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問題点の解決と高機能化手法

第3章  フラグメント測定システムの開発

3.3  問題点の解決と高機能化手法

10       20

Atomic number (初

図3.12:各粒子のプラッグピーク生成エネ ルギー

図3.13: PIOガス200 torrにおける各粒子

のプラッグピークでの阻止能

3.3.1飛程情報の取得による低エネルギー領域の拡張

図3.14にエネルギーと飛程の関係をプラッグピーク法による弁別のしきいエネルギーと共に示す。この 様に粒子のエネルギーと飛程の関係は弁別エネルギーに限界のあるブラッグピークによる弁別法とは異な り、低エネルギーまで弁別できる可能性を持っている。この飛程情報を取得するため、 BCCと平行平板型

なだれ計数管(Paranel Plate Avalanche Counter : PPAC)を組み合わせたもの【1221や波形整形を工夫す

る方法[86]がこれまで報告されているが、ブラッグピーク法よりも弁別のしきい値を下げるまで至ってい

ない。

本研究では、カソードのタイミング信号とアノ‑ドのタイミング信号を用いることによって飛程に相当 する情報を取得することを考える。測定手法の概要を図3.15に示す。 3.1.2節でも述べたが、 BCCに入射 したフラグメントは図3.15に示すように電離箱中のガスを電離し、エネルギーに見合った飛程でガス中に 停止する。このとき、グリッド電極によりカソード・グリッド間とグリッド・アノード間をお互いの空間の 静電誘導の影響を受けないように静電遮蔽しているため、カソードには信PJ‑が出力されるが、アノードに は飛程近くの電離電子がグリッドを通過したときに初めて信号が出力され、その結果、カソードとアノード 信号にはカソード・グリッド間距離をd、飛程をRとするとd‑Rに相当する時間差が生じる.カソード・

グリッド間距離(d)は分かっているのでこの時間差から飛程情報が得られる。図3.14に示すように、時間 差法のしきい値がプラッグピーク法よりも低いだけでなく、粒子の飛程は質量数をM、原子番号をZとす るとR=品(aは粒子によって多少違うが例えば1・78)で表され粒子の質量数Mによっても依存する ため、この値を測定することによって、粒子の原子番号Zだけでなく質量数Mも同定することができる。

以上から、このカソード・アノード時間差を取得する手法(以下、時間差法)はしきい値を下げるだけで なく同位体の弁別の可能性も持っており、本研究では、従来のプラッグピークを取得する手法とカソード・

アノード時間差を取得する手法の両手法を用いることにした。

RangpinPIO酢【200 Torr]

図3.14: 200to汀PIOガスでの各粒子の飛程とプラッグピーク法のしきい値との比較

54

3

2

(u

D) u t,

Cathode AAOde

P.江.

図3.15:カソード・アノード信号の時間差の原理

3.3.2 突き抜け補正による高エネルギー領域の拡張手法

BCCのダイナミックレンジを広くできないもう一つの原因に高エネルギー粒子の突き抜けによる高エネ ルギー側の限界がある。本研究で対象にしている粒子はリチウム以上の粒子であるが、 27Al(p,6Li)22Naの 二体反応を考えると70 MeV陽子入射で最大〜48 MeVの6Li粒子が生成される可能性があが.この48 MeVの6uをガスで停止させるには、相当なガス圧が必要であり、実際問題として不可能である。そこで 本研究では、ガス中で止めることをあえてせず、突き抜けた粒子を検出器中に落としたエネルギー情報を 使って補正することを考えるe

図3.16に補正法の概念図を示すが、 AE‑E法の逆問題としてEを導出することを考える。つまり、 △E‑E 法では粒子のAEとBを測定することによって粒子情報を取得し粒子弁別を行うが、この場合はAE情報 と粒子情報からEを導出する。粒子弁別はプラッグピーク取得と同様の方法で得られるAEl情報と検出器 への全エネルギー付与AE2情報によって行う。これら二種類のAE情報によって図3.16のグラフに示すよ うに粒子依存の情報が得られる。また突き抜け現象かどうかの判別は前節で説明したカソード・アノード 時間差情報を用いる。すなわち突き抜け現象の場合、カソード信号とアノード信号は同時に出力されるこ とを利用する。この同時イベントだけを抽出して、 凸EI‑△E2情報で粒子弁別を行い、予め計算によって求 めた検出器長さに対する△E2と入射エネルギーEinの関係から、検出器に入射したエネルギーに戻す。実 際、検出ガスに200 torrのPIOを用いて検出器長さ30 cmの場合の△E2と入射エネルギーEinの関係は 図3.17のような形になる。

