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障害をもつ人の社会参加( 1 )

ドキュメント内 JF_JP.indb (ページ 104-108)

富士ソフト企画株式会社 人材開発グループ・カウンセリング室長 遠田千穂氏

おはようございます。

ただ今から富士ソフト、富士ソフト企画の見学・研修を受けていただこうと思 います。リラックスして楽しんでいただければと思います。

では早速弊社の親会社である富士ソフトの説明から始めます。

富士ソフトの概要をご説明いたします。富士ソフトは1970年、約40年前に設 立されたソフトの会社です。現在日本中に25ヶ所ほどのオフィスがあり、従業員

は約12000人です。この秋葉原のオフィスが大きく、本社は横浜にございます。

富士ソフトは、20社ほどから成るグループ企業で、多くの子会社のほとんどはソ フトウエアの会社です。

ここからは、親会社の特例子会社である弊社富士ソフト企画のご説明をいたし ます。

富士ソフト企画では約140名の障害者が働いています。その半数が精神障害者 です。英語で言うとmental disorderです。

日本は失敗するとやり直しがきかない、例えば事業や仕事で失敗したらなかな かやり直しができないという文化が今 まではありました。しかし、精神疾患 は誰でもなり得る病気で、仕事をする ことによって克服して立ち直ることが できると、私たちは考えを転換してお ります。

弊社で働いている人の内訳です。

障害者の方が81%を占めています。

グループ会社8社で1つの特例子会

社を運営しております。1つの会社で障害者を運営するのは大変ですが、たくさん の会社が集まって1つの障害者の会社を運営すると、それだけ仕事の幅も広がり、

採用人数も多くなります。私も去年エジプトの聴覚障害の方のお仕事を拝見しまし たが、これからはパソコンを使った仕事を障害者に切り出していただきたいと思い ます。パソコンを使う能力は耳が聞こえなくても手足が不自由でもできますし、特 に精神障害の方はデザインとデータ処理の能力に優れています。また、障害者の方々 が会社で活躍するには1人だけ採用するのではなく2人以上採用することがポイン トです。2人以上すると、日本の場合助成金が出ます。ですから、1人の健常者を 採用するより、複数の障害者を採用する方が、会社の経営にもプラスになります。

ぜひ、障害者の能力を信じてパソコンを使った仕事を切り出してください。

もとはといえば、交通事故にあった身体障害者の方を採用したのが始まりでし た。その後知的障害の方、分裂病を発病した学校の先生を採用しました。その方々 が今は大活躍しています。半数が精神障害(うつ病、分裂病)、半数がアスペルガー

(発達障害)ADHDです。あとは、手足が不自由な方、目が不自由な方、耳が不自 由な方、内臓が不自由な方といった社員で構成されています。

大阪、長崎、横浜、秋葉原の責任者は全て障害者です。健常者が障害者を管理 するのではなく、障害者が障害者に仕事を指導しています。

1つのセクションに体の不自由な方、精神障害の方が混ざっています。異なる 障害者を組み合わせることによって仕事がスムーズに進みます。お互いの障害をサ ポートし自分の障害もよくなっていくのがよく分かります。メインビジネスはパブ リッシング(名刺作成)、データ入力、HP制作、Web ページデザイン、それから 親会社の事務全般、給与計算、保険業務、営業取引の際の調査などです。

言語能力が優れている方もいて、最近ですと翻訳の仕事もしています。人間は 誰でも1つは得意な部分があると思うので、それを最大限活かしてもらっています。

精神障害者は外から見て分からないので、心のケアが必要ですが、そのポイン トをつかめば高い能力を発揮します。今日本ではひきこもり、うつ病の若者が増え て、社会問題になっています。そういった方が1人でも多く企業で働いて、税金を 納めてもらうことを目標にしています。ですから、この会社にもテレビ局、新聞社 の方が取材に来ます。戦争のPTSDなどで苦しんでいるので、その人たちをどう にかしたいという相談を受けたことがありますが、そういった取材や相談をしたい のであれば、ぜひ弊社に来てください。心の問題を克服して、社会参画するのは国

