6.2 実験方法
6.2.2 試料作製
試料は高純度のBa(99%)、Au(99.9%)、Si(99.999%)をBa8Au8.0Si38.0となるよう に秤量し、アーク溶融法によってクラスレート合金化した後、インゴットを粉砕 しチョクラルスキー法によって単結晶試料化した。チョクラルスキー法は気圧 1.5 MPaを維持した、0.5 L/minでのアルゴンフロー状態で行った。作製開始時の 温度は950 ℃で、シャフトの引き上げ速度は5 mm/h、回転速度は30 rpmで行 い、種結晶には以前に作製された単結晶Ba8AuxSi46-xクラスレートより厚さ1.5 mmに切り出したものを使用した。作製された試料の外観を図 6.3に示す。
図 6.2 n型半導体のみによる温度差を必要としない 熱―電力変換効果模式図
(Ⅰ)
(Ⅱ)
(Ⅲ)
また、作製された試料から図 6.4に示すように測定用試料を切り出した。はじ めに成長方向と垂直な層状の試料を厚さ1.5 mmに厚さ0.5 mmの刃を用いて切断 した。これらは成長初期の上部をNo.1とし、No.12の試料まで切り出された。ま た条件を満たす可能性がある試料として、等温環境下での熱起電力測定を行うた めの試料を成長方向に切り出した。この試料は上端をNo. 1の表面と同じ位置に し、また下端をNo.12の底面と同じ位置にしており、それぞれの特性が一致する ようにした。
図 6.3 作製された試料
作製された試料の一部を切り出し、粉砕して粉末状にしたものにリガク製 RINT-2100を用いてPXRDによる結晶構造解析を行った。さらに Crystal Maker Software社製 Crystal Diffract 4.1.2を用いて、クラスレート構造の理論的ピーク 位置を算出し、測定結果と比較を行った。
また、図 6.4に示す等温測定用試料に対し、島津製作所製EPMA-1600を用いて WDXによる組成分析を行った。加速電圧は15 kV、フィラメント電流は10 nAに 設定し測定を行った。
さらに半導体特性を特定するために図 6.4で示したNo.1からNo.12の試料に対 し図 2.5で示されるように温度差を与え、そのゼーベック係数の温度依存性を測 定した。測定は試料の両端の温度差を20 ℃差に保ちつつ加熱し行った。そして上 下端の起電力よりゼーベック係数を算出した。その際の温度は両端の温度の平均 とした。
そしてn型半導体のみによる等温での熱―電力変換を検証するために、ゼーベッ ク係数の測定結果からn型半導体と特定された部位のみを等温測定用試料より切 り出し、図 3.3に示す模式図のように試料両端が等温となるように加熱を行い起 電力測定を行った。