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音楽科の授業形態

第五章  音楽科の授業方法

第 4 節 音楽科の授業形態

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 前節において、様々な授業形態とその特微について、主に歴史的な流れの 中で考えてきた。

 その考察の中から、様々な授業形態は、それぞれの長所や短所を持ってお り、どのような授業にも通ずるような授業形態は、存在しないように思われ る。だから、結論的に言えば、授業の目的に応じて、最も効果的な授業形態 を工夫することこそ重要であろう。

 しかし、現実の学校体系は、学年制を基本とした学級をもとに考えられて いるものである。このことは、当然のことながら、一斉学習を授業形態の基 本型と考えなければならない要因となる。つまり、基本型としての一斉学習 の授業形態を認めた上で、その欠点を補う努力をすることが、最も妥当な方 法であろう。

 それでは、一斉学習の欠点とは何であっただろうか。これは、前述のよう に、次の二つに要約できよう。

1.一斉学習は、個人差を無視した画一的な授業に陥いりやすい。

2.一斉学習は、子どもの活動を無視した教師中心の授業に旧いりやす

 い。

授業形態を考えるということは、基本型である一斉学習の欠点を正しく把

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握し、それに陥いらないような手立てを工夫することこそ、その出発点とな らなければならない。これは、どの教科においても言えることである。

 それでは、音楽科においては、どのような授業形態が望ましいのであろう

か。

 音楽の学習は、教師の心と子どもの心の触れ合いの中で、より楽しく、よ り美しい音楽を創っていこうとする努力によって進められるものである。そ の中で、子どもの持つ特性、個人差に応じ、それぞれ十分にその個性を発揮 させ、生き生きと音楽活動に取り組める状態を作っていくのが、教師の大切 な役割である。

 しかし、現実には、十分にそれに応えていない。ふだんの授業を振り返っ てみると、教師中心の一斉指導になりがちである。音楽科の目標到達への道 を、「児童が音楽の美しさに感動し、意欲的に学習すること」と仮定した場 合、教師中心の一斉指導よりも、一人一人を生かした授業形態が必要なよう に思われる。

 つまり、小グループによるアンサンブルや話し合いの経験を重ねることに より、子どもの音楽に対する意欲が高まり、主体的な学習につながるものと 考えている。

 そこで、音楽科の授業形態を、大きく、「全体学習」と「グループ学習」

に分けて考えてみたい。全体学習とは、一斉学習と同義である。また、ここ で言うグループ学習とは、グループを学習の手段でもあり同時に目的でもあ る、とする立場で考えている。つまり、その中では、音楽の学習を中心に活 動するわけであるが、同時に、教科外の活動である仲間づくりなどもねらっ

       193 ているわけである。

 ただし、ソビエトの集団主義系列の、集団づくりをめさした「班学習」と は違うので、「集団学習」とか、「小集団学習」と呼んだ方が適切なように 思われる。

 まとめてみると、ここで使用している「全体学習」とは「集団学習」、「

グループ学習」は「小集団学習」を意味しているものである。集団学習は、

学級を学習の共同集団としてとらえ、さらに、集団を小集団に分けて討議さ せることにより、全員が活発に学習に参加することをねらったものである。

その中では、小集団学習は、集団学習の構成要素となるわけである。

 全体学習とグループ学習は、以上のような意味で使用しているのであるが、

集団学習や小集団学習という言葉を使用しないのは、子どもに説明する場合 にむずかしいし、言葉からくる印象で、誤解を受けやすいと判断したからで

ある。

 さて、次にグループ編成の仕方であるが、児童数、音楽室の広さ・造り、

楽器の数、/グルー一・一一プ内での活動しやすい人数などの観点から、6つのグル ープを作ってみたい。

 その作り方は、子どもの意見により、学級内から6人のリーダーを選出し、

男女混合になることを条件に、自分の希望するリーダーに所属するという形 をとった。/グループの人数は、6〜7名である。指導者としては、なるべ

く等質グループになることを望んだが、必ずしもそうはいかない編成になる ことが多い。しかし、子どもが望んだ編成であるし、何よりもそのグループ

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での活動を通して、主体性が出てくることこそがねらいであるので、このま まの形で続けたいと思っている。

 次に、グループ学習を取り入れた授業は、具体的にどうずればよいのか、

歌唱教材と器楽教材について、その概要を述べてみたい。

(/)歌唱教材において

 歌唱教材の学習において、教師自身のねらいをはっきりとさせ、また、子 どもたちも、学習のめあてや評価の観点をつかむようにするために、「歌唱 の6つのチェックポイント」を作り、音楽室に常に掲示している。その内容 は、次のようになっている。

