第 四 章 音楽科の教育内容
第3節 音楽科のカリキュラムについて
この節では、前節での教材の構造化の考え方をうけて、音楽科のカリキュ ラムをどのようにしていくかについて考えてみたい。
音楽科のカリキュラムを作成する場合、次のことを明確にしておく必要が
あろう。
1.教育目標は何か。
2.教育内容の範囲はどのようなものか。
3.教育内容の系統的、発展的な配列をどう考えるか。
4.指導後の評価をどのようにするか。
1〜4の事項は、個別的なものではなく、教育というサイクルの中で、常 に複雑に関わっているものである。1の教育目標については、前章までに詳 しく述べているので、ここでは、教育内容の範囲と、教育内容の系統的・発 展的な配列について考えてみたい。
カリキュラム作りの実際の作業は、音楽の教科目標並びに各学年の目標を 軸に、児童・生徒の経験的背景、興味、能力などを考えて学習の範囲を決め、
目標実現に必要かつ適切な学習活動の系統的な順序を考え、これを単元(ま たは題材)にまとめていくことである。
125 しかし、ただ目標を羅列して学習活動を考えただけでは、非常に多くの項
目ができるばかりでなく、互いに関連のない学習の並列になり、全体として まとまった経験につながらない結果となる。
そこで、音楽科の領域全体を考えて、学習の範囲を決定しなければならな くなってくる。この範囲、すなわちスコープ(Scope)を決定することによ り、無理なく、無駄なく内容を位置づけることができる。
また、学習の範囲が決まっても、それを小学校の六年間の音楽科の学習の 中で、これをどんな順序で指導していくのかという問題が残っている。これ は、シークェンス(Sequence)すなわち、内容の系統的・発展的な配列に関 する事柄である。そして、シークェンスは、音楽科における心理学的な発達 段階と、論理的な原理に基づいて考えられなければならない。
このように、音楽科のカリキュラム作りに当たっては、音楽科におけるス コープとシークェンスを統合的にとらえることが基本であると言えよう。そ して、具体的には、学習指導要領に準拠して、カリキュラムを構成するのが 妥当であると思われる。それは、学習指導要領では、人閲としての活動経験 を基盤とした学習領:域が、各教科、道徳、特別活動として、すでに研究され 整理されており、音楽的活動経験も、音楽科として、その範囲と配列が明確 にされているからである。
そこで、小学校音楽科におけるスコープとシークェンスを考えるために、
学習指導要領 音楽科の内容の項を取り上げ、その範囲と配列を明らかにし てみよう。また、それを受けて、各学年の「指導内容と予想される学習活動」
を巻末に資料として示してあるので、参考にしたい。
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2.内 容
A 表 現
第一学年 第二学年 第三学年
1 O表現の能力に関して, o 一一 o 一・一 …}㎜一一→
ア 緬資螺農貴報籔rT 範唱や範奏を聴いて歌う
こと。 一 一・・一→ こと。また,ハ長調の旋
律を視II黙したり視奏した
りする蜘
イ リズムフレーズの拍の流 れを感じ取って,演奏し
たり,身体表現をしたり → 一 一一一一一一一r一一→
すること。
ウ 曲想を感じ取り,また, 曲想を感じ取り,また,
歌詞の表す情禦を想像し 一→ 歌詞の内容を理解して演 塑::藍,と 盤・の圭1五を:工太しゑ盛しと2.
工 自分の歌声を聴きながら 歌声及ひ 発音に気を付け
歌うこと。 て歌うこと。 一一一一一一一一一
ィ
オ パーー cjカ及び打楽器に /・一モニカ及び打楽器を オルガン及び打楽器を演 親しみ,簡単なリズムや 演奏し, また, オルガン 奏し, また,笛に親しむ 雌建を演奏すること。 に親しむこと。 こと止
カ リズム遊びや,ふし遊び リズム間騨ふし問蓉を 言・葉の抑揚に合わせて,
をし,邸興的にリズムや し,即興・的にリズムや旋 即興白勺に短い旋得雪を工夫 旋律を工夫して表現する 律を工夫して表現するこ して表現すること。
こと__
とキ 伴奏の騨きを聴いて歌う 音の重なりを感じ取って こと。また,互いに歌声
一
合唱や合奏をすること。や楽器の音を聴き合って
」幽三2;駄
ク 次の書置,休符及び記号 次の〒 予符=,休符などを理 を理解して表現すること。 解して表現すること。
」♪の)〜ill 」.」」.v曇
五線と加線の線及び間の 名称
2 O教材は,次に示すもの o 一 一 一争 o 》
一一を.取丑扱.う.皇_一_一
ア 歌唱教材は,ウの共通教 .歌1唱教材は,ウの共通教 歌唱教材.は,ウの共通教 材3曲を含めて単音の曲 材3曲を含めて単音の曲, 材3曲を含めて単音のi!!;,
を年間16曲程度。 輪唱曲及び簡単な二部合 輪唱曲及び簡単な二部合 唱曲を合わせて年問16曲 唱曲を合わせて・年問15曲
イ _ − 一 一 } 一 圃 」・ } 一 } ・ 一 一 一
孖yの合奏教材は,既習
.一杢呈麿_、_.___ 一器楽の合奏教材』は,既習 型曇度_.._.__一_____
孖yの合・奏教材は,既醤 の歌唱教材を中心とし, の歌唱.教材を中心とし, の歌唱教材を中心とし,
主一旋律に打楽器の簡単な .主旋律に打 楽器のリズム 主旋律に}二次的な旋律若 リズム伴奏を加えたもの を加之たもの又は主旋律 しくは和音を績み合わせ を年闇3由拝呈度。 に簡単な副次的な旋律を たもの又はこれらに打楽 組み合わせたものを年間 器のリズムを加えた重奏 3曲程度。 及び合奏の曲を年間3曲
_盤_一__=一 ウ 共通教材 共通教材
巨甑羅鍵陰灘灘鯉
共通.教材春の小川」(文部省唱歌)うさぎ」 (日本古謡)
もヒ山」 (文部省唱歌)
第四学年 第五学年 第六学年 一
。 一一 .. o __→ O レ
範唱や範奏を聴いて歌うこ ニ。 また,ハ長調及びイ短 イの旋律を視1回したり視奏
オたりすることし
範囲や範奏を聴いて歌うこ ニ。また,へ長調の旋律を 牛gしたり視.奏したりする アと
丁ヘ唱や,t巳.矩を聴いて歌うこ ニ。ま.た,へ長調及び・・二短
イの旋律を視唱したり視奏
@逆ることし
リズムフレーズの拍の流れ.を感じ取り,リズムや速度
フ変化に応じて,横奏した 閨C身体表現をしたりする
一
曲想を味わい, また,歌詞一 一
フ内容を理解して演奏の仕 一一一@ 一一
@ 、 一 ._π._㎝」.一一} } .− 一一 .一.
