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第 2部

第7節   都市施設の防災機能の強化

道路、河川、港湾、公園、鉄道等の都市施設は、避難路、避難場所、緊急自動車等の 通行路、緊急物資の輸送路など多様な機能のほか、火災の延焼防止に有効に機能します。

これらの施設に大きな被害が発生した場合、消防活動や緊急物資の輸送を遅延させ、そ の後の災害応急対策や復旧対策などに重大な支障をきたし、市民生活や経済活動にも計 り知れない影響を及ぼすことになります。

このため、大規模な地震や津波などが発生した場合にあっても、交通機能を維持し続 けるために、各施設の耐震化を図るとともに、代替性が確保された体系的なネットワー クの整備を図る必要があります。

環境創造局

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1 道路の整備

道路は、緊急自動車等の通行や、緊急物資の輸送路、避難路、火災の延焼防止等の役 割を担っており、幅員や多重性が確保された緊急輸送路等の整備と地震対策という2つ の面から整備を行う必要があります。

⑴ 緊急輸送路等の整備 ア 緊急輸送路の整備

高速道路や幹線道路を整備し、緊急輸送路の拡幅や近く緊急輸送路とする予定の 路線の新設を進めます。

特に高速道路は全て緊急輸送路となるため、横浜環状道路等の高速道路の整備を 重点的に進めます。また、幅員18m(4車線相当)以上の幹線道路の整備により、

緊急輸送路の機能強化を進めます。

イ 一般道路の整備

消防活動や避難等の円滑化を図るため、防災に役立つ一般道路の整備を進めます。

また、鉄道による踏切道の遮断は、消防車等の緊急自動車の通行の支障となるため、

道路と鉄道の立体交差化や鉄道の連続立体交差化を進めます。

ウ 狭あい道路の拡幅整備の促進

幅員4m 未満の狭あい道路は、震災時の避難や救出・救護等の応急対策に支障を きたすおそれがあります。 そこで、建築基準法第42 条第2項に規定する道路等につ いて、「横浜市狭あい道路の整備の促進に関する条例」 ( 平成7 年3月横浜市条例第 19 号 ) に基づき、地域の安全性や利便性を考慮して、拡幅整備を図る必要がある道 路を整備促進路線として指定し、整備行為に対し助成するなどして、狭あい道路の 拡幅整備を促進します。

(ア) 整備促進路線の指定   18区で約468km を指定

(イ) 「整備促進路線」 に接した敷地で狭あい道路の整備を行う場合、次のような助成 が受けられます。

助成の種類

1 後退用地及びすみ切り用地の舗装費用に対する助成

2 舗装の際に支障となる塀、門、樹木等の除去又は移設費用に対する助成 3 舗装の際に行う擁壁の除去又は築造費用に対する助成

4 後退用地が公道に接する場合の横浜市による舗装 5 すみ切り用地寄附奨励金の交付

⑵ 緊急輸送路等の地震対策 ア 地震対策

(ア) 橋りょうの耐震補強、老朽橋の架替え

緊急輸送路にある橋や、高速道路・鉄道を跨ぐ橋などを地震対策上の「重要橋りょ う」と位置づけ、優先的に橋脚補強や落橋防止、架替等の地震対策を行っています。

重要橋りょう以外の一般橋りょうについても、対策が必要な橋の選定及び優先 順位等について検討を進めており、今後、計画を策定した後、地震対策を進めます。

(イ)  歩道橋の耐震補強

落橋による車両通行機能の阻害を防止するため、緊急輸送路などの上を跨ぐ歩 道橋を優先し、橋脚補強や落橋防止などの耐震補強を進めます。

(ウ)  無電柱化の推進

電柱の倒壊による車両通行機能の阻害を防止するため、緊急輸送路を中心に無 電柱化のための電線共同溝整備を進めていきます。

イ 津波対策 (ア) 共同溝の対策

みなとみらい21 地区の共同溝について、発生頻度は高く、津波高は低いものの 大きな被害をもたらす津波を想定し、構内への浸水対策を検討し必要な工事を実 施します。

道路局

建築局

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なお、地盤の液状化による共同溝への影響については、当地区では造成時に液 状化対策として地盤改良が行われており、共同溝の耐震性は確保されています。

(イ) 市営地下駐車場の対策

地下駐車場への浸水による人的被害を防ぐため、津波のおそれがある場合の避 難手順の設定、最寄りの津波避難ビルの明示等の必要な対策を行います。

ウ 機能の維持

日常はもとより、震災時に道路が機能するよう、適切な維持管理により健全性を 確保します。

(ア) 道路崖の対策

地震から起こる落石・崩壊・地すべり等の災害で道路交通に支障を及ぼす可能 性のある道路崖について防災対策を実施しました。引き続き、緊急輸送路に面し た道路崖の点検監視等を行っていきます。

