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1.目的
今年度から高等学校においても、総合科学研究所と連 携した形での研究活動を開始することとなった。
さてテーマに掲げた「高校生の学力向上に関する研究」
はかなり大きな幅のあるテーマである。「学力とは何か」
と問えば、いくつもの意見があり、議論はつきないとこ ろである。そして今回われわれがまず取り組むことにし たのは、進学指導に重点を置いた「学力」の向上である。
現在、高等学校ではⅠ類・Ⅱ類・Ⅲ類の3つのコースに 分けられ、それぞれ特色のある教育を展開している。中 でもⅠ類は国公立大学・難関私立大学への進学を目指し た授業を展開し、その結果として大学入試センター試験 で7割〜8割の得点を取る学力の育成が急務になってい る。進学指導重点校を指定して学力向上を進めている他 府県の学校の実情を、講演を伺ったり、視察をしたりし て探究すると同時に、公開授業を通して研究を進めてい きたいと考えたのである。そしてまず英語・数学など大 学進学で力を入れるべき科目にしぼり考えていきたい。
2.方法
今年度の取り組みをより確実なものとするために、以 下のことに重点を置き具体的な検討を進めていく。
①【公開授業】
テストに現れる実力作りをどうつけていくか、授業実 践を行う。今年度はその中でも数学と英語の学力向上の ねらいから計画する。
②【講演・学習会】
学力向上・進学実績の改善などの分野で功績を挙げた 学校および研究者を招き、自分自身の指導の中に生かせ るよう検討・学習する。また場合によっては、実際にわ れわれがその現場(学校・予備校)を訪問し、学習する。
3.結果
① 研究会(研究授業)
・日時:11月29日(木)14時20分から17時 ・研究授業 第5限
高校2年4組 数学
単元 数学ⅠA演習 テーマ
受験力を養う「演習授業」のあり方について 授業者 安藤 友一 教諭
本校のカリキュラムの中には、「演習」と名のつく授業 がたくさんある。もちろん、受験に向けて実践力を養う ことを目標として設置されているが、その実施の仕方に ついて、研究・協議されることは少ない。もっと本校生 徒の現状に即した、効率のよい授業展開があるのではな いか。そこに注目をして研究テーマを『受験力を養う「演 習授業」のあり方について』とした。もちろん受験力とは、
一般受験で必要な力のことではあるが、今回はこの受験 力を「センター試験で高得点がとれる力」に限定し、セ ンター試験で結果が残せるような演習授業を考えた。
現在、高等学校のBⅠ類の2年生は、10月で数学ⅠA・
ⅡBが終わり、ようやく受験への学習がスタートした。
1週間に7時間ある数学の授業はすべて受験レベルの問 題を扱っている。しかし、大半の生徒が、受験レベルに 追いついてない現状で苦しい思いをしている。原因を一 言でいうならば「経験値不足」である。その経験値をセ ンター試験に絞り、マーク式回答に慣れさせるためのプ リントを配布し、解かしている。徐々に慣れてきた生徒 が増加し、得点も取れるようになってきたが、効果は現 れないので現在いろいろと策を講じている。
まずそもそも、数学においてセンター試験で高得点を 取るために必要な力を葉なんだろうかと考えてみた。そ れは次の二つが考えられるであろう。
第一に「時間を意識し、複雑な計算も解答にたどり着 ける計算力」である。これは正確に解けるだけではなく、
速く解けるような訓練が必要である。
第二に「問題のパターンやツボを読み取り、どの公式 を使うのかを瞬時に判断する力」である。これは問題と 対面したときに、そのパターンを考え、あとは計算を効 率よく行う。瞬時に判断できれば時間の余裕にもつなが る。そこで受験力の中の特に計算力と判断力に大きく意 識した授業作りを提案したのがこの授業であった。
この授業のなかで、時間を意識して計算力を向上させ るチェックシートを配布し、記入させながら展開した。
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これにより、生徒は自分の計算力を自覚することができ たと思う。
また演習の時間でよく問題になることは生徒の実力差 であるが、ここでは同じ問題のランクが異なる3種類の プリントを用意し、生徒たちは自分のランクにあったプ リントを自分の判断で選択することができた。
その後行われた研究協議において、活発な意見交換が 行われた。ヒントの出し方や板書の工夫について、課題 の選定などについて多くの意見・感想が述べられた。ま た本校で実際行われている他の教諭による演習授業につ いても工夫方法や生徒の個人差への対応方法について話 題となり、これからの演習授業を組み立てていくかなで 大きな参考となった。
このような形で念願であった総合科学研究所との共同 の研究会の 第一回 が終了した。
・日時:2月26日(火)14時20分から17時 ・研究授業 第5限 高校1年9組 英語 単元 「英語Ⅰ」
Lesson6 Water Shortages Around the World テーマ 表現力(作文力)をつける授業を目指して
授業者 加太 良枝 教諭
