第 2 章 軸対称応力場におけるトンネル挙動に関する模型実験
2.2 ロックボルトで支保された軸対称応力場のトンネル模型実験
2.2.2 軸対称トンネル模型実験概要
(1)実験装置
(a)実験土槽および載荷装置
軸対称平面ひずみ条件を再現するため,図-2.14のような鋼製の円形土槽を用いた.載荷 圧は,サーボコントローラによって圧力制御で吐出される水を実験槽内壁に設置したゴム 製圧力バッグに供給することにより,模擬地山の外周から等方的に与える.
(b)トンネルモデル
トンネルモデルは直径100mmの円形とし,図-2.15 に示すように肌落ち防止をかねた厚
さ0.5mmのアルミ製ベアリングプレートと,アクリル製のロックボルトモデルから構成さ
れる.ベアリングプレート中央には縦長の穴が設けられており,所定のトンネル軸方向ピッ チでロックボルトモデルを配置できるようにしている.ベアリングプレートをトンネル壁 面に設置する際には,隣接するベアリングプレートの長辺どうしがトンネルの内空変位に ともなって互いに接触して変形を拘束しないよう若干隙間をあける.
(c)ロックボルトモデル
ロックボルトモデルは地山と十分な付着強度を発揮するとともに,載荷にともなって発 生する軸力が有意な値として計測されるものでなければならない.したがって本実験では,
ボルトモデルの断面積を大きくすることによってこの条件を満足させる.軸力計測用のロ ックボルトには,実験槽上蓋と底版の摩擦の影響が少ない中央1断面に配置されたロック ボルトのうち,十字を形成する4本のみひずみゲージを貼付した(図-2.14中▲印のロック ボルト).
(d)地山モデル
地山材料は引抜き試験と同じ材料を用いている.この材料は,硫酸バリウム,酸化亜鉛,
ワセリンを70:21:9の重量比で練り混ぜた人工材料を使用する.硫酸バリウム系材料を用 いた理由には,1)地山にある程度粘着力を持たせることができる,2)締固め圧によって所
定の強度を発現させることができる,3) 水を使用しないため実験中に地山物性がほとんど 変化しないことによる.
(2)実験手順
実験の都合上,地山モデルの完成後にロックボルトモデルを挿入することが困難である.
そこで地山モデル作成方法は図-2.16に示す方法をとる.地山材料は軸方向のボルト打設本 数に対応した層数に分け,各層所定の上載圧で締め固めて地山モデルを作成する.一層締固 め終了後にロックボルト一断面分を配置し,引き続き次層の材料を詰めて同様に締め固め
図-2.14 実験土槽とロックボルトの打設例
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る.最終的に,層厚が12.5cmになるまで同図の2.~4.の作業を繰り返す.地山材料すべて 打設後にトンネル型枠を引き抜き,ベアリングプレートを設置する.さらに各ロックボルト にはナットを取り付けてネジ締めしてベアリングプレートに固定する.この作業を終えた 後,地山モデル上面にも底面と同じテフロンシート片を敷き詰め,さらに上蓋をのせてボル ト締めする.なおこのテフロンシート片は,間にシリコンオイルを塗布して2枚を重ねたも ので,形は円弧形をしている.このシート片を互いにオーバーラップさせて土槽上下面に配 することにより地山との摩擦の軽減を図っている.
実験は載荷速度10kPa/minで地山モデル外周から圧力バッグによって外圧を与える.この 外圧載荷方式では,土屋5)も指摘しているように,トンネル掘削によるひずみの他に加圧に よる一様なひずみが加わるため完全なトンネルのシミュレーションにはならない.しかし 本実験では,ロックボルト軸力発現機構とその壁面変位抑制効果の基本的なメカニズムを 明らかにすることが目的であること,また,ロックボルト設置等の実験作業の能率を考慮し なければならないことからこの方式を採用した.加圧による一様変位はトンネル壁面で極
図-2.15 ロックボルトおよびベアリングプレートモデル
めて小さく,地山奥に向かうにしたがって徐々に増加するが,ロックボルト挿入範囲に限れ ば,この一様変位によるロックボルト挙動やトンネル挙動にはそれほど影響がないとみな した.
最大載荷圧は実験ケースによって若干異なるが,約300kPaまでとした.この最大載荷圧 は一軸圧縮強さに比べてはるかに超えた値となっているが,トンネル壁面の崩壊挙動を目 視によって確認するためこのような値とした.
(3)計測概要
トンネル壁面変位計測については,載荷枠外側にポテンショメータを4個設置し,トンネ 円形実験槽
鉄 棒
トンネル型枠 テフロンシート
地山材料
締固め用架台
ドーナツ型鉄板 センターホール型荷重計
油圧ジャッキ
ボルト配置
1層目締固め量 1.円形土槽中央にトンネル型枠を設置し、
土槽底部に間に2枚に重ねたテフロンシ ート片(円弧形)を互いにラップするよ うに敷き詰める.
2.第一層目の地山材料を打設する.
3.地山材料の上にドーナツ型鉄板をおき、
締固め用架台を介して油圧ジャッキで 0.20M Paまで締め固める。
4.締固め後,トンネル型枠にあけられ た溝に所定のピッチでボルトを配置 する.
図-2.16 地山モデル作成方法
第 2 章 軸対称応⼒場におけるトンネル挙動に関する模型実験
表-2.3 実験ケース 実験ケース※1
ボルト打設間隔 ボルト数 ボルト長
軸方向 (cm) (cm)
円周方向 (deg.)
軸方向 段数
円周方向 本数
033025 2.5
30
5
12
033040 4.0 3 3
053025※2 2.5 5
053040 4.0 3 5
103025※2 2.5 5
103040 4.0 3 10
※1 実験ケースにおいて,左二桁:ボルト長(cm),中二桁:周方向間隔(deg.),下二桁:
軸方向間隔(mm)を表す.
※2 053025および103025の2ケースは,ベアリングプレートを設置しない実験も実施 している.ベアリングプレートの有無を比較する場合には,ケース名6桁の後に,
B(あり),N(なし)と付すことがある.
ル内壁とポテンショメータをつなぐ針金の移動量から壁面変位を計測する.ロックボルト 軸力については,前述の通り4本の計測用ロックボルトに貼付されたひずみゲージのひず み値に,あらかじめ引張り試験によって求めた校正値を乗じて軸力を求める.これらの計測 値は載荷開始と同時に10秒間隔で取り込む.
(4)実験ケースおよびモデル物性
実験ケースは表-2.3 に示されているように,ボルト長,およびトンネル軸方向と円周方 向の打設間隔をパラメータとして6ケース実施した.
地山モデル,ロックボルトモデルおよび地山-ロックボルト間の地山物性は前出表-2.2 の通りである.