第 4 章 高齢化対策の先進的都市・大連市 ― その対策と現状―
第 3 節 大連市医療保険制度・年金制度について
3 近年の高齢者に関する政策
82
② 「退休」89の高齢者:市内に約33万人おり、市内高齢者人口の約94.5%を占めている。
その中には機関・事業単位90(約 28%)から定年退職した高齢者の平均年金収入は 2,800 元で、そのなかには5,000元以上にも達する高齢者もいる。その以外の高齢者(約23.8万 人)は企業からの定年退職者で、平均年金収入は1,200元である。
③ それ以外、年金がない高齢者は約1万人で、市内高齢者人口の2.2%を占めている。月 収入 360 元以下の人は最低生活保障を受け、行政から補助金を受給している(最高金額は 月360元まで)。
83 在
宅 養 老 サ
| ビ ス
老服務工作的通知」 ・在宅養老サービスを推進するための要素
2008年
大連市民政局・財政 局「大連市完善居家 養老服務工作実施 意見」
・社区をベースとなり、高齢者の家庭に直接サービスを提供する
・生活保護を受けている60歳以上の高齢者、遺族単身高齢者に は在宅養老サービス補助金を給付する
・「三無老人」は公営社会福利院の入所を勧め、民営養老施設に 入居する「三無老人」と遺族単身高齢者には適切な補助金を給 付する
・在宅養老サービスの養護員は研修などを受け、資格証を持っ てサービスを提供する
2010年
「大連市城郷社区養 老服務中心建設標 準(試行)的通知」
3年計画、建設基準、目的などを定めている
養 老 施 設
2006年
大連市民政局「大連 市小型家庭養老機 構基本規範(暫定)
的通知」
・「国務院弁公庁転発全国老齢委弁公室和発展改革委等部門関 与加快発展養老服務業意見的通知」(2006)の指針より、設定
・開設者は自宅を改築し、高齢者に養護、世話、リハビリなどの サービスを提供するミニ養老施設
・申し込みと審査の条件(6~15ベッド、一人当たりの面積10㎡等の基準)
・社区衛生サービスセンターと連携し、「医療サービス契約」をする
2008年
大連市民政局「大連 市社会養老福利機 構新増床位資助暫 行弁法」
・補助金を出す対象、30床以上の養老施設には必要な条件(ハ ード面などの条件等)。30床以下の基準は「大連市小型家庭養 老機構基本規範(暫定)的通知」を参考
養老 施設
、 在宅 養老 サー ビ ス
2010年
「関与完全我市養老 機構和居家養老資 金補貼政策的通知」
・社区養老サービスセンター80か所、養老施設の補助金の基 準、後期高齢者や失能貧困高齢者の保障型のベッドは2000床 を増設する。
市内4区及び大連高新園区にある非営利の養老施設には、一 人100元/月、他の区には80元/月を補助する。
・貧困高齢者には自立:100元、80元/月、半自立200元/月、非 自立400元/月
・財源は区(市・県)財政による負担
後期 高齢 者
2007年
大連市財政局・民政 局「関与提高我市百 歳老人生活補貼標 準的通知」
各区市県の財政を負担する。100歳以上の高齢者に一人当たり 100元/月
2010年
「関与做好全市90歳 以上高齢老年人生 活補貼発放工作的 通知」
90歳以上の高齢者への生活補助について
失 能 高齢
者 2011年
「関与印発大連市困 難老年人身体失能 状況弁法(試行)的 通知」
失能高齢者の判断基準
貧 困 高 齢
者 2010年 「大連市城鎮“三無”
人員認定暫行弁法」
・「労働能力がない、生活収入がない、義務扶養者がいない」
・市民政局は認定機関であり、主管部門である
年 金
2010年
「大連市城鎮無社会 保障老年居民養老 保障暫行弁法的通 知」
・70歳以上の人は支払う日から連続5年間毎月100元、70歳 以下の人は75歳まで毎月100元を支払えば、支払う翌月から 毎月200元の養老保障金をもらう
2013年
「大連市人民政府関 与建立城郷居民社 会養老保険制度的 実施意見」
筆者作成
84 第4節 大連市における高齢者介護サービスの現状
大連市の高齢化の特徴、社会保障制度をみてきた。次に大連市における高齢者介護サー ビスの現状を見ていく。大連市では、2006年7月時点では以下のような10種類の高齢者 介護サービスを実施している。
養老施設:老人ホームで高齢者の介護を実施する。大連市では福祉施設が合計 223 ヶ所 あり、ベッド数は1.94 万床に達している。その内訳は、公営施設が 19ヶ所、集体(日本 でいうと、協同組合)で経営している施設が83ヶ所、個人や株式会社で経営している施設 が128ヶ所である。
