2月28日
研修の旅を組織してくださったこと、時間を非常に大切にするということ、約束 をきちんと守るということ、そういった秩序を非常に重要視する日本のあり方に 感銘を受けたので、エジプトに帰っても私の仕事の分野にも活用できればと思っ ています。
Tarek:
私の場合はリーダーシップについての考え方とい うことで変わった部分があります。日本に来る前の リーダーのイメージというのは、個人としてのリー ダー、1人のリーダー、皆がそれについていく強力 なビジョンや説得力を持っていて、人々がついてい くという形のリーダー、というものでした。しかし 日本に来てからのリーダーのイメージというのは、
単なる個人としての力を持ったリーダーのイメージというよりも、社会契約あるい は合意に基づいた仕組みの中の1つの部分として選ばれる、あるいはそこから生ま れてくるという存在としてあるということです。その中で、人々も無理のない形で 合意に基づいた彼の指導についていくという形のリーダーのあり方です。アラブ諸 国においても民主革命があって、この混乱の中でこれから力を持った勢力というの が生まれてくると思いますが、リーダーシップというのが自然な形で形成されてい くものであることを願っています。
Ahmad:
リーダーというのはエジプトにおいても日本に おいても同じかもしれません。ただ日本の場合、
それについていく人、リーダーを作る人が、日本 人の中の意識や文化、和を尊び、他者を受け入れ る精神、人とのやり取りにおける透明性、そういっ た文化が根付いているがゆえに、成功するのだと 思います。そして、建設的な形でその任務を果た すことができるのだと思います。リーダーそのものというよりも、リーダーの務 めをうまく果たさせるような、ついていく側の文化を育てることの重要性という のを感じました。
Mehalawy:
私の場合は大いにイメージが変わりました。以前、
リーダーというのは、やはり強力なビジョンという のを持っていてグループを導いていく、率いていく というものとしてありましたが、自分から言ってそ れを実行していく、「私はこっちに行くぞ、ついてい きたい人はどうぞ」というような本当にシンプルな リーダーのありかたというのを印象付けられました。
Atef:
今のMehalawyに付け加えたいのですが、これま
では、やはりそのカリスマ性や運営指揮能力があり ビジョンを描いている人に誰かがついていく、そう いう存在としてリーダーというのをイメージしてい ました。今回学んだのは誰でもリーダーになりうる ということで、たとえば私自身だって今日はリーダー かもしれなくて、明日は誰かについていくかもしれ ないのです。何か考えがあり、それを提案して自ら率先して実行しき、参加したい ものはついていく。そういうリーダーのありようというものを学んだと思います。
Raed:
私は今回のプログラムで、これまで持っていた リーダーシップのイメージをそれこそ根底から覆さ れたというような気がします。とりわけ私たちはオ リエント社会の人間として、リーダーというのはカ リスマがあるという存在、個人というイメージでし た。そしてリーダーといえば何かしらの責任のある 地位についているという人間というイメージで、そ のリーダーというのが市民社会、市民の間に存在しているようなイメージというの は持っていませんでした。そしてまた、もう一方では個人ではなく、団体、組織と いうものの1部ということでした。組織とはアイデア、社会的な理念に基づく組織 であって、その中の1部としてリーダーというのが存在しているというようでした。
昨日訪れた会社についてもそのようなことが実践されていることに本当に感銘し、
目を見張りました。私たちの社会においては、市民社会が機能していないために、
政府がまず何かをやらなければなりません。政府が何にもやらないとなると、政府 が悪いということにはなるけれども、結局何事も進まなくなってしまうのです。一 方日本の場合をみると政府はあるけれども、政府が仮にうまく機能しなかったとし ても、そこにオルタナティブとして市民社会がきちんと存在しています。彼らがちゃ んと切り回してしていくことができるのです。そのような違いというのを印象付け られたように思います。
Atef:
先程チュニジアのTarekさんが言ったリーダーの持つ「カリスマ」というイメー ジというのは、日本でのプログラムの経験で変わったように思います。それから私 が非常に感銘を受けたのは、市民社会の団体で活動する若者達が自らの行動に信念 を持っているということです。被災地においても、被災地に残って復興に携わるこ との重要性に確信と信念をもっているということです。自分にはその状況を変える ことができる、という信念を持っているという状況に私は心を打たれました。
Ghada:
私は、特に東北の被災地を訪ねた時に多くのこと を学びました。日本で行われていること、日本のあ り方は正しいと思いました。リーダーが集団の中に 溶け込むことの重要性というのを感じました。リー ダーとは人にさせるというのではなくて、「私のよ うにやるのはどうですか」ということで、まず自分 が率先して行動するのがリーダーの姿であることを 学んだように思います。
Fawwaz:
