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四重極質量フィルタ

ドキュメント内 TSP-MPS-OM.book (ページ 54-57)

第 3 章 測定原理

3.4   四重極質量フィルタ

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PN 074-555-P1B

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RF 成分は、イオンビームから質量の小さいイオンを除去します。質量が十分に小さいイ オンは、印加される RF の位相と同一の位相に保持されます。これらのイオンは場からエ ネルギーを獲得し、より大きい振幅で振動します。最終的に、これらのイオンはロッドの 長方向に沿って移動しながらロッドの1つに衝突し、中性化されます。一方、質量の大き いイオンは RF 成分によって四重極の長軸(「Z」軸)に近い領域に収束します。

DC 成分は、ビームから質量のより大きいイオンを除去するために RF に重ねられます。

DC 場は、RF 場の収束作用とは逆に、質量の大きいイオンを逸らせてマイナス極に向か わせます。最終的に、質量の大きいこれらのイオンはマイナス極に衝突して中性化されま す。適正な DC 対 RF 比を選択することにより、質量の大きいイオンと小さいイオンの両 方を望む程度まで質量フィルタは分離することができます。

質量フィルタの Z 軸方向に向かう運動エネルギー(一般的にイオンエネルギーと呼ばれ る)は、主にイオンが生成される時の電位(陽極電圧と概ね同一)と極零との差に依存し ます。通常、イオンエネルギーは、イオンソースの出射口と四重極との間の電場(漏れ電 場)により僅かのみ変化します。2 組のロッドに印加される RF の 2 つの位相と、同じ く印加される DC 電圧の 2 つの位相の振幅の不均衡は、イオンエネルギーをさらに変化 させます。

フィルタを通過したイオンの質量は、以下の式が示すように、RF 振幅、RF 周波数、お よび四重極半径によって決定されます。

[3]

上記の式で、

V

はピーク・トゥ・ピーク RF 振幅(単位はボルト)、

M

はイオンの質 量(単位は電荷当たりの原子質量単位(AMU))、

f

は RF 周波数(単位はメガヘル ツ)、

r

0は四重極半径(単位はセンチメートル)です。

例えば、200AMU の一価イオンは、ロッドの公称直径が 1/4 インチ(

r

0が 0.277cm)

で、RF 周波数 1.78MHz、ピーク・トゥ・ピーク RF 振幅約 700 ボルトで作動してい る四重極を通過します。

透過イオンの質量(

M

)は、RF 振幅に正比例します(

f

が一定の場合)。RF 振幅の増大 に伴い、質量のより大きいイオンは徐々に RF 場と同調して振動し、極に衝突するのに十 分なエネルギーを獲得するようになります。フィルタの高質量除去特性を維持するために は、DC 電圧も高くする必要があります。したがって、DC 電圧と共に RF 振幅を掃引す ることにより、質量スペクトルを得ることができます。

次項(掃引特性)では、質量によるイオンのフィルタ透過効率の変動について説明しま

V 14.438Mf 2

r 0 2

=

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3.4.1  掃引特性

上記の通り、四重極は混合イオンビームの質量フィルタとして機能し、質量の大きいイオ ンと小さいイオンを除去しながら、その中間の質量のイオンを通過させます。質量フィル タの選別能力は分解能 R で表され、「中心質量 M」と「通過帯域幅

M」(単位はいずれ も AMU)の比により、数値で示されます。フィルタを通過するイオンの数は、通過帯域 幅の端に近づくにつれて徐々に減少するため、イオン電流が最大値から見てある所定の割 合(通常は 1/2 または 1/10)まで低下するポイントで帯域幅を設定します。通過帯域 幅は、DC と RF の比で決定されます。

四重極の駆動回路は、M と共に R が望ましい形で変化するように設計することが可能で すが、通常は、

M を 1AMU 異なる質量を十分に分離できる一定の値に保つのが最も便 利な方法です。この掃引モードは、Constant 

M と呼ばれます。それにより、R は M に比例し、質量 M のイオンが四重極を透過する際の効率は M と共に低下することになり ます。したがって、センサの感度は M の増大に伴い低下します。

3.4.2  ゼロブラスト

非常に小さい質量に合わせて質量フィルタが調整されている場合、ロッドに印加される RF と DC の電圧はゼロに近似します。すると四重極はフィルタとして機能することを停 止し、分離されていない大量の電流が検出されます。この電流がゼロブラストと呼ばれま す。3-8 ページの図 3-4をご参照ください。

ゼロブラストは、四重極型のあらゆるセンサで発生しますが、より大きな質量のイオンが 相当量存在する場合には 1 や 2 の質量を測定する妨げになります。センサによっては、

電圧がゼロに近づくのを防ぐことで、ゼロブラストの大きさが顕在化しないようにしてい るものもあります。Transpector MPS では、ゼロブラストは質量 1 と 2 に対して僅か 100 万分の 1 レベルの干渉しか発生しません。

図 3-4  ゼロブラスト

Zero Blast

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