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質量スペクトルの解釈に関する補足説明

ドキュメント内 TSP-MPS-OM.book (ページ 73-77)

第 4 章 アプリケーションガイド

4.1   測定結果の解釈方法

4.1.3   質量スペクトルの解釈に関する補足説明

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TFb. . .  透過率。質量bのイオン全体に対する質量フィル タを通過するイオンの割合であり、質量が 28 AMUの窒素イオンに相対的な値です。名目上は、

TFM = 28 / M(物理量なし)。

DFab . . .  物質aに由来する質量bのイオンの検出係数であ り、28 AMU の窒素に相対的な値。ファラデー カップ検出器については 1.00 と見なされます が、電子増倍管検出器では異なります(物理量な し)。

G . . .  28 AMU の窒素イオンに対する電子増倍管のゲ イン(物理量なし。ファラデーカップ検出器につ いては 1 に設定)。

S. . .  窒素に対する装置の感度であり、単位窒素分圧当 たりの 28 AMU におけるイオン電流(一般的に は amps/Torr)。

Iab. . .  物質aに由来する質量ピークbのイオン電流(単位 は amps。質量ピークbにおける総電流に大きく 寄与する他の物質が存在しないことが前提)。

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注意

(2 回目の)ベークアウト温度が電子増倍管の最大動作温度を上回 る場合は、電子増倍管をオフにしてください。電子増倍管が損傷す る恐れがあります。

第二に、ガスの放出と逆の現象、すなわちセンサ表面へのガス分子の吸着が発生する可能 性があります。この作用はポンピングと呼ばれます。このような場合、排気されるガスの 信号強度は真空チャンバ内のガス組成を正確に反映した信号強度よりも低くなります。イ オンソースの脱気後は、顕著な一時的ポンピング作用が頻繁に発生します。

第三として、分析装置表面のガス分子が関与する反応により、ガスの組成が変化すること が考えられます。ガスは、表面で消費されることも、表面で生成されることもあり得ま す。ガスが消費される 1 つの例としては、タングステンフィラメントを使用している場 合の、高温のフィラメントと酸素の反応があります。この場合、一般的な結果として、検 出される酸素の濃度が異常に低くなります。フィラメントの材質、およびそれらの材質と 分析対象ガスとの相互作用に関する詳細は O Hanlon の著書(第 8 章の第 2 項)をご 参照ください。表面から生成されるガスの例としては、有意量のアルゴンの存在下におけ るスパッタリングメカニズムによるイットリア酸化物でコーティングされたイリジウム フィラメントからの一酸化炭素分子の遊離があります。減圧システムと Transpector MPS センサの組合せがスパッタ蒸着プロセスにおけるアルゴン中の百万分の 1(PPM)

レベルの窒素汚染の測定に適さない理由は、この後者のメカニズムにあります。この種の 用途には、特殊なタイプの導入システムとイオンソース(閉鎖型イオンソース(CIS))を 第四として、検出されるイオンの少なくとも一部が、中性分子のガス相で生成されたもの ではなく、電子衝撃法の下でイオンソースの表面から放出されるものである例が挙げられ ます。このプロセスは電子衝撃脱離(ESD)と呼ばれ、電子誘起脱離(EID)と呼ばれる こともあります。センサがフッ素を含む物質(六フッ化硫黄、クロロフルオロカーボン、

パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロケロセンなど)に長時間曝された場合、

フッ素を含む物質が取り除かれた後も 19 AMU の強力な F+のピークが存在し続けるこ とは珍しくありません。UHV 下で操作する場合、H+、C+、O+、CO+(およびその他の イオン)の EID あるいは ESD は稀ではありません。この問題の診断に際しては、観察さ れたフラグメンテーションパターンが既知のガス相のパターンと一致しないことがヒン トになります。EID や ESD に関する詳細については Drinkwine と Lichtman による Partial Pressure Analyzers and Analysis(分圧分析装置および分析)の 5 〜 6 ペー ジ、および代表的なスペクトル TS-2 〜 TS5、TS16、TS28、TS30 をご参照ください。

Transpector MPS は、質量差別効果の程度の違いによっても特徴付けられます。これ は、装置の感度が質量の関数であることを意味しています。イオン化の難易度は物質に よって異なるため、イオンソースは質量差別効果を示しています。一般的に、重く大きな 分子は軽く小さな分子よりも容易にイオン化されます。また、分子中の電子の数と分子の イオン化の容易さとの間にも大まかな相関関係が存在します。全イオン収量(全ての質量 の イ オ ン の 総 和)は、電 子 の エ ネ ル ギ ー や イ オ ナ イ ザ に よ っ て 異 な り ま す が、

Transpector MPS で生成されるイオンの数(ある標準(一般的には窒素)を基準とし た相対的な値)は、電離真空計の相対感度であるというのが合理的な推定です。

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4.1.3.2  掃引特性

四重極質量フィルタでは、質量範囲全体をスキャンした時の制御電圧の変化の仕方によっ ても質量差別特性が示されます。大半の装置は、ピーク幅が一定(M が一定)で動作す るように設計されているため、分解能は質量に比例します。この特性により、質量スペク トル全体で適度なピーク分離が得られますが、イオン透過効率(質量フィルタに入る指定 された質量の全イオンのうち、質量フィルタを通過するイオンの割合)は質量の増大に 伴って低下します。

質量スケールの較正や調整は、その方法(ピークの位置や幅がどのように調整されるか)

によって質量スペクトル全体における質量フィルタの透過効率に顕著な影響を及ぼす可 能性があります。正しく調整されていない場合、質量範囲全体において正しいピーク高の 比が得られなくなります。

4.1.3.3  フラグメンテーションファクター

フラグメンテーションファクターとは、総イオン電流のうち、選択された質量のイオンに よる寄与分の割合を意味します。総イオン電流に対して 1 パーセント以上寄与している ピークのみが、リストに含まれています。ある質量スペクトルにおいて、全てのピーク ファクターの総和が 1.00 を超えることはありません。リストに一部のピークのみが含ま れている場合(多くのピークが存在する、または生成されたイオンの一部は使用している 装置の質量範囲外)、総和が 1.00 未満になる可能性があります。

4-10 ページの表 4-4「いくつかのよく知られた物質の主要ピークの標準フラグメンテー ションファクター」に示したデータは、複数の情報源からのデータを編集したものであ り、説明目的で示したに過ぎません。分圧の計算で最大限の精度を確保するためには、観 察対象物質のフラグメンテーションファクターを、分析対象の試料と同一条件で調整した 同一の装置で測定する必要があります。

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