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質の高い家庭科教員養成のためのプログラム開発の試み(その1)

ドキュメント内 D.o...p_ ec5 (ページ 84-93)

−国際交流プログラム企画・ホームページ作成−

A Study to Develope Programme to Encourage and Promote Home Economics Teachers and Their Ability Ⅰ International Exchange Programmes:Theory and Practice

山口厚子・白井靖敏

Atsuko YAMAGUCHI , Yasutoshi SHIRAI

      

1 例えば、欧州、アフリカ、米国、カナダ、アジア諸国など家 政学は世界に存在する。さまざまな国の家政学者が会員となっ ている国際家政学会(Inaonal Fedeon r Home  Ecnomis)が存在し、28年には10周年を迎える。

      

2 その他、家政学分野が発展させてきた専門職には、栄養士、

生活改良普及員、家族の専門家、企業で働く家政学者(Home  Economit n Busnes)など様々なものがある(例えば、 

e & i,17、h & Yot,2等) 3 例えば、近年、自国の家政学の歴史を再考し、問題点や可能

性を示唆する書物がみられる(Pndt,1 等)。現在、

国際家政学会主導で家政学の世界的な連携と発展をめざし、ど の国でも共通理解が可能な家政学の本質についての文書化作業

(英語)が進行中である。

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ように思う。ここ数年、家政学に関わる国際学会に出席 する中で感じたのは、国際舞台におけるわが国の若手の 家政学者の少なさや情報発信・貢献度の少なさであった。

こうしたわが国の現状をみていると、わが国の家政学領 域における「人材育成」について再度検討する時期がき ているように思う。国際的に家政学者が連携して家政学 やそれに関わる教育や専門職を発展させていこうという 世界的な動きの中、家政学の本質を理解した上で脚注1、 国内外の教育・研究者と連携して十分に能力を発揮でき る人材を育成することが今、求められている。

 そこで本プロジェクト研究では、本学で伝統的に存在 する家政学部の中で行われる人材育成の中でも、特に家 政学領域が古くから輩出してきた専門職の一つ、家庭科 教員の養成に注目し、先述したような質の高い家庭科教 員養成のためのプログラムを開発、検討することにした。

2.目的

 質の高い家庭科教員養成プログラムの開発は、実際の ところ、2年という期間で完成するのはむずかしい。そ こで、今回の研究では、以下のような具体的な目的に そって研究をすすめた。

(1)国際的な視野をもつ人材を育成するような大学レ ベルでのプログラムの開発を試みる。

その中には、家政学の本質を活かした魅力的な国 際交流授業を計画・実践できる人材を育成するよ うなプログラムを入れる。

(2)中等教育レベルにおいて家政学を活かした国際交 流プログラムを実践し、その可能性と課題を探る。

3.結果・考察

 以下、本研究の目的にしたがって、平成18、19年度に 行った研究方法および結果を述べ、考察する。

(1)国際的な視野をもつ人材を育成するような大学レ ベルでのプログラムの開発

〜平成18年度〜

①家庭科教員を目指す本学家政学部家政学科4年生2名 が、後述するシンガポールと日本の高校生の国際交流授 業にコーディネーターとして参加することを企画した。

具体的には、教員(日本語、英語2種)と生徒用のメー リングリストへ登録するなどした。

 実施期間は、平成18年4月から平成19年3月であっ た。

 結果として、成功しなかった。その理由は、学生の英 語力が欠けていたこと、コーディネートをするスキルが 身についていなかったこと、日本とシンガポールの家庭 科教育についての知識に欠けていたことがあげられる。

しかしながら、効果としては、参加した二人の学生は国 際交流授業に関心をもち視野が広がったことに効果が あったと言える。

②上述した家庭科教員を目指す4年生(2名)は、「卒業 研究」において、「日本におけるICTを用いた国際交流授 業の実践例についての調査」、「日本とシンガポールの教 育制度および家庭科教育の目的や内容の比較検討」を テーマに論文作成へ取り組んだ。

 実施期間は、平成18年3月から平成19年2月であっ た。

 結果として、彼女たちは、ICTを用いた国際交流プロ グラム実践の方法と、日本とシンガポールの家庭科教育 の内容と目的について理解が深まった。

③家庭科教員を目指す本学家政学部3年生(食栄、環境、

家政学科の学生)50人を対象とした「総合演習」におい て、高校の家庭科の授業における国際交流プログラムを 企画する課題を遂行させた(90分、8回)。具体的には、

50人の学生を3〜4人の小さなグループに分け、1)自 由に国際交流プログラムの相手国を決める、2)選んだ 国の基礎的なデータ、教育制度、家庭科教育の内容につ いて調べる、3)日本における国際交流プログラムの事 例を調べる(科目は問わない)、4)高校の家庭科におけ る国際交流プログラムを計画する、5)グループで発表 をし、議論する、というステップをふむよう指導した。

 実施期間は、平成18年9月から11月であった。

 学生たちは韓国、タイ、シンガポール、米国、オース トラリアなどの国を選んだ。国際交流プログラムのテー マとしては、食生活、食文化、衣文化、生活文化、家族 を選んだ。生徒の中には、他国の家政学や家庭科教育や、

国際交流プログラムを計画することにとても関心をもつ 者もいた。何人かの学生は、実際に国際交流プラグラム を体験することを望んでいた。

〜平成19年度〜

④家庭科教員を目指す本学家政学科4年生2名は、「卒 業研究」において、「シンガポールの食文化」「家庭科に おける国際交流授業の可能性と課題 〜食生活と食文化 の視点から〜」をテーマに論文作成へ取り組んだ。

