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ベアリングプレートを考慮したロックボルト軸力分布の概念

第 2 章 軸対称応力場におけるトンネル挙動に関する模型実験

2.3 ベアリングプレートを考慮したロックボルト軸力分布の概念

以上の実験結果を踏まえ,ベアリングプレートの有無によるロックボルトの力学モデル の概念を図-2.27により説明する.本図は上段から順に,地山およびロックボルトの半径方 向変位,ロックボルト周面に作用するせん断応力およびロックボルト軸力について示して

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 0

50 100 150 200 250 300

壁面変位率 u

a

/a (%) 載 荷 圧 p

o

(k P a)

033025 033040 053025 053040

 

32 6.  91 2. u /aa

 

31 8.  55 8. u /aa

 

17 4.  75 1. u /aa 76 8. + 90 0. (ua/a)

図-2.26 壁面変位率と載荷圧との関係

いる.同図(a)はベアリングプレートのない場合のロックボルトの力学モデル(以下,従来 モデル)で,同じく(b)はプレートのある場合のモデルである.比較的硬岩な地山を対象と している多くの研究では,従来モデルを提示している場合が多い.

0

トンネル壁面からの距離 トンネル壁面からの距離

+

-ニュートラルポイント

ロックボルト 地 山

0

0

0

0 0

u

b

u

:ボルト自身の伸び

:ボルトの剛体変位

u

b

u u

a

u

a

u

u

b

a)ベアリングプレートなし

(従来モデル)

b)ベアリングプレートあり

(低強度地山)

図-2.27 ロックボルト軸力およびせん断応力の概念

第 2 章 軸対称応⼒場におけるトンネル挙動に関する模型実験

まず,従来モデルの概念について説明する.従来モデルでは,地山とロックボルトのトネ ル半径方向変位は図-2.27(a)上段のような分布になる.この変位分布から,地山-ロックボ ルト間のせん断応力は,その値がゼロとなる点(ニュートラルポイント)を境にトンネル壁 面側ではロックボルトが地山の変位を抑制する方向(ピックアップ作用)に,それより地山 側では逆に地山がロックボルトの変位を抑制する方向(アンカー作用)に働く9) .このニ ュートラルポイントの位置は,頭部処理がされていない全面接着式ボルトと周辺岩盤との 力のつり合いから,TaoとChen 9)によって理論的に導かれている.従来モデルではベアリ ングプレートの影響を無視しているため,軸力分布形状はロックボルトの両端でゼロの曲 線となる.ロックボルト作用効果の研究の先駆けとなったFreemanの実証的研究10)やその ほかの報告11)からも同様の軸力分布が得られていることから,ロックボルトを含むトンネ ルを扱う研究では,従来モデルの考え方を踏襲している例が多い12).ただし,トンネルで は一般にベアリングプレートなどによってボルト頭部処理が施されているため,実際には ボルト頭部においてある程度の軸力が現れるものと思われる.頭部軸力が生じない例では,

何らかの原因でベアリングプレートが有効に機能しなかったあるいはベアリングプレート 設置外のトンネル壁面におけるトンネル壁面変位の影響等のため,トンネル壁面における 地山とロックボルトの一体化が不完全であったものと考えられる.

一方,低強度地山におけるベアリングプレートを有する場合のロックボルト挙動の概念 については,図-2.27(b)のようになると考えられる.

トンネル壁面においてベアリングプレートが地山とロックボルトを完全に一体化させて いれば,地山とロックボルトの半径方向変位は一致する.しかし,低強度地山では地山の剛 性に比してロックボルトのそれが極めて大きいため,地山奥側に向かうにしたがって両者 に大きな変位差が生じる.つまり,地山の変位は同図(b)上段の破線のようになるが,ロッ クボルトの半径方向変位はロックボルト自身のわずかな伸び分を除き,ほとんどがロック ボルトの剛体変位となる.この両者の変位分布の関係から,同図(b)中段のせん断応力分布 となる.

せん断応力分布はトンネル壁面においてゼロであり,地山奥側に向かうにしたがって地 山がボルトをアンカーしようとする向き(ロックボルトには地山奥側に向かう方向)のせん 断応力が増加する.この作用は,グランドアンカーにおける効果と類似である.周面に作用 するアンカー作用は,ロックボルト全長にわたって引張力を発揮させる極めて効果的な作 用となる.なお,このせん断応力はやがて付着強度の限界と一致して一定の分布となる.こ のせん断応力を積分した結果が同図(b)下段の軸力分布となる.したがって,軸力分布はト ンネル壁面において最大となり,ロックボルト先端に向かうにしたがってゼロとなる上に

凸な分布を呈す.

ベアリングプレートを有する場合のこの概念に基づけば,ロックボルト頭部に発生した 軸力が支保内圧を与えると捉えることができる.本章では,この概念の正当性を実験により 明らかにすることができた.この概念を用いて,低強度地山トンネルの簡便な力学モデル構 築へと議論を展開していくこととする.

ベアリングプレートがトンネル壁面において地山とロックボルトとを一体化させ相対変 位を生じさせないようにすることは実務上期待できない場合もある.地山とロックボルト の一体化が不完全であれば,同図(a)と(b)の中間的な軸力分布をとると考えられる.たしか に,これまでの報告でもこのような分布形状を示している事例13)も多い.そこで,中間的 な状態をモデル化するために,本論では完全に一体化した状態(ロックボルト頭部のせん断 応力がゼロ)を理想状態と位置づけ,不完全な一体化は理想状態に対して不完全性を表現す る係数を乗じることによって簡便化を図る.

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