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歌唱教材による題材の授業案

ドキュメント内 小学校音楽科の授業づくりについての一考察 (ページ 109-117)

第六章  音楽科の授業案の実例

第2節  歌唱教材による題材の授業案

(1)第4学年3組音楽科授業案

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1・題材 夜汽車(1)(2)

2.目 標

 (/)二声の音の重なりによる3度の響きの美しさを味わわせながら、夜   汽車(1)を気持ちをこめて二部合唱させる。

 (2)イ短調の味わいを生かし、夜汽車(1)と対比させながら、夜汽車    (2)をソプラノリコーーダーで二重奏させ、夜汽車(1)の間奏とし    て演奏することができるようにする。

 (3)互いに助け合って、より豊かな表現をめざす態度を身につけさせる。

3。指導にあたって  (/)題材について

  ○ この曲は、原曲が「小鳥ならば」という題名のドイツ民謡である     が、日本では古くから「夜汽車」という歌詞で親しまれている。

     この曲の一番の特徴をあげるとすれば、6小節で一つのフレーズ     を構成していることであろう。曲の構成をさらに細かく見ていくと、

   最初の2小節が同型反復の形で3度高く続けられ、さらにしり取り     のようにして最初のフレーズをとじ、次のフレーズも同型反復して    盛り上がりながら、最後の。2小節で下行して曲をおさめている。全    体はa(6)・b(6)による一部形式である。

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0 歌詞は、静かな響きをたてて走る夜汽車が、はるか遠くに消えて  いく様子をうたっており、独特の郷愁を感じさせる。ただ、曲の構  成が6小節ずつの二つの大きなフレーズからできているのに対して、

 歌詞の持つフレーズ感がしっくりこないような感じがしてならない。

 やはり、日本語のもつフレーズ感からすると、外国曲の、しかも6  小節が一つのフレーズなどという独特な感じの曲の作詞はむずかし  いように思われる。

O 夜汽車の(1)はへ長調の二部合唱扱いになっており、合唱曲全  体でも音域が6度で歌いやすいこと、カノン風な二部合唱曲である  ことから、昔から一般的に親しまれている曲のスタイルである。

  それに対して夜汽車(2)は、夜汽車(1)の発展的な扱いとし  てイ短調にして取り上げられたものである。声域的に考えると、頭  声発声の練習にもよいので歌詞もつけてあるが、ここでは、あくま  でも夜汽車(1)と対比させながら、ソプラノリコーダーの二重奏  曲として扱うのがよいと思われる。

○ 夜汽車の教材構造を要素に分析すると、次のようになる。

ア.以ム。.3」.li。1.♪訓・.。s  i1」.1 li  イ.メロディー  同型反復、6小節のフレーズ

 ウ.ハーモニー  3度の音程

 工.拍子  4分の3拍子

オ.速度 )=92〜100

 カ.調性 

(1)へ長調、(2)イ短調、転調  キ.音色 やわらかい歌声、やわらかい笛の音色  ク.強 弱  曲の山の意識

      215 ケ.歌詞 静かな夜汽車の響き、6小節のフレーズとの誤差 コ・形 式  a(6)・b(6)の一部形式

 ○ これらの分析を通して、中心観念と基本要素を考えると次のよう   になる。

    中心観念   四声の音の重なりによる3度音程の美しい響き     基本要素 /.aとbの対比したリズム

         。2.6小節のフレーズによる美しいメmディー          3.3度音程の美しいハーモニー

 0 これらの考察をもとにした学習指導三二や指導内容との関連は、

  次の通りである。

    ・学習指導要領との関連

       A表現(/)のア・イ・ウ・キ(内容は省略)

    ・学年の指導内容との関連

       巻末資料の指導内容の1・3・7・8(4年生)

(。2)児童について

 O この学級は、男子20名(うち特殊学級からの通級児童/名を含む   )、女子20名、計40名の学級である。

   全般的に音楽好きで、いわゆるのりやすい児童が多く、特に男子   ではその傾向が強い。学習面ではかなりの能力差があり、そのこと   が音楽の教科では主に器楽の面に表われてくるように思われる。歌   唱では潜在的な能力差はそれほど顕著ではないが、こと器楽になる        ま   と、どうしても個々人の能力差が表面化してくる。歌唱では、いい   声や悪い声の違いはあるにしても、みんなが楽しんでいるふんい気

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   が感じられるが、器楽では、まずできるかできないかの問題が出て    くるように思われる。現実に、前時までの「冬の歌」の学習をふり    返ってみると、ソプラノリコーダーにしても鍵盤ハーモニカにして    も、完全には吹けない児童が。2・3名出てきてしまうのである。

  ○ また、音楽の学習時にはなるべくグループ活動を多く取り入れた    いと思い、児童もグループごとにまとまって並んでいる。グループ    学習のねらいは、全体の中では力の発揮できない児童を、グループ    という小集団の中でその本当の力を出させたいということと、アン    サンプルの学習形態を重視したいということである。グループ内で    様々な問題が出てくることがあるが、なるべくグループ内で解決さ    せ、どうしてもグループの全員が協力して曲に向かわなければいい    演奏ができないことに気づかせたいと思っている。

 (3)指導について

  ○ 音楽指導におけるモットーとして、 「みんなで楽しく音楽を!」

   と念じている。そこで、日常の授業も「みんなで」と「楽しく」の    二つの観点でとらえたいと思っている。

     「みんなで」は、一人一人の児童を生かした授業や、授業の中で    のグループ学習のさせ方などの児童観につながり、「楽しく」は、

   教材の中で楽しさを与える要素を見つけ出し、それを児童とどう結    びつけていくかという教材観につながるように思われる。

     「みんなで楽しく」と考えた場合、実際に楽器などができない児    童にはどんな指導をするのだろうか。児童の気持ちも考えずにただ    技術主義に走ることには問題があるが、そんなできない児童ができ    た時の喜びはたいへん大きいのだと思う。また、「楽しく」といっ