この手法以外にも高エネルギー‑ダイナミックレンジを拡張する手法に、 BCCの後ろにSSDなど阻止能 の高い検出器をおく方法もあるが、 SSDを大きくできないために立体角に限界があり収量の少ないフラグ メント洲定には不向きである。本研究の手法では、ガスの阻止能や電界を変えることなく、またBCCの特 徴である大きな立体角を保ったまま、高エネルギー側‑のダイナミックレンジの拡張を行うことができる。

実際、この手法の限界は△El‑△E2情報で粒子が弁別できなくなるまでであるので、理論的には7Liに対し

5計算の詳細は付録77で述べるC

て50MeVまでは適用でき、本研究でのエネルギー範囲では十分なェネルギ‑ダイナミックレンジを確保 することができる。

Detector lengd1 30 cm, PIO伊S 【200torr]

図3.16:突き抜け粒子補正の原理図

0     10      20      30

AE2 PeV)

図3.17: PIOガス200to汀で検出器長さ30 ∝n としたときの各粒子のAE2と入射エネルギー

Ei,.の関係

3.3.3 中性子への適用

中性子の場合入射フラックスが小さいため、検出器の効率すなわち立体角をあげる工夫を行う必要があ る。一方、中性子には電荷がないので、図3.18に示すように、荷電粒子での測定と異なって直接照射する ことが可能である。すなわちGIC手法で紹介したような内部サンプルが適用でき、高効率測定が可能とな る。しかし、この場合、測定サンプル以外にもチャンバーの構造材が直接中性子線に照射されるため、サン プル以外でのバックグラウンド粒子が大量に生成することが予想される。したがって、中惟子入射反応では サンプル有無の差をとることによってサンプルによるフラグメント生成量を導出する。フラグメント測定 では、測定サンプルを非常に薄くせざるをえないので、バックグラウンド粒子を極力抑える必要がある。そ こで、本研究では、重核であるタンタル(Ta)の極板6を用いた。一般に電核では、大きな質蛍数のため、

フラグメントに分配されるエネルギーが小さく、また多くの崩壊チャンネルを持っているので、フラグメ ント生成反応の一つ‑‑つの断面積が小さい。そのため、数10MeV額域では、 Ta極板からはα粒子のよう な軽粒子は生成されるが、フラグメントの場合は生成されてもエネルギーが小さいのでほとんどの場合極 板外には放出されないと考えられる。構造材のバックグラウンドは図3.19に示すように%極板によって

シールドすることによって防ぐことができる。

バックグラウンドのもう一つの主な出所は検出ガス自身である。これは、構造材からくるものと違って防 ぐのが難しい。一般にKrやⅩeなどZの大きい核で構成されるガスを用いることによって、ガスバックグ

6重核であれば何でもよいが、加工性の点でTbを選択した。

ラウンドを減少させることができるが、 BCC手法ではガスの流動速度が電f・のドリフト速度を決め、計数 率を支配するため、あまり遅いガスは使用できない。本研究では、後で述べるが・流動速度に重きを置き、

流動速度が速く一般的なガスであるPIOガス(Ar + 10%CH4)を選択した。

また、放出角度によって、アノード極横から得られるブラッグカーブ情報が歪むという問題があるが、こ れに関しては後で別途考察する。

PrQjecti LB

I rtjcles

col limeter a CS

I./■J7̲ 蔦ィ ツメ

Fragrnent 

c GA

Amngernent for neutron bearTl eXPerhent

tJSjng Br昭CurVe SPeCtrOrTleter

図3.18:通常の実験体系(左図)と中性子実験の実験体系(右)の違い

妄L:Fl ‑̲

図3.19:中性子照射におけるバックグラウンド発生源