第 2 章 軸対称応力場におけるトンネル挙動に関する模型実験
2.1 ロックボルトと地山の付着特性に関する引抜き試験
2.1.2 結果と考察
表-2.3 引抜き試験ケース 試験番号 ボルト長
(cm)
側圧
(kPa)
軸力分布 測定有無
1 3 50 -
2 3 100 計測
3 3 150 -
4 3 200 計測
5 5 50 -
6 5 100 計測
7 5 150 -
8 5 200 計測
9 10 50 -
10 10 100 計測
11 10 150 -
12 10 200 計測
第 2 章 軸対称応⼒場におけるトンネル挙動に関する模型実験
によって引き抜かれる方向とは反対向きに抵抗力(ロックボルト周面に働くせん断応力)が 作用する.付着力の分布は荷重載荷点の付近が最大となり,次第に減少していく.
本実験における引抜き試験の軸力分布は図-2.8 から図-2.13 を見てもわかるように,引 図-2.5 引抜き変位-荷重関係(ボルト長3cm)
引抜き荷重(N)
引抜き変位(1/100)(mm)
図-2.6 引抜き変位-荷重関係(ボルト長5cm) 引抜き変位(1/100)(mm)
引抜き荷重(N)
図-2.7 引抜き変位-荷重関係(ボルト長10cm)
引抜き荷重(N)
引抜き変位(1/100)(mm)
抜き初期段階はロックボルト頭部から先端にかけて直線的な分布形状を示している.ボル ト頭部の軸力がやがて付着抵抗の限界値に達すると,ロックボルト頭部から先端へ順次ス リップ(付着切れ)が生じ,軸力分布形状に水平な部分が表れる.この様子が,ボルト長5cm
軸応力(N/mm2)
ボルト頭部からの距離(cm)
図-2.8 軸力分布(ボルト長3cm,側圧100kPa)
図-2.10 軸力分布(ボルト長5cm,側圧100kPa) ボルト頭部からの距離(cm)
軸応力(N/mm2)
図-2.9 軸力分布(ボルト長 3cm,側圧200kPa)
ボルト頭部からの距離(cm) 軸応力(N/mm2)
ボルト頭部 変位 (1/100 [mm])
ボルト頭部 変位 (1/100 [mm])
ボルト頭部 変位 (1/100 [mm])
第 2 章 軸対称応⼒場におけるトンネル挙動に関する模型実験
および10cmでは明瞭に表れている.
ロックボルトと地山との間の付着特性つまりロックボルト周辺のせん断応力は,軸力分 図-2.11 軸力分布(ボルト長5cm,側圧200kPa)
ボルト頭部からの距離(cm)
軸応力(N/mm2)
図-2.12 軸力分布(ボルト長10cm,側圧100kPa) 軸応力(N/mm2)
ボルト頭部からの距離(cm)
図-2.16 軸力分布(ボルト長10cm,側圧200kPa) 図-2.13
ボルト頭部からの距離(cm)
軸応力(N/mm2)
ボルト頭部 変位 (1/100 [mm])
布を微分することで得られる.直線的な傾きとなる軸力分布の場合にはロックボルトの全 長にわたって一定のせん断力が作用しているものといえる.本実験の場合には3 cmの場合 がその挙動に該当する.それに対し,地山とロックボルトのスリップが生じた平坦な軸力の 部分は,せん断応力がゼロとなる.このことがボルト長5cmおよび10cmでは再現できた.
以上により,本実験におけるロックボルトモデルが全面接着型ロックボルトを再現できた といえる.
なお,本実験で得られた結果は,第 3 章においてロックボルトの付着特性を考慮した簡便 力学モデル構築の根拠に,また第 4 章においては数値解析的検証においてその値を利用す る.