      217  て・すぐ近くの手にとどくものだけを追い求めていると、その楽し  さは極めて低次元のものに終わってしまって、発展性がないと思わ  れる。大事なことは、「ある程度児童の自主性にまかせるところ」

 と、「指導者がしっかりきたえるところ」の使い分けだと思うので

 ある。

○ 「夜汽車」の音楽的要素を、「歌唱の6つのチェックポイント」

 に従って整理すると、次のようになる。

   1。やわらかい声

   2.ブレスはすばやく、」.r;りMtoリズムをていねいに    3・よ③しゃ、回びき・回るか

   4。6小節ごとにく===一

   5。休みのとり方をきちんと、ソプラノのふしを追いかけるつ     もりで

   6。3度音程中心の美しい響き

○ 合唱曲を扱う場合、まず大切なことは、美しく斉唱する段階を大  事にすることである。その曲の持ち味を十分に生かして、美しい斉  唱の体験を味わわせることが必要であろう。そのことが、ハモつた  という感動を児童に感じさせることにつながるものと考えている。

  児童たちは、現在のところ特別な発声の練習もしていないし、頭  声発声などにはほど還いが、元気のよい歌は元気よく、静かな歌は  やわらかい声で、なるべく全員の声をそろえて歌わせるようにした  いと考えている⑱

○ 学習指導要領の改訂により、従来の「歌唱」「器楽」の領域がい  っしょになって「表現」という形になった。それとともに、一つの

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    教材でも歌唱もやり器楽もやりといった統合学習の重要性がさけば     れている。このような傾向は、低学年において特に顕著である。「夜     汽車」における(1)と(2)という二つの扱いも、その表れであ     ろう。しかし、学年が進むにつれて、どうしても「歌唱だけの教材」

    とか「器楽だけの教材」という教材が出てくるのも仕:方のないこと     である。そこで、統合学習を広義に解釈して、/時間の授業の中で     は、なるべく歌唱もあるし器楽もあるという形態にしたいと思って     いる。

4。指導計画(4時間扱い)

第一次(全体): 意欲を持って全体的に把握する段階     /時間        (本時)

 ○ 「夜汽車」の範唱を聴かせる。

 O 歌詞を読ませる。

 ○ 歌詞唱をさせる。

 ○ おおまかな曲想表現をさせる

第二次(分析): 美しく表現するための分析的段階      。2時間  ○ 副:旋律を覚えさせる。

 ○ 合唱練習をさせる。

 ○ 曲想表現を工夫させる。

 ○ 夜汽車(2)の合奏練習をさせる。

第三次(総合): 感動を持って表現する総合的段階      /時下  ○ 間奏をはさんで夜汽車(1)と(2)の合唱・奏をさせる。

 ○ 美しい…響きを感じさせる。

 ○ 長調と短調の感じの違いに気づかせる。

      219 5。本時の指導

 (/)目 標

  ○ 話し合いによって、歌詞や曲の感じを生かしながら、夜汽車(1)

   を気持ちを込めて歌うことができるようにする、

  ○ 互いに意見を出し合い、助け合ってより豊かな表現に近づこうと    する態度を養う。

 (2)指導にあたって

  ○ 本時は新しい教材の/三時目である。日本人によるオリジナルな    作詞・作曲の場合や、児童の視唱能力をみる時以外は、たいてい範    唱をもとにして、いわゆる歌い聴かせて新しい歌を覚えさせている。

   三時では、教材がへ長調であるため、児童も三唱できないので、範    唱によって定着させていくが、その前に歌詞を少していねいに扱い、

   だいたいの情景をつかませたいと思っている。このことは、児童が    6小節フレーズの曲の感じと、歌詞のリズムが持つ感じとの関わり    をどう受けとめるかという興味もあるからである◎本時の時間内だ    けでの反応ではよくわからないと思うが、この題材の指導が終わっ    た段階での児童の反応を待ちたいと思う。

    そして、ある程度歌を覚えたら、だんだんに小さいグループで歌    わせていき、授業の終了時には全員が気持ちを込めて歌うことがで    きればと思っている。

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 (3)授業過程

学習活動

指 導 上 の 留 意 点 備  考

1。 「冬の歌」 ○ 児童の緊張を取りのぞき、音楽 「全体学習」

を歌い、合奏す 的なふんい気を盛り上げるため、 楽 器

る。 元気よくのびのびと演奏させたい。

2。本時の課題 ○ なるべく児童の興味を高めるよ Sしの録音

を知る。 うにする。

3。 「夜汽:車」 ○ 教科書のさし絵を見ながら聴か 範唱レコード の範唱を聴く。 せる。

O あまり細かい感想は要求しない。

4。夜汽車の歌 ○ 情景を考えてゆっくりと読ませ 詞を読む。 る。

○ 発音やイントネーションにも注 意させる。

○ 何人かの児童に読ませ、違いな どに気づかせて、だんだんいいも のにしていきたい。

5。夜汽車の歌 ○ 少しずつ、リズムや音程に気を 詞唱をする。 つけて引回させる。

○ はっきりした発音で歌わせる。

○ やわらかい声で歌わせる。

○ 慣れてきたら、なるべく教科書 を見ないで歌えるようにする。

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