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鑑賞教材による題材の授業案

ドキュメント内 小学校音楽科の授業づくりについての一考察 (ページ 125-143)

第六章  音楽科の授業案の実例

第4節  鑑賞教材による題材の授業案

第5学年3組音楽科授業案

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1。題 材  歌けき「ウィリアム・テル」序曲 (ロッシーニ作曲)

2。目 標

 (/)鑑賞を通して楽曲の表している気分を感じ取らせるとともに、オー    ケストラの演奏による表現の美しさを味わわせる。

 (。2)説明により歌劇や序曲について理解させながら、主な旋律を覚えた    り、演奏している楽器に注意して聴かせる。

 (3)話し合いにより各場面の様子や特色をとらえさせ、それを特徴づけ    ている様々な音楽の要素に気づかせながら、積極的に鑑賞しようとす    る態度を養う。

3。指導にあたって  (/)題材について

   O 作曲者のロッシーニ(1792〜1868)は、イタリアの歌劇の作曲家     である。 「セビリアの理髪師」 「ウィリアム・テル」などの歌劇を     書き、通俗化したイタリア歌劇に新生命を与えた。

   ○  「ウィリアム・テル」は、シラーの詩劇にもとづいて歌劇化され     たもので、四幕五二からできている。今日では、歌劇全曲が上演さ     れることはほとんどなく、序曲だけが演奏会用として取り上げられ     ている。この序曲は、四つの部分に分かれて、それぞれ標題音楽的     な副題がつけられている。

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1.「夜明け」 (アンダンテ)ホ短調、4分の3拍子        費   〉

   o      ・9      il ri・r了 _一

  アルプスの山々と、湖に訪れる平和な夜明けを描いたもので、

チェロの独奏で始まり、チェロの五重奏が主体になる。

2。「嵐 」 (アレグロ)ト長調、2分の。2拍子

g{IIIIIIiSi::li:IIIIIII1Ilil11ISIE:lililil:lll.ililllllllEllilllliirv.b....一一.,...,.,,,., g一

      

  遠くから襲ってくる嵐の前ぶれを示す弦のppによって始まる。

次第に楽器の数の増加とクレッシェンドによって嵐の到来を告げ る。全楽器の総奏となり、やがてティンパニの遠雷が聞こえて、

嵐も遠ざかっていく。

3。「静けさ」 (アンダンテ)ト長調、8分の3拍子

         r−3【r−3一  r−3一 一e 一     一一 in

    ③       一       一 一

      の

       ρ\く一ン \〕を/

  嵐の過ぎた後の静かな情景を表わす。イングリッシュ・ホルン の牧童の笛と、こだまするフルートが対話風に進行する。

4。「行進曲」 (アレグロ)ホ長調、4分の2拍子

      247     スイスに平和をもたらした軍隊の行進の様子を表わしている。

   初めにトランペットの勇ましい独奏⑭F−a)に導かれて、はずむ    ような感じの行進の主題(@一b)に移る。中間部をはさんで再び    行進曲となり、コーダでいっそう盛り上がる。

0 この楽曲は、児童にとって親しみが持て、楽しく聴くことができる  ものと思われる.さらに、オーケストラの表現効果と相まって、音楽  の表情を感じ取らせるために、最適な教材といえるであろう。

0 本題材の中心観念と基本要素は次のようになる。

中心観念

基本要1素

  オーーケストラの表現効果と、それが表している音   楽の表情の美しさ

1。歌劇や序曲について知り、楽曲全体に関心を持つ。

2 。楽曲を特徴づけている音楽の要素を感じ取る。

3。オーケストラの楽器に関心を持ち、その表現効果

 を感じ取る。

O 学習指導要領や学年の指導内容との関連は次の通りである     ・学習指導要領との関連

       B鑑賞(/)のア・イ・ウ・工(内容は省略)

    ・学年の指導内容との関連

       巻末資料5年生の指導内容の10・11。12

(。2)児童について

 ○ 本学級は、男子17名、女子24名、計41名の構成である。

 ○ 明るく元気のよい学級で、全般的に音楽が好きという児童が多い。

  学級での活動でも、朝の会や帰りの会で自主的にいろいろな歌を歌   っている。音楽の授業では、児童に指揮をさせたり、伴奏をさせた

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   りすることも多くあるが、積極的にやろうとする児董もかなりいる。

   しかし、申には、音を聞いても正しい音程がとれなかったり、器楽    に関して、縦笛の指使いもなかなか習得できない児童もあり、音楽    的な能力差も大きい。

 (3)指導について

  ○ 子どもたちは、一般的に鑑賞の時間が好きである。しかし・、その    原因を深く吟味してみると、 「表現することがきらい」ということ    の裏返しを意味しているのではないかと思われることがある。つま    り、鑑賞の時間には、声の良し悪しも、演奏の技術も関係がなく、

