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第 5 章 考察

5.4 中間言語語用論からの考察

5.4.3 韓国人日本語学習者特有の特徴

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表47 調整済み残差(被験者グループの周辺部分の男女差)

意味公式

あいづち 相手への負担軽減 詫び 遺憾表明 JJ 男

.9 -.9 .7 -.9

-.9 .9 -.7 .9

意味公式

あいづち 相手への負担軽減 詫び 遺憾表明 KJSL 男

2.8 -1.1 -.6 -1.7

-2.8 1.1 .6 1.7

意味公式

あいづち 相手への負担軽減 詫び 遺憾表明 KK 男

-1.6 2.2 -2.0 .5

1.6 -2.2 2.0 -.5

これらの結果から、韓国人日本語学習者は、母語とは異なる日本語の話し方や日 本人の言語習慣にも影響を受けており、中間言語の特徴がみられたと言える。

Shimizu(2009)、House(1996)でも指摘されているように、第二言語環境に置 かれている学習者の方が目標言語の母語話者に近い傾向がみられ、語用論的流暢さ において優れていると言えよう。

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表9 周辺部分の意味公式とその全体的使用頻度

周辺部分 JJ KK KJSL

意味公式 %(使用回数) %(使用回数) %(使用回数)

1. あいづち 44.5(69) 46.6(34) 38.5(52)

2. 相手への負担軽減 34.8(54) 38.4(28) 34.1(46)

3. 詫び 11.0(17) 5.4(4) 5.9(8)

4. 遺憾表明 9.7(15) 9.6(7) 21.5(29)

合計 %(使用回数) 100(155) 100(73) 100(135)

表10 調整済み残差(周辺部分)

意味公式

あいづち 相手への負担軽減 詫び 遺憾表明 被験者 JJ

KK KJSL

.6 -.1 1.8 -2.1

.7 .6 -.9 -1.2

-1.2 -.4 -1.1 3.1

この結果は、日本語を学習する上で身についた癖なのか、偶然の結果なのか、今 後さらに検討の余地がある。

5.4.1と5.4.2ですでに述べたように、韓国人日本語学習者には再勧誘行動におけ

る言語使用と意識調査において、母語の影響を受けている部分と日本語母語話者に 似通った部分の両方の特徴がみられた。調査2における意識調査の結果は韓国語母 語話者に近い傾向を示しており、再勧誘行動における言語使用については日本語母 語話者により近い傾向がみられた。この後者の傾向がみられた要因としては、学 習環境の面で日本語を使用しながら日本で生活しているということのほか、日 本語らしい日本語が話せるようになりたいという学習者の意識が働く結果、そ

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のストラテジーの一つとして日本語母語話者の真似をしていることも考えられ る。

しかし、学習者は母語の知識から類推しながら日本語を考えてしまう面もあり、

その結果、適切な部分が生じてしまうことも多々ある。例えば、発話例(108)~

(112)にみられるように、主勧誘部分の発話において、質問攻めで相手に躊躇す る理由を聞いたり、命令の口調で相手を強引に押し切ったり、相手に上手く伝わら ないにもかかわらず冗談やユーモア混じりの言葉を用いたりするなど、日本語母語 話者からすれば不快感や違和感を覚えてしまうような場合もあり得る。

(108)なんで?忙しい?他に予定でもあった?それとも、行きたくないのか?

【KJSL18】

(109)迷うな。行こう。何食べたい?【KJSL28】

(110)バイト一日ぐらい休んでよ。バイトだから融通利くでしょ。【KJSL13】

(111)家庭教師のバイトは休めないの?一度、聞いてみて。多分、生徒も喜ぶと 思うよ。【KJSL30】

(112)時間ない?デート?それとも、合コン?なら、しょうがないね!【KJSL29】

若生(2010)にも述べられているように、韓国語は日本語と似ている部分が多く、

韓国人日本語学習者は第一言語の知識を積極的に日本語に適用することで日本語の 習得を進めることが可能であるという。しかし、異なる言語である以上、当然相違 点も存在し、負の転移につながることもあると指摘している。そして、任(2006)

は異文化間コミュニケーションにおける誤解のほとんどは、相手のコミュニケーシ ョン・スタイルを自文化のそれに当てはめて、自分の尺度で相手を解釈しようとす

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るところから生じると指摘している。こういった言語行動における誤解や摩擦の発 生を事前に防ぐためには、お互いの社会文化的規範の相違を認識することが必要で あろう。勧誘行動及び再勧誘行動においても、これと同様なことが言える。相手へ の配慮や働きかけの仕方に違いが存在することを認識した上で、両国の勧誘、再勧 誘行動の仕方やストラテジーの使用について理解しなければならない。そして、両 言語ではどのような表現やストラテジーが好まれるのかについても理解しなければ ならない。

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