1.美しい声で歌えていたか。

2.リズム、ブレスが正確にとれていたか。

3.発音を正しく、はっきりと歌えていたか。

4.i表情のつけ:方は、うまくいったか。

5.アルトのふしが正しく歌えたか。

6.美しいひびきで合唱できていたか。

 6つの項目を取り上げたわけは、子どもたちに演奏の評価をさせる場合に、

グループごとにやらせるので、一人が一項目について必ず評価できるように 考えたつもりである。

      195  この項目に従って、指導者もねらいを整理し、題材に即して子どもたちに おろしていかなければならない。指導者は、次のように考えた。

◎ 「思い出」の学習の時のチェックポイント  1.やわらかい声

2.月のリズム、「いっかの」の後のlir eまブレスをしない

3楽な、凝るかな、き⑧め◎り、ゆら◎

4.mf、皿p、 p、〈、〉、3フレーズめの対比

5.階名唱、音程

6.3度音程中心の美しい響き

このチェックポイントの利用によって、子どもたち全員が参加できる評価 をねらうだけに留まらず、だんだんに、子どもたちが自分でポイントを見つ け出したり、練習の方法、方向までさぐるようになればと思っている。  ・

 グループ活動の仕方について考えると、上記の演奏の評価の場合を除いて、

合唱教材では、二つのパターンがあるように思われる。

 一つは、奇数班はソプラノパート、偶数班はアルトパートというように、

/グループを同じパートに属させる方法と、もう「つは、/グループを全部 二つのパートに分けるという方法である。

 どちらも一長一短があるように思われるが、次の考えから、後者の方法、

つまり、グループごとにその構成員を二つのパートに分け、ソプラノにもア ルトにも、全部のグループから入ってくるという方法を取ることにした。

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0何よりも、子どもたちが自分の声についての意識を持ち、その結 果の希望であるということ。

○ 短時間に、スムーズに合唱を仕上げるのにょい。

0 いつも同じグループでの練習だとあきてくる。

○ グループ内に、違うパートを練習した人がいると、後からの評価  の時や、グループでの合唱発表の時に生きてくる。

 ただ、曲ごとや時間ごとに変わるパートだと、練習が徹底しにくかったり、

リーダー養成の問題も出てくるので、なるべく、自分のパートを固定させる ようにしたいと思っている。

(。2)器楽教材において

 グループ学習を取り入れた器楽学習の展開を、一つの教材を通して、次の ような流れでとらえたい。

1.全体学習

0 曲の理解、動機づけ

0 各パートを視奏し、演奏上の問題点を調べる。

0 出だしの合図、リズム、テンポ、フレーズ、メロディー、バラン   スなど、アンサンブルの観点の理解

2.グループ学習

○ 楽器の選択、パートの分担 O 練習討画の立案

○ 各パートが正しく演奏されているか確認する。

O リーダーを中心に教え合いながら練習する。

3.:全:体学習

○ 練習の経過や観点を述べ、グループ発表(演奏)する。

○ 演奏について意見の交換をする。

○ 全体で演奏する。

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 /時間の授業の流れは、一つの教材の何時上目かで若干違ってくるが、上 記のような「全体学習」→「グループ学習」一→「全体学習」の順にした いと思っている6

 グループ学習は、言うまでもなく、グループの中で児童一人一人を見つめ た指導になるべきである。そこで、グループ宕の練習の目安となり、学習意 欲を喚起すると同時に、常に一人一人の実態が把握できるようにと、「グル ープカード 1」を考えた。

 また、他のグループの演奏を聴く時、観点をおさえた鑑賞ができ、グルー プ内での話し合いが充実できるようにするために、「グループカード 2」

を考えた。

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「グループカード 1」 の例

月   日 年  組    班 曲名:

〔グループ学習のめあて〕

〔練習内容・練習方法〕

、氏   名 パート 演 奏 進 歩 協 力 話し合い

〔反 省〕

「グループカード 2」 の例

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月   日 記入  班 曲名: 演奏   班

出だし リズム バランス 曲 想 姿 i勢 総 合 評 価

〔気づいたこと〕

200

また、学習を進めていく際に、次のことを注意していきたい。

○000

何らかの形で、全員が参加した学習であること。

お互いに意見を出し合い、助け合った学習であること。

グループ内での話し合いは、要領よく、短時間で終われること。

移動が、早く、スムーズにできるようにすること。

※ 「グループカード1・2」とも、評価は、◎・○・△の三段階評価

※ 第五章における引用文献・注釈など

(3)グループ学習を取り入れた捜業での留意点

 グループ学習は、効果的な方法であるとはわかっていても、ふだんの授業 では、なかなか取り上げられないものである。グループ学習の指導について は、次のように考えている。

(1)C。Wa shburne、1919年、シカゴ近郊のウィネトカ市において、新  しい教育システムを導入した。

(2)Helen Parkurst、1915年にマサチューセッツ州のダルトン市で個別  学習の試みが実施された。

(3)J。B。 Conant、いわゆるコナント報告という形で、従来の高校教育  は能力の優劣を無視して画一的な教育を行なっていると批判した。

1.授業過程の中に、意識してグループ学習を取り入れる配慮をする。

2.学習の目標を明確にし、そ・れをグループ学習のめあてと結び付け、

全員に目的意識を持たせる。

3.グループのまとめ方、練習の方法、表現の方法などについて、リー ダーとのコミニュケーションを通じて、その育成を図る。