私は今皆の意見を聞いていて、次第に自分の中で もリーダーシップについての理解の仕方がはっきり としてきたように思います。自分たちのことを振り 返った時に、アラブ社会においての問題は、リーダー というものは組織の頂点にいる存在で、そこからは 必ず指示する者と、それに従う者といった分け方が 生まれてきてしまうという点です。しかし今回学ん
だのは、まず集団行動があって、その中から生まれてくる者がリーダーになるので はないかということです。「和」という言葉がありましたが、集団の中での人々の 結びつき、ハーモニー、そうしたことが仕事というのを成功に導くものなのだと思 います。仕事がうまくいかない場合というのは2種類あって、そこにまつわる課題 や困難を過大評価する時と過小評価する時に失敗に終わってしまうと思います。そ うではなく、真ん中を行く、正しい評価をして物事を成功させていくというのは、
やはり集団行動の中での「和」を通じてだと思うのです。今回の国際交流基金の研 修の旅なども運営の仕方というのは非常に組織的なものでしたし、個人でなく集団 行動の中で生まれてくるものとだと思いました。
Charfedine:
リーダーに関しての私の考え方は3つの段階を経 て来たように思います。
まず、チュニジアで革命が起こる前のリーダーの イメージというのは、権力の頂点に存在するもので した。政治的な権力を行使し、人々を導くけれども 抑圧的な形で権力を行使することもあるという存在 としてありました。2番目の段階はチュニジアでの
革命がおこった後で、民主主義というものがようやくチュニジアで始まった段階で もありましたが、チュニジアの革命はリーダーなき革命だといわれました。100人 という多くの殉教者が出ましたが、彼らは無駄に亡くなったわけではなくて、目的 は果たされました。それは民主化という成果を得ることができたということです。
リーダーというものは存在しなくてもいいのだ、存在しなくてもこうした人々 の行為によって道が照らされていくということがあるのだ、という考え方に変わっ たのがチュニジアの革命後でした。
3つ目の段階というのが今回、日本に来た後のことです。私が今回のプログラ ムを通じて抱くようになったリーダーのイメージというのはその意思ということで す。変革の意思、人々の問題というのをくみ取り、それを良い方向へと変えていく ためのアイデアを出し、それを率先して実践していく。市民社会の団体であれ、企 業であれ、そのような存在としてリーダーがいることを日本で学びました。社会、
経済、政治、どの分野であっても、人々のために立ち上がるという変革の意思を持 ち実践する、そういう存在としてのリーダーシップというのをここで新しく学びま
した。日本側の皆様には改めてお礼を申し上げます。
Tarek:
我々はチュニジアないしはアラブ諸国から来ましたが、日本で感じることができ たリーダーシップは一連の社会なり、価値観なり、そういったものに支えられた側 面があるのではないかという気がします。つまり日本では、お互いに敬意を払うこ とはとても大事な価値観としてあると思いますし、それが日本的なリーダーとして の務めを成功させている部分があって、それが必ずしもほかの国では同じように上 手くいくかどうかはわからないような気がします。家を例に挙げると、土台があり、
いろいろな形の家がありますけども、柱の作りは家ごとに違うかもしれない、ある 国における家の在り方とほかの国における家の在り方とは違うかもしれません。そ れと同じように日本におけるリーダーシップがまったく同じようにアラブ社会にお いてうまくいくかどうかはわからないような気がします。だからこそ共通な部分と いうものはきちんと学びとりたいと思います。
原:
最近、経営学のビジネスマネージメントの中で言われている言葉の中に、「場」
という言葉があります。これはいわゆる物理的なスペースということだけではなく、
日本ではよく「空気」と言いますが、雰囲気、「ambience」みたいなものや「psychological
space」 のようなことも含めて「場」と呼んでいます。アイデアがどんどん出てく
るとか、ビジョンをディスカッションしたくなるとか、そこにいるだけで楽しいと いう「場」を作り出せる人を私はすごいリーダーだと思います。
先程Tarekさんが日本とアラブではずいぶん違うところもあるのではないか言っ
ていましたが、たとえば、皆さんの家族親戚が集まった時に、あのおじさんの所に 行くと何か楽しいので、皆が集まったりするとか、おばさんの周りでは皆が笑って いるとか、そういう人がグループの中にいるといいものです。
今回会った人たちに共通しているのは、皆とても会話を楽しんでいて、人と交 流するのが楽しい人たちばかりだということです。怖いから話しにくいとか、この 人の前で変なこと言うと笑われるのではないかというような人は誰1人としていま せんでした。我々が会ったリーダー達は、いいアイデアやビジョンとは交流の中か らしか生まれてこないということを信じているからだと思います。リーダーシップ について、昔が競争のモデルだったとすれば、今は交流の中で、どれだけ自分のア イデアを人のアイデアとぶつけて、よりよいアイデアやビジョンを作っていくかと