することで特定する。中心部と円周部のアンチコインシデンスをとり横‑の突き抜け粒子の 排除を行い、中心部の波高を取得することによって、放出角度の限られた粒子だけを選別できる。また、測 定領域の範囲を決めることによって、検出器の幾何学的な立体角を定めることができる。

測定回路は3.4.3節で説明した単一アノード電極での回路と同様であり、中心部の信号がトリガー信号と なり、アノードの円周部ではリニア系統の測定だけを行い、電荷型前置増幅器のORTEC 142PC、増幅器 ORTEC 571 (時定数6 JLS)を接続し、 VADCで中心部のタイミングで生成したゲートで波高信号を取得 する。すなわち、中心部の信号は今までのアノードと同様に波形情報の取得に用い、周辺部の信号は横‑の 突き抜けの判定のみに用いる。周辺部にあるしきい値を超える大きさの信号が来た場合には、そのイベン トの信号を除外する。また、粒子に対する立体角は飛程に依存した複雑なものとなるのでその評価が必要 となる。

( vT J hS

^ 9m )[

#] Xr Lt hu Oq rL OJ q

図5,3:中性子用BCC原理

1)α線源を用いたセグメントアノード電極の特性評価

飛程の異なる粒子を模擬するために、三核種混合α線源(237Np、 241Am・ 244cm)を用いて、セグメン トアノード電極の特性評価を行った。三種混合α線源はIsotrak社製の型番QCRB4030であるo図5・4に その形状を、表5.1にそのα浪合線源の組成を示すoセグメントアノード電極の特性評価実験臥カソード 極板上に三種混合α線源を配置し、カソード極板上のサンプルから生成するフラグメントを模擬した信号

を中心電極と周辺電極によって測定することで行った。

図5.5に三核種混合線源で得られた中心電極と周辺電極の波高値の二次元プロットを示す。中心電極と周 辺電極の波高値を足したものがα線の検出器中に付与した全エネルギーであり、実際に三種のα線源のエ ネルギーに対応した3本の直線が見られる.中心電極の低波高値部分でルーカスがぼけているのは、大き な角度を持って、周辺電極をも突き抜けこの二つの電極領域に全エネルギー付与を行っていない粒子による ものである。周辺電極の波高値が0のイベントはα線が中心電極と周辺電極の境界をまたがなかったこと を示し、角度を持たないイベントである。

周辺電極の波高値で粒子の除去を行った場合と除去を行わない場合中心電極の波高分布を図5・6に示+o 除去を行わない中心電極の波高分布では、角度成分をもった粒子の突き抜けによって・スペクトルは低エネ ルギー側に大きくテール引いたものとなっているが、除去を行った波高分布ではテール部分のみが消えて、

本来のα線源の鋭いピークだけが得られている。この角度成分を除去した各a線ピーク半値から、本BCC のエネルギー分解能は‑100 keVと評価された。

以上、三核種のα線スペクトルの測定により、フラグメントの角度成分の除去に対して、セグメントア ノード電極の有効性、妥当性が示されたC

165

図5.4:三核種混合線源(237Np、 241Am、 244cm)

表5.1:測定に用いた三核種α浪合線源の組成

Cenqal anode pulse heI'ght (th)

1000 2000 3000 4000 5000 6000

Particle enerw (ch)

図5.5:三核種混合線源で得られた中心電極と   図5.6:三核種混合線源のエネルギースペクトル 周辺電極の波高値の二次元プロット      (周辺電極による角度成分の除去)

l W

(qD)JV旬eqosLndopouel巴Oq阜ed

5.1.3 立体角の導出

セグメントアノード電極を用いることによって、フラグメントの測定角度範囲が確定し、検出器の立体角 を決定することができる。周辺亀極の信号の有無によって角度制限を行うので、検出器の有効領域は、図 5.7に示す周辺電極の内径とカソード・グリッド間で挟まれた円柱状領域であらわされる。粒子がこの有効 領域で停止したときは中心電極には全エネルギーに比例する有効な信号が得られるが、この領域外に出た

ものは、部分的なエネルギーしか中心電極から得られない。

粒子の飛程は粒子の種類、エネルギーによって異なるので、検出器の立体角も粒子の種類、エネルギーに 依存したものとなる。本研究で臥各粒子の立体角の評価はモンテカルロ法によって行った。粒子の発生 点・発生方向をサンプルサイズの線源の中で乱数で振り分け、粒子のエネルギーに対応した飛程で粒子を飛 ばし、すべてのケースに対する有感領域で粒子が止まったケースの割合で評価したo粒子のエネルギーに対 する飛程の関係はSRMコードのデータベースを用いた。

計算で得られた検出器立体角は陽子入射反応での測定立体角測定実験で用いたα線源(表3・12)で実験的 に得られた値と比較することによって評価した。実験では・前節で行ったセグメントアノード電極の特性評 価実験と同様に、線源をカソード極板状に配置し、周辺電極によって角度成分を除去して得られた計数値 を、予め校正されているα線源の崩壊畳で割ることによって立体角を導出した。また、検出器のガス圧を 変化させることによって粒子の飛程を変化させ・粒子の飛程に対する立体角で比較を行った。図5・8に実験 値と計算値の比較を示すが、実験値と計算値は全体的によい一致を示している。よって・実際のサンプル条 件(5cm4)で各粒子に対して計算を行い・フラグメントのエネルギーに対する立体角として、図5・9に示 す値を導出した。この値を粒子のエネルギースペクトルに除することで・二重微分断面積を導出した。

塗 SO tJmn 嫡 "エ4イ R 苫t detecdonreg10m 

200torr 

耽じeP 

pa舶peSrange\ 

reject 

par血lecmittS um)加mazlysotFCePOSision 

with ally ande・

図5.7:モンテカルロ法による立体角の計賃

167

図5.8:セグメントアノードの立体角;実験値と  図5.9:計算によって求めた各粒子のエネルギーに

計算値との比較       対する検出器立体角