(イ) トンネルの坑口の対策

トンネル坑口の法面の安全性を確保するため点検を行います。

(ウ) 街路樹の対策

倒木による車両通行機能の阻害の防止に加え、道路への建物倒壊防止機能や火 災延焼防止機能の確保のため、街路樹の適切な点検・管理を進めます。

(エ) 路面下空洞調査

地震時の道路陥没を防ぐため、路面下空洞調査を進めます。

2 河川護岸等の整備

⑴ 市内の河川のうち、鶴見川などの築堤河川については、国の指針等により、河川管 理者である国、県が堤防の耐震性照査 ・ 地震対策を進めています。

しかし、その他の大部分の掘込み河川については、ブロック積護岸で整備しており、

地震対策は行っていません。そこで、市内の河川において、緊急輸送路に隣接する区 間等について、順次、護岸の地震対策を図ります。

⑵ 震災時に発生する火災による被害を軽減・防止し、緊急時の生活用水としての有効 利用を図るため、消防ポンプ車が給水するときに必要な取水ピット等の整備を行って います。

⑶ 災害時に河川を活用し、船による避難や物資輸送ができる河川内の緊急用船着場や 河川敷道路、防災広場を整備し、防災活動や避難場所とのネットワーク化を図ってい きます。なお、国土交通省により整備された鶴見川の緊急用船着場及び緊急用道路(河 川敷道路)については、積極的に物資及び人員輸送等に活用します。

施設区分 名 称 整備箇所 (キロ杭位置)

緊急用船着場 末広 鶴見区末広町 鶴見川左岸 -1.4k 佃野 鶴見区佃野町 鶴見川右岸  3.4k 駒岡 鶴見区駒岡 鶴見川右岸  7.4k 緊急用道路 ( 鶴見川右岸 ) 鶴見区駒岡

~港北区太尾

鶴見川右岸  7.0k(鷹野大橋直下流)

~ 11.8k(太尾公園付近)

( 鶴見川左岸) 港北区綱島東 鶴見川左岸7.6k(東京電力綱島変電所付近)~

9.1k(大綱橋直下流)

港北区綱島上 町~北新横浜

鶴 見 川 左 岸10.0k( 早 渕 川 合 流 直 上 流 ) ~ 12.8k(横浜市交通局新羽車両基地付近)

⑷ 鶴見川多目的遊水地内の広域避難場所と連携した避難支援活動の拠点として、鶴見 川遊水地管理センター(流域センター)を活用していきます。

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3 港湾施設の整備

震災時、横浜港の港湾施設は、陸上輸送を代替補完する輸送基盤として、他都市から の食料、資材などの緊急物資受入れや住民の移動物流機能の維持など、市民生活の安全 を確保する役割を担います。

緊急物資を受け入れるための海上輸送基地としては、みなとみらい21 中央地区、山内 地区、金沢地区に、耐震強化岸壁が整備されているほか、震災時であっても国際物流機 能を維持していくため、本牧ふ頭及び南本牧ふ頭でコンテナ船用の耐震強化岸壁の整備 を進めています。

このほか、新港地区には東京湾及び関東一円の防災拠点として海上保安庁の横浜海上 防災基地が整備されており、発災時には巡視艇等の迅速で効率的な運用の指揮中枢とな ります。また、港内に国土交通省の浮体式防災基地が係留されており、災害時の拠点と して活躍が期待されます。

今後も引き続き耐震強化岸壁の一層の整備や港湾と内陸輸送網の連絡強化等を進めま す。また、その他の港湾施設についても、老朽化や腐食状況などの調査を行い、必要に 応じて順次改良を進めていきます。

4 都市公園の整備

震災時、都市公園は安全な避難場所や避難路のほか、火災の延焼阻止空間、救援活動 の拠点、応急仮設住宅用地等としての重要な役割を担います。

このような役割を考慮しながら、まとまった土地の利用転換などの機会を捉えて公園 用地を確保し、身近な公園から大規模な公園まで、防災機能を備えた都市公園の整備を 進めます。

また、災害時に防災機能が発揮できるよう、適切に維持管理を行うとともに、必要に 応じて改修や防災に資する施設の設置を行います。

5 鉄道施設の整備

鉄道は、市民生活を支える重要な都市のインフラであり、震災時には道路とともに緊 急的な人員及び物資の輸送路としての役割も担っています。このため、鉄道事業者は耐 震補強など安全対策向上に努めており、市内を通る鉄道施設の安全化対策は、次のとお りです。

⑴ 施設の耐震性

機関名 耐震性

市営地下鉄 JR 東日本 JR 東海 JR 貨物

東京急行電鉄(株) 京浜急行電鉄(株) 相模鉄道(株) 横浜高速鉄道(株)

(みなとみらい線)

1 主要構造物の設計基準は、原則として気象庁震度階級の 震度6相当の地震にも耐えうるよう考慮してある。

2 地震動によりせん断破壊を起こす可能性のあるラーメン 高架橋・橋台(RC柱)、開削トンネル(RC中柱)及び落橋 防止工の対策については、阪神・淡路大震災の教訓を踏ま えた、「既存の鉄道構造物に係る耐震補強の緊急措置につ いて」(平成7年7月建設省〔現国土交通省〕通達)及び「鉄 道新設構造物の耐震設計に係る当面の措置について」(平 成7年7月運輪省〔現国土交通省〕通達)により対応して いる。

(株)横浜シーサイドライン 兵庫県南部地震による道路橋の甚大な被害の経験を踏まえ、

マグニチュード7級の内陸直下で発生する地震による地震動 に対しても必要な耐震性を確保することを主な内容とする改 訂を行った「道路橋示方書・同解説Ⅴ耐震設計編」(平成8年 12月日本道路協会)により対応している。

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交通局 鉄道機関