第 3 章 測定原理
3.5 イオン検出器
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3.5.2 電子増倍管(EM)型検出器
電子増倍管(EM)は、感度を向上させるために in situ前置増幅器としての役割を果た します。EM には複数の異なるタイプがありますが、動作原理は同じです。入ってくるイ オンは、マイナスの高電圧(通常は -1.0kV 以上)によって EM の入口に向かって加速さ れます。イオンが EM の表面に衝突すると、1 つまたは複数の二次電子が放出されます。
これらの電子は、より大きいプラスの電位を有する第二表面に向けて加速され、第二表面 でさらに多くの電子を発生させます。
EM の出口から電子パルスが放出されるまでこのプロセスは繰り返され、放出された電子 パルスはファラデーカップに集められます。結果的には、入射イオン 1 つにつき 100 万 個以上もの電子が生成されることもあります。ファラデーカップ検出器からの電流はプラ スです(陽イオンの場合)。EM 型検出器からの電流はマイナスです。
電子の出力電流と入射イオン電流の比は、EM ゲインと呼ばれます。ゲインは、主として EM のタイプ、EM 入口への印加電圧、EM を挟んで印加される電圧、EM の状態に依存 し、それよりも程度は低いものの、入射イオンの質量や化学的性質にも依存します。一般 的に、EM ゲインはイオンの質量の増加に伴い低下します。
EM 型検出器を利用したセンサの利点は感度の高さ(少なくとも 500 amps/Torr)に あり、Transpector MPS のセンサでは 1.5×10-14 Torr という低い分圧まで測定可能 です。一般的なファラデーカップ型センサの感度は僅か 3×10-4 amps/Torr であるた め、検出可能な最小分圧は 2.6×10-12 Torr となります。
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3.5.3 連続ダイノード電子増倍管/ファラデーカップ型検出器
連続ダイノード電子増倍管/ファラデーカップ型検出器(CDEM/FC)は、MPS の EM 搭載機種で使用され、1 つの装置が FC 型検出器および EM 型検出器の両方の利点を兼ね 備えています。
図 3-6 CDEM/FC 検出器
CDEM/FC 型検出器では、EM コーンが電子パルスを増幅し、分析器の感度を著しく向 上させます。
Transpector MPS の CDEM/FC 型検出器は、銅 ‐ ベリリウム合金製の離散ダイノー ド EM とは異なり、特殊ガラス製の連続したダイノード素子を使用します。CDEM の主 な利点は、空気に曝されても性能が低下しないことです。銅−ベリリウム製ダイノード増 倍管の使用寿命を延長するためには、真空下で保管する必要があり、短時間空気に曝した だけでも得られる最大ゲインが大幅に低下する原因になります。
CDEM にはいくつかの欠点があります。CDEM は最大動作温度が 150 ℃です(高電圧 CEM Cone
Electron Collector
Signal Output Deflector Shield
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注意
CDEM は 150 ℃より高い温度で使用しないでください。永久的 な損傷を引き起こす恐れがあります。また、出力電流が 1×10-6 amps を超えないよう、電圧値を下げる、あるいは可能であれば 圧力を下げてください。
CDEM では、ピーク振幅や S/N 比を得るのに必要な最小限の電圧をご使用ください。必 要以上に高い電圧でご使用になると、電子増倍管が早く劣化し、早期の交換が必要になり ます。CDEM は、経年劣化に伴い、EM のゲインを得るために要する電圧が高くなります。
EM の性能は内部表面の状態によって左右されるため、以下の要領で炭化水素やその他の 物質による汚染を防いでください。
拡散ポンプ式真空システムには、オイルの逆流防止トラップが正しく設置されている ことを確認する。
ターボ分子ポンプ式真空システムは、機械式ポンプのオイルが回転していないターボ ポンプを通して逆流するのを防ぐため、連動式になっていることを確認する。
これらの問題に起因する電子増倍管のゲインの低下率は、50% 〜 90% 超になる場合が あります。EM の初期ゲインは十分高く、ある程度の劣化には対応可能であり、引き続き 使用することができます。汚染が頻繁に発生すると、最終的に増倍管の交換が必要になり ます。
注: 増倍管は、炭化水素による汚染だけでなく、強い反応性を有する化学薬品への曝露 によっても悪影響を受けます。EM 表面への皮膜の付着や EM 表面の侵食を引き起 こす物質は全て避けてください。また、六フッ化タングステン、フッ化水素、三フッ 化窒素などの反応性の高いフッ化物も避けてください。
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