際的な課題になっています。

この会社ではお互いの障害をサポートしながら仕事を進めていく流れになって います。知的障害が精神障害をサポートするうちにIQが上がってきたり、精神障 害が知的障害をサポートするうちに生活が落ち着いたり薬が減ったりしてきたり します。私どもは医者の処方に頼らずに仕事で障害をよくするという取り組みにも チャレンジしています。

それでは、実例を当事者に紹介してもらいます。

堀越隆之(秋葉原事業所責任者):

遠い所、ありがとうございます。私は障害者です。障害者になった経緯を説明 いたします。

1999年の12月に脳の血管が破裂して計5回の手術することになりました。脳 圧の上昇を抑えるため、脳から腸まで、今でもパイプが通っています。パイプが内 臓にあたるととても痛く、動けなくなってしまうことがあります。最終的にすべて 終わるまで6ヶ月かかりました。

秋葉原事業所では、男性9名、女性1名がおります。9時から17時半までですが、

中には10時から17時半、11時から17時半という人もいます。体調に応じて時間 を設定しています。

仕事の内容は、社内メールとメール便の配達です。これだけ大きなビルですの でメール便は非常に多いです。それを配らないとその日の仕事が始まらないので大 事な仕事です。他には名刺データの管理、ウェブページの更新などもあります。イ ントラネットのアップデートやクライアントの情報管理という業務もあります。グ ループ企業役員の名刺データの入

力、といったこともあります。様々 な部署から多岐にわたる仕事を頂い ております。私は障害者ですが、こ の会社に就職できて非常に良かった と思っています。病気をして手術を 受けてから、3企業くらい転々とし ました。それは私のような障害者に 対して企業側があまり理解してくれ

なかったからです。やはり障害者はできることとできないことがはっきりしてくる ので、企業側はできないことを受け止めて採用してほしいと思います。障害者になっ て思うことは、外国の方々もこうして障害者に対しても理解してくださっていると いうのが非常に嬉しいということです。私もこの会社に入るまで非常に苦労しまし たので、皆さんの国でも障害者をたくさん雇用できるよう、よろしくお願いいたし ます。

遠田:

では、まとめをして、その後会社の中を見ていただこうと思います。

障害者の方が働きやすいというのはどういった部分なのでしょうか。

①まず、短時間から、ゆっくり始めることです。

②精神科の薬の副作用で体調の優れない方にはフレックスを使ってもらいます。

③チーム、ペアで仕事をしてもらいます。

④昇進昇格は、モチベーションになるかどうかを確認して進めます、

⑤会社の中では議論はしても口論は避けます。注意はしても叱りません。

⑥指示は具体的に出します。特に最近の若い方は、健常者、障害者に関わらず精 神論に弱いです。上司に怒鳴れるとすぐ寝込んでしまいます。

⑦極端な単納期、高いノルマは避けますが、必ず目標を設定します。

また、カウンセラーが会社に3名います。130分、カウンセリングします。

いろんな会社から相談が来ますが、カウンセラーがいない場合は無理に雇用す る必要はないので、人事か総務でそういう人を育ててくださいとお伝えしています。

必ず障害者の人も昇格するようにお願いします。「目標」は生きる力となって、

薬の代わりになります。

これからの障害者を採用する企業にお伝えしたいことは障害者には高度な潜在 能力があるということです。障害者をどれだけ雇用できるかが、国を強くすること につながります。分かりにくい障害の場合は、その様子を周りの方にオープンにす ることが必要です。

現実を直視する。障害者との議論をおそれないこと。障害者が働きやすい会社は、

健常者にとっても働きやすい会社だと思います。

今後とも、日本と世界に開かれた障害者の自立性を目指す会社として、世界の 人に私達の会社を訪問して欲しいと思っています。

2月27日

ドキュメント内 JF_JP.indb (ページ 104-108)