︾
.呼・吸の仕方に気を付けて頭
コ自り発ア督て・鍔f欠う こ と。
一方ま.工.四一⊆、.と三_一___呼吸の仕方に気を付けて響
ォのある頭声的発声で歌う
こ立 →
.音色に気を付けて旋律楽器
yび打楽器を演奏すること。 → →
T 一 }
@ →
.言葉の抑揚に.合わせて,即 サ的に旋律を二[哀し.て.表i現
キること。 →
和声の響きを味わっ.て合唱 竝〟D奏をすること。
→. →
次の音符.休符及び記号を 揄 して表現すること。
♪(月)γ一丁↑・「(筋かト琳鴛垂
次の音持及び記弩を理解し ト.裏現すること。
E含,=レズ9二
@ 「「『「「藝=一一 撃戟F :醤 i :ll l11
次の記号を理解して表現す 驍アと。
v.96/・ゾρ り
?
。 → o 一一一一一一一困一一→ .・
@ =踊
歌唱教材は,ウの共通教材 3曲を含めて単音の曲,.輪 唱曲.及び二部合喝曲を合わ せて年間15曲程1皇:。
一
共通教材
「さくらさくら」 (日フ}く古言妥)
「もみじJ (文部省唱歌)
三三翅暫三
鷹難第鶴舞ll
唱曲,二部合唱曲及び簡単
な三三音β合ロ昌tlhを合わせて」{f.
ユ}事111曲盤.L_.
器楽の合奏教材は,主旋律 に和平若し.くは副次的な旋 律を組み合わせたもの又は これらに打楽器のリズムを 加えた露奏及び合奏の曲を 年間3曲:程度。
.歌唱教材は,ウの共通教材 3曲を含めて単音の曲,輪
nl, till,一:二部.合唱曲及しじ三部
合唱曲を合わせて年間11曲
程度SL一
一i,
共』ハ教材
「子・もり歌」 (日本古謡)
「冬げしき」 (文部宥唱歌)
「スキーの歌」(文部省1唱歌)
共通教材「おぼろ月夜」(文部省唱歌)
「かりがわたる」 (文部省唱歌)
下総焼一・一編曲
「垂る益益 (文部省唱歌)
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B 鑑 賞
第一学年 第二学年 第三学年
o o
O鑑賞の能力に関して,
@次の事項を指導する。
旋律を口ずさんだり,身 フ反応をしたりしながら ョくこと。
(1>
@ア
@イ
@ウ
@エ
一
潟Yム,旋律及び速さの チ…徴に気を.付 けて聴くこ
ニ。
一
楽曲を特徴付けている音 yの要素に気を付けて聴
ュこと。
主な旋律に気を付けて聴
ュこと。
一
主な.旋.律とその反復及び D変化に気を付けて聴くこ
ニ。
いろいろな楽器の音色に Cを付けて聴くこと。
いろいろな楽器の.音色の チ徴を感じ取って聴くこ
ニ.。.
バイオリン,トランペッ g,フルート及び縦笛の ケ色に親しむこと。
o 一 o O教材は,ウの共通教材
@3曲を.含めて,次に示
@すものを年・問6曲程度:
@取})扱う。
ラ
舞曲を含めたいろいろな 嵭゙の声楽曲・や.器楽曲
一
「ろいろな横奏形態によ
髏コ楽曲や器楽曲 争
独奏及び合奏を含めたい
?「ろな演奏形態による コ楽曲や器楽曲
(2)
@ア
@イ
@ウ
p 一
共通教材
uガボッ ト」ゴセ・ソク.イ乍磁玉
uおもちゃの兵隊」
@ イェツセル作曲 uおどる子ねこ」
@ .アンダソン作曲
共通教材 uかっこうワルツ」
@ ヨナーソン作曲
u. g1レコ行進曲」
@ べ一トー冥ン作曲
uメヌエット」(歌劇「アルチーナ」
ゥら) ヘンデル作曲
共通教材 フ}剥「軽騎兵」序曲
@ スツペ作曲
uメ ヌエッ ト」 ト長i言周 .
@ べ」トーベン作曲 uポロネーズ」
i「管弦楽組曲」第2番ロ短調
@から) バッハf乍曲
皿 }