ミニ家庭式養老施設:自宅の空き部屋を改築し、自分の親を介護するとともに、社区内 の高齢者を募集して介護を行う。ベッド数は 6~15 床である。家族でサービスを提供する ところが多いため、開設しやすい、資金の投入が少ない、家庭的な雰囲気が濃い、サービ スが充実しているなどの特徴を持っている。現在施設は20ヶ所ある。
托老所(日本でいうデイサービス):社区あるいは街道に開設され、日帰り方式で、活動 室、休憩室、食堂および高齢者教室を設置し、9時から17時の間に開かれており一緒にゲ ームなどの活動をし、昼食を食べ、夕方自宅に戻る。市内4区には31か所ある。ただし送 迎はない。
「家庭養老サービス」:「養護員」(日本でいうと、ホームヘルパー)派遣サービス:2002 年 9 月に大連市の沙河口区で初めて設立され、全国に普及した。中国の伝統的な家庭養老 と緊密な関係がある新しい養老方式といわれ、政府が失業者に介護サービスの育成訓練を 行い、貧困高齢者の家庭へ派遣し、養老サービスを提供する。つまり、「養護員」を派遣し、
サービスを提供する。その利用方法は、街道弁事処が管轄する「在宅養老サービスセンタ ー」か、社区居民委員会が管轄する「在宅養老サービスステーション」に申し込み、利用 者のニーズとヘルパーの条件などをマッチングした、有償または低額でサービスの提供を 受ける。2010年末の利用者は2,678名である。在宅養老の補助金の基準は地域やADL、年 齢によって異なるが、月1人当たり80元~500元を受給することができる。
貨幣化養老:「三無老人」または最低社会生活保障金を受けている高齢者は政府による補 助金を受け、自主的にサービスを選択し、サービスを購入する。補助金は利用者の年齢と 健康状態によって区分され、月1人当たり50元~200 元の利用券の形で支給されている。
施設養老を選択した高齢者は、範囲以内の施設に入所することができる。その差額は、政 府からの補助金の支給あるいは施設による免除となる。この貨幣化養老は、2005年から大 連市中山区虎灘街道で創始され、その後、全大連市に広がって、2010年末現在8,125名の 貧困高齢者がこの養老サービスを受けている。
訪問介護:一人暮らし高齢者のために「世話人」を手配する。日常生活ケア、健康管理、
生活用品の購入、レジャー娯楽などを、訪問によりサービスを提供する。2010年末現在732 世帯の高齢者が利用しており、延べ人数が8,500人である。サービスステーションは23ヶ
85 所設置された。
他地域間連携介護:現住地の介護施設あるいは仲介機関に登録し、他地域の介護施設で 介護を受ける。毎年約2,000人の高齢者が、大連市で旅行・養老サービスを利用している。
学校・介護の連携:国内外の知識人の高齢者を対象として、大連市が介護サービスを提 供する。これに対して、無償あるいは低報酬で知識や経験を教える。
情報化介護:介護サービスの関連情報を増やし、介護サービスの情報化を目指す。西崗 区に創設された。“養老110番”の呼び出しプラットホーム、社区内の高齢者の“救急ベル”シ ステム、「空の巣」高齢者用の“愛心ベル”などの情報手段を通して、社会福利施設・社区衛 生サービスセンター・街道社会化養老サービスセンター・社区日中高齢者活動センターな どの養老サービス資源を統合し、養老サービスネットを形成する。これにより養老サービ ス内容・資源・機能を開拓し、24 時間・全方面のサービスが提供できるシステムの構築を 図る。
外資による養老施設:外国の資金や技術を導入し、高齢者養老施設を設立することで、
高齢者介護サービスシステムを完備させる。2003年から民政局はインターネットを通して 企業を誘致し、全面的に社会福利事業の拡大を図っている。
2010年から、新しい動きとしては、「家庭養老サービス」と「貨幣化養老サービス」と「托 老所」を統合して、社区養老サービスセンターを立ち上げ、総合的な養老サービスを提供 しようとしている。
2010年から3年計画で255か所の社区養老サービスセンターを建設することになってい る。計画によれば、養老サービスセンターは高齢者2,000人に付き、1か所設置し、800人 の高齢者のニーズをカバーする。総合的な養老サービスセンターとして、高齢者向けのサ ービスを高齢者は自分の状況に合わせて、自分に合う養老方式を選べる。施設養老、日中 托老、ヘルパー派遣、養老仲介サービス、応急救助サービス、リハビリテーション、精神 的な慰め、またレジャー・文化生活の活動場所として利用できる。低額でサービスの提供 を保障し、条件(「三無老人」や貧困高齢者など)を満たすと無料でサービスを受けられる。
表4-6は2009年現在、大連市の各行政区におけるサービス資源の分布表である。