   受身の状態でさえいれば時間が過ぎてしまい、それでことが足りる    ことを表わしていはしないだろうか。このような現象を整理してみ    ると、次のようになる。

     1。音楽指導が技術を追いかけるあまり、知らず知らずのうち       に、音楽の授業が好きな子と、きらいな子の差を大きくして       しまう。

     2。音楽の授業が好きな子はもちろん、音楽は好きだが音楽の       授業はきらいな子も、受身でいればよい鑑賞の授業は好きに       なる。

     3。静かに聞かせておけばよい鑑賞の授業は、教師にとっても       息ぬきの時間になってしまって、教材の研究や指導法の研究       もあまりしない。

     「4。このようなことから、音楽の授業が好きな子までも、受身       の態度で鑑賞の授業に向かうことになる。

       249 0 このように、教師の側が、「子どもは鑑賞が好きである。だから   聞かせっ放しにしておけばよい。」と短絡的に考えてしまったら、

  そもそも鑑賞が好きということじたい、大きな問題となってしまう   のである。

  鑑賞というのは、主体的な表現のもととなるものである。そして、

 鑑賞教育のねらいも、音楽の美しさを全体的に受けとめ、受け入れ   る力を養うと同時に、音楽の要素を分析的に聴き分け、それを通し   て、要素を生かした表現も指向するものでなければならないものと  思われる◎

   だから、子どもたちが鑑賞が好きだからどんな授業でもよいので   はなく、その好きなことを土台にして、音楽科全体の諸能力を養い、

 表現の面までも含めての、本当の意味での音楽好きな子どもを育成し  なければならないのである◎

  これが、鑑賞は音楽教育の根幹であり、鑑賞と表現は一体であると  言われるゆえんである。

0 このようなことから、音楽科の表現の領域でも、技術主義に走るこ  とをさけるとともに、鑑賞教育においても、音楽的な力が高まり、主  体的な聴き取りができるような指導を研究する必要があるのである。

  そのために、鑑賞指導では、「印象的把握」一「知的分析」一一 一「総合的に味わう」という流れを重視しなければならない。

○ 本題材においても、「題名つけ」という活動から、なぜそのような  題名をつけたのか、という発問によって、リズム・メロディー・音色・

 速度・強弱などの音楽の要素に気づかせ、それらを分析的に聴かせる  ことによって、最初の印象的なとらえ方から、一段高まった、感動を

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    持って総合的に聴き味わうとらえ方ができるようにしたいと周って

    いる。P

4。指導言f画(4時間扱い)

第一一次(全体): 意欲を持って全体的に把握する段階     /時間        (本時)

  0 物語の内容を知らせ、4曲を通して聴かせ、題名つけ

   をさせる⑲

  ○ なぜそう感じたのかを話し合わせ、聴くめあてを    考えさせる。

第二次(分析): 曲を構成している要素に目を向ける段階   2時間   ○ 各自のめあてをもとに、/曲ずつ分けて聴かせ、特徴ある

   要素を見つけさせる◎

  O 指導者の説明や友だちのめあてを参考に、自分が気が    つかなかったことをめあてに持たせる。

第三次(総合): 感動を持って味わう総合的段階       /時間   ○ 気がつかなかったことに注意しながら、/曲ずつ分け

   て聴かせる。

  ○ 主旋律を口ずさんだり、指揮をしたりさせる。

5。本四の指導  (/)目 標

   0 4つの曲を聴いて題名つけをさせることにより、曲を構成してい     る様々な要素に目を向けさせる。

   0 話し合い活動を通して、互いに意見を出し合い、より高次な聴き     取りをする態度を養う。

       251

(2)指導にあたって

 O 主体的な鑑賞にするためには、まず導入の段階での興味づけが大   切である。ここでは、各自で音楽を聴いて題名を考えるという活動   を通して、曲に対する意欲を喚起したい。

 ○ 次の段階では、各自でめあてを持って聴くことが、主体的な学習   につながる。この題材の学習では、児童個人でめあてを決めて聴く   という形をとりたいので、「なぜそのような題名をつけたか」とい   う話し合いを通して、音楽の要素を意識させたり、自分のめあてを   確認したりしながら、受身ではなく、主体的な鑑賞になるようにし   たいと思っている。

(3)授業過程

学習活動

指 導 上 の 留 意 点 備  考 1。 「白鳥」を ○ 第4学年で学習した曲を聴かせ 「全体学習」

聴き、曲の気分 ることにより、曲名と曲の表わし 白烏のレコード を感じとる。 ている情景とを関連づけさせる。

2。呼時のめあ ○ 物語の中のどんな場面を表わし てを知る。 ているか想像しながら音楽を聴き、

題名つけをすることを知らせる。

3。 「ウイリア 0 物語のあら筋は、要点をおさえ ム・テル」のあ て説賢したい。教科書は見せない。

ら筋を知る。

4。音楽を聴き、 0 児童の実態に合わせて、!曲ず 「ウィリアム・一 題名づけをする 。つ分けて聴かせたい。 ル」の録音テ

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○ 音楽の表わしている情景を想像 しながら聴かせる。

○ 児童の主体的な印象をもとに、 題名記入カード カードに題名を書かせる。

○ なぜそう思ったかの理由も、簡 単に書かせる。

5。カードをも ○ /曲ごとに題名を整理し、なぜ とに話し合う。 そう思ったかを話し合う。

○ 子どもたちの聴き取り方は様々 だと思われる。自分と違った聴き 取り:方に注目させたい。

6.曲名を知る。 ○ 話し合いの終わった段階で教科 書を見せ、曲名を知らせるように

する③

7。再び全曲を ○ 今後は全曲を通して聴かせ、各 ウィリアム・テ

聴く。 自の印象や友だちの発表で参考に ルのレコード なることを確かめさせるようにし

たい。

8。次時につい ○ 自分独自の聴き取りのすばらし

て知る。 さをほめ、各自の三時からの聴く めあてを考えさせる。

(4)評 価

 ○ 曲の表わす情:景にふさわしい題名がつけられたか。

 O 音楽の要素に気づいて曲を聴いていたか㊨

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