今年度の大学入試センター試験では、これまでと異な り新しい出題傾向として、視覚的に描かれたもの(イラ ストや4コマ漫画)の内容について説明した英文を読み 取る問題や、段落を内容のまとまりごとに分類する問題 が出題された。これら新傾向の問題に求められた英語の 力は、一文一文の意味がわかる「和訳力」ではなく、む しろ「概要を把握する力」であった。つまり、センター 試験で求められる読解力では、長文を一つずつ丁寧に訳 していく「和訳力」よりむしろ、イラストや4コマ漫画 などといった視覚的なものを読み取り、さらにそれに付 随する説明を正しく読み取る「概要を把握する力」を求 めるようになってきているのではないかということがう かがえる。
しかし現状の英語Ⅰの授業では、一文一文を丁寧に読 み取る「和訳力」をつけることに多くの時間が費やされ、
教科書に添付されている図表を読み取り、それについて の説明を考える「概要を把握する力」をつけることに時 間を費やすことは少ない。そこで、視覚的なイラストや 図、グラフなどを読み取り、それを説明する「概要を把 握する力」を養う練習を授業で取り入れていく必要があ るように思う。
「概要を把握する力」を育成していく過程で「情報読 み取り力」と「情報分析力」は欠かせない存在であると いえる。次に、情報を読み取り、分析した後に必要と なってくるのは、それらを表現する「表現力」である。
もちろんセンター試験のようなマークシート方式の試験 では英作文を求められることはないが、「概要を把握す る力」を養う際に、分析した情報をまとめる力である
「表現力」をつけることは重要であるように思う。英作 文では、日本語から英語の文の骨格を正しく形成する力、
日本語と英語の構造の違いを踏まえて英語に転換する力、
表現に必要な語彙・文法を的確に判断して使える力、英 語の文章構造を踏まえて論理的表現が出来る力などが必 要であるが、「表現力」を養うためにはこういった能力 の向上が望まれる。
今回は教科書で扱うテーマについて、図、グラフを利 用し、英語で説明することを通して「概要を把握する 力」を養う上で必要となってくる「表現力」をつける授 業を試みた。
その後行われた研究協議において、活発な意見交換が 行われた。
②講演会
・日時:12月15日(土)
午前9時30分から11時 演題テーマ
「成績向上校の実例研究」
講 師 長井 清
(学校法人河合塾 中部地区営業部 名古屋)
講師略歴
1983年学校法人河合塾に入塾し、在職25年になる。
その間に岐阜校・千種校・浜松校においてチューターと して塾生の進学指導にあたり、飛躍的に合格成績を向上 させた。また2003度まで大垣校の校舎長として、現役 生徒の進路指導で活躍した。現在は進学講演の講師とし て幅広く活躍している。
講演会を終わって
今回われわれがテーマとしたのは、進学実績の向上に つながる学力であり、前回の研究授業ではそれを「受験 力」と表現した。この受験力を学校として如何に向上さ せていくかは、教員一人ひとりのみならず、学校として の取り組みも不可欠である。そのためのヒントとして、
多くの学校を訪問し、その内実に詳しい講師の話しを聞 き、本校の進学実績の向上につながっていければと考え た。その話の中で、いくつかの指摘を見出すことができ る。
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・進学校としての意識付け
3年生の教員しか進路指導ができない。1・2年生の 担任になると受験のことは関係なく考えてほっとしてし まう。当然生徒の意識も低い。そのため、高校入学式ま での課題として小論文を課す。たとえば「夢の大学」「彼 にしたいスポーツ選手」など書きたくなるテーマで出題 する。今の生徒は自分の考えを書きあらわすことを経験 していない。
また失敗校では大学推薦入試の小論文指導を国語の線 のみに任せている。医療系や技術系など専門分野が多岐 にわたる中、学校全体の教員が取り組まなければ成功し ない。
進学説明会を1年次より開催し、生徒および保護者の 意識を改善する。教師が3年担任の後、1年・2年・3 年と持ち上がって担任した場合でも4年前とは大きく 違っている。ましてや保護者の入試感覚は30前である。
推薦入試の状況や各大学の何度も激変している。当然教 師もよくこのことを勉強しなければならない。
・授業での実例
予習を必ず家庭でさせる。授業で次の範囲を伝える。
予習さえさせられれば大きく変わる。授業が確認の場に なる。
小テストを有効に使う。小テストがカリキュラム化さ れている。単元ごとの小テストをやる時期が年間を通し て決められて、一年分の小テストが最初に準備されてい る。授業は遅れることはできないし、基礎力を確実に定 着させる授業が求められる。
高校1年の授業から大学入試の問題を取り入れる。解 ける入試問題を選んで、授業の最初に提示し、授業の後 にはできるようになっている。生徒の意識も変わる。
補習については、希望制でやっている学校は伸びない。
3年間トータルの補習のカリキュラムの下で実施すべき である。当然ながら「私は復習をする。」「私は入試問題 を解く」「私は地図問題をやる」といった担当に決まった 教員がその場で内容を考えるような補習は失敗する。
・その他の実例
夏休み期間中を利用して、自習室の開放の仕方を工夫 している。自習室を用意する際に、受験科目ごとに教室 を用意し、担当の教科担当を配置する。また生徒は弁当 のみならず夕食用弁当まで持参させ、夜9時まで自習さ せている例もある。当然教員の残業手当も支給されると いう支援を受けてのことである。
また今の生徒はお金に無頓着である。高校の授業料す ら知らない。大学入試と学費などがどれくらいかかるの わからせておく。
今後さらに学校見学・研究授業を実施して生徒の学力
向上の方法を追究していきたい。