 実施期間は、平成19年4月から平成20年2月である。

 これらの学生は3年生のときに、「総合演習」において 国際交流授業の企画を行った経験から各自のテーマを選

      

1 特に言語や文化が異なる同分野の専門家とコミュニケーショ ンをとり、協力していく場合、共通の認識として、世界的に共 通した家政学の本質を理解していることが有効であるように思 われる。

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んでいる。特にその中の1名は、実際に家庭科教員にな ることをめざしている学生であり、将来的に家庭科を活 かした国際交流プログラムを実施することに関心を寄せ いている。国際交流授業方法や日本の家庭科の学習指導 要領において、家庭科教員としてどのように国際交流授 業へ参加することができるかを考察している。

⑤家庭科教諭、および福祉科教諭・栄養教諭をめざす本 学家政学部3年生(食栄、環境、福祉学科)59名を対象 とした「総合演習」において、(A)日本における生活問 題の実態の把握と問題解決方法の考察する、(B)効果的 な学習者参加型の国際交流学習のあり方を考察する、と いう課題を遂行させた(90分、15回)。具体的には、4

〜6人の小グループにわけ、関連資料を調べて、話し合 い、発表をするよう指導した。課題(A)では、1)衣、

食、住、子どもの発達と家族、消費生活と環境、福祉な ど家政学や家庭科教育の関連内容にそった日本における 生活問題をとりあげ、2)それらの課題を解決するため に私たちはどのように生活経営をすればよいか、3)自 分の専門(家政学、もしくは栄養教諭、栄養士、福祉科 教諭、家庭科教諭など専門職の立場)から何ができるか についてまとめるよう促した。課題(B)では、国際交 流学習の意義や方法、課題解決力を育成するための学習 支援の方法などを具体的なテーマとして取り上げるよう 促した。

 実施期間は、平成19年9月から平成20年1月である。

 結果については、現在進行中であるために具体的には まだ記述できないが、この授業を通じ、学生が、国際的 な場面で日本の生活問題を家政学の専門の立場から情報 発信する際に有効な知識や、その情報発信の方法(話し 合いやプレゼンテーション)を主体的に学ぶことができ ているようである。また、国際交流学習の意義などを調 べることで、国際的視野をもつという点で、ある程度の 効果があるように思われる。

⑥家庭科教員を志望する学生ではないが、本学家政学部 の生活福祉学科2年生の学生14名を対象にした「基礎ゼ ミ」後期授業において、外国の家政系の学生たちと国際 交流する際に、日本の生活文化について情報発信するこ とを想定し、日本の生活文化について調べて発表するよ う指導した(90分、15回)。具体的には、3つのグルー プにわけ、それぞれのグループで、日本の「食文化」「衣 文化」「住文化」についてのテーマを選択させた。

 実施期間は、平成19年9月から平成20年1月である。

 結果については、こちらも現在進行中であるために具 体的な記述はできないが、この授業を通じ、学生たちに、

国際交流の場において、自国の生活文化について発信す る際に必要な知識の習得や伝達方法(プレゼンテーショ

ンの方法)を学ぶ機会を与えることができたのではない かと思う。

 以上、この2年間に、国際的視野をもたせることに焦 点をあて、先述したような質の高い家庭科教員養成を目 指し、有効なプログラムを検討するために、さまざまな 指導方法を試みた。そこで分かったのは、将来的に国際 交流プログラムを計画・実践できるような教員を養成す るためには、学生の英語スキル、ICTスキル、国内外の関 係者や生徒とコミュニケーションをとりながらプログラ ムをコーディネートするスキルを身につけさせる必要が あるということであった。また、同分野のみならず他分 野の専門家と協力する上でも、自分たちの専門分野(家 政学)のアイデンティティをしっかりともち、情報発信 できる知識を身につけること、また、情報発信するため のプレゼンテーションやディスカッションのスキルを身 につけることも重要であることを確認した。こうしたス キルを学生に身につけさせるには、今後、それらに対応 したプログラムを開発する必要があるだろう。今回は、

実際に国際的にコミュニケーションをとるという実践的 なプログラムを用意しなかったが、今後は、国内外の学 生たち(学部生、院生)とさまざまな形でコミュニケー ションをとることのできる実践の機会(例えば、eメール 交換、web上での意見交換と情報発信、テレビ会議等)

を計画したい。そのためには、研究者側がそうしたプロ グラムを進めるために有効な情報を国際的体系的に収集 し生徒へ提示すること、また、プログラムが円滑に進む ための仕組みや環境づくりが求められるということも実 感した。

(2)中等教育レベルにおける家政学をいかした国際交 流プログラムの実践

〜平成18年度〜

①家庭科のコンテンツを用いた高校レベルでの国際交流 プログラムの実施(対象者:日本とシンガポールの高 校生)脚注1

〔方法〕

実施時期:平成18年4月〜平成19年3月。

対象者:シンガポールの高校生7名(ホリー・イノセン ツ高校、女子生徒4名、男子生徒3名、16−17歳)、日 本の高校生14名(三重県立久居高等学校、女子生徒10 名、男子生徒4名、16−18歳)。

対象教科:シンガポール側は家庭科(food and nutrition)、 日本側はインターネット英語であった。

国際交流手段:1)メーリングリストサービスによるe

      

1 詳しくは、拙稿(27a, 27b)を参照されたい。

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