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〜谷根千エリア視察終了後〜

ドキュメント内 JF_JP.indb (ページ 43-46)

広石:

街の人たちとお話をしていただいて、私が伝えたかったことを感じてもらえた らと思っていました。

自分たちで街を作っていくそして、街と事業をどう結び付けるか、彼らは考え ていたのだと思います。街をつくるのは行政が制度をつくるのではなく、実はやり たい人、チャレンジしたい人がたくさん集まることによってできていて、11 が街とどういう関係を作っているのかということだと思います。今見てきたとおり、

事業する人がここにはたくさんいますが、それは偶然ではないのです。

谷根千というエリアはビジネスの中心と郊外の住宅地の真ん中に位置していま す。古いものが残っているということで、28年前に、谷中・根津・千駄木をテー マにした雑誌ができました。この「谷根千」というエリア名は実は主婦3人組が作っ た雑誌の名前が由来です。何をしたらいいか分からなかった女性3人が、地域の高 齢者の話などを聞いて冊子を作り、何か新しい生きがいを作ろうという自分達のた めの雑誌だったのです。母親3人が自転車を使って回れる、生活範囲のエリア名を 雑誌に付けたのです。自分たちが大切に思う古いものを新しく生かすにはどうした らいいか、残っているお年寄りの思いを大切にしたいというこだわりで、この冊子 は作られました。この冊子は主婦3人が作っていて、普通に流通ができるものでは ないのでお店に置いてもらったのです。そういうわけで、この雑誌が置いてある地 域がそのまま「谷根千」というエリアになったのです。この雑誌を知り、この価値 観に共感したので私も20年前にここに引っ越してきましたし、共感を持つ人たち が集まるようになりました。街の歴史、価値観、スタイルを皆が小さな冊子で共有 し、共感人たちが集まってお店ができ、第2世代、第3世代と広がってきたという 背景があります。こうして町ができているというのが面白いところです。

招へい者:

広石さんのお仕事の中でバリューチェーンを作るというようなことが目的とし てあると伺いました。広石さんがおっしゃるバリュー、価値とは具体的にはどのよ うなものなのでしょうか?

広石:

バリューチェーンというのは11人が持っている知恵、アイディア、ファッショ ンだと思っています。11人が持っているけれども、つながっていないので、そ

れをつなげたいと思っています。人はいろんな可能性を持っているが、一部しか発 揮できていないと思っています。澤の屋旅館のご主人も、語学は得意ではないがた くさんの人に翻訳してもらったマップを作り、旅館にレストランがない分、街のお 店と協力することでホテルに長く滞在する気持ちを盛り上げることができている。

これも、11人が持っている価値をつなげることだと思っています。

招へい者:

エンパブリックは会社としてこういう人から利益をもらっていないと思います がどういう関係を築いているのでしょうか?

広石:

いろいろな意味でお互いに紹介し合う関係があります。街のカフェを紹介した り、そのカフェに来た人にオーナーがエンパブリックを紹介してくれたり、そうい う関係がいろんなところで成立していて、それが面白い部分です。お互いにそうい う関係が街の中でできていると思います。

招へい者:

具体的な活動としている起業を助けるということと、理念としてあるバリュー チェーン、その2つの関わりを教えていただけますか?

広石:

澤の屋さんにしても、地域のものを活かして自分の事業を立ち上げるということ です。レストラン「千駄木 露地」も、地域の人に価値を再発見してほしいという ことで始めたのです。人と人がつながる起業を応援したいと思っています。バリュー チェーンは私たちが作るのではなく、企業家の人たちがつながり、その中に僕らも つながって地域もつながるのだと思います。

招へい者:

ゴールの合意形成の仕組みは、国によって様々だと思いますが、例えば日本に おいては集団で作業するとき、社会のつながりが弱まっていても合意があると思い ます。逆にエジプトの例をみると、社会のつながりがあっても集団行動がうまくい かないこともあります。私たちにとっても合意形成は課題ですが、意見を異にする 人との合意形成をするにはどういったことに気を付ければいいのでしょうか?

広石:

なぜ対立するのか、何を経験してどういうふうに考えてそういう意見になるの か、そういう背景を理解することが大切です。背景を理解することによって合理が

できる可能性が広がると思っています。

招へい者:

いつもそうだとは限りませんよね?

広石:

ですから、対話に必要なプログラムを作り、それを担うファシリテーターを育 成することが重要だと思っています。

招へい者:

私も環境文化の研究センターを設立した経験を持っていますが、こちらの(広 石さんの)個人のための利益と、公益との2つの側面があると思うのですが、その バランスはどうされているのですか?

広石:

ビジネスには2種類あると思います。1つは関係性を切り離して個人化させるビ ジネスと、つながりが生まれていくという、2種類あると思います。今日皆さんが 訪れたビジネスは、ビジネスを興すことによって人と人がつながるビジネスだと思 います。人と人がつながる結果、事業が成長していく、そういうビジネスを作りた いと思っています。ホテルが独占してしまうモデルもあれば、澤の屋のように地域 と一緒にやることで、地域もホテルも潤う、そういうタイプのビジネスを作りたい と思って取り組んでいます。

今日は本当にありがとうございました。

ぜひまた皆さんとお会いしたいと思っております。

2月22日

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