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実験方法

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 95-99)

第5章  加熱式サーマルプローブ法を用いた温度差を 必要としない熱―電力変換効果メカニズムの検証

5.2  実験方法

5.2.1 加熱式サーマルプローブ法を用いた局所的ゼーベック係数の      観察

 サーマルプローブ法は材料内の局所的なゼーベック係数を測定するために使用 される装置である1-5。その模式図を図 5.1に示す。この図が示すようにあらかじ め試料を導電性の台の上に設置しておき、その上に任意の温度に加熱されたプロ ーブを触れさせると、試料の表面はプローブによって加熱され試料内に局所的な 温度差が生じる。ここでこの試料がゼーベック効果発現する材料であれば、その 効果に基づき温度差に応じた起電力がプローブと試料台によって観測される。そ してこの起電力とプローブ温度―試料温度間の温度差からプローブの触れた位置 のゼーベック係数を算出する方法である。

 従来のサーマルプローブ法では測定は室温で行われてきたが、本実験ではこれ をもとに改良を施した加熱式サーマルプローブ法を作製した。その外観を図 5.2 に示す。この図が示すように作製された装置は従来と同じ方法で測定を行ってい るが、試料台側にもヒーターを加えることで試料の加熱を行えるようになってい る。これによりプローブだけでなく試料の温度も変化させて測定を行うことがで きる。

図 5.1 サーマルプローブ法模式図

5.2.2 試料作製

 本実験では加熱式サーマルプローブ法を用いて、温度差を必要としない熱―電 力変換効果をもつ試料内において加熱により局所的なゼーベック係数がどのよう に変化するかを観察することが目的になる。そのため使用する試料ではより緩や かにAu組成が傾斜し、ゼーベック特性が変化している試料が望ましい。そこで本 実験では2章と同じくチョクラルスキー法による組成傾斜単結晶Ba8AuxSi46-xクラ スレートを作製し、測定に使用した。

 試料の仕込み組成はBa8Au7.5Si38.5とし、高純度のBa(99%)、Au(99.9%)、

Si(99.999%)を秤量し、アーク溶融法によってクラスレート合金化した後、インゴ ットを粉砕しチョクラルスキー法によって単結晶試料化した。チョクラルスキー 法による作製は1.5 MPaを維持した、0.5 L/minでのアルゴンフロー状態で行い、

作製開始時の温度は970 ℃で、シャフトの引き上げ速度は5 mm/h、回転速度は 30 rpmとし、種結晶には単結晶Siを加工したものを使用した。作製された試料を 図 5.3に示す。

 作製された試料の一部を切り出し、粉砕して粉末状にしたものにリガク製 SmartLabを用いてPXRDによる結晶構造解析を行った。さらに Crystal Maker  Software社製 Crystal Diffract 5.1.8を用いて、クラスレート構造の理論的ピーク 位置を算出し、測定結果と比較を行った。

図 5.3 試料外観

 また、結晶成長方向に切断した断面に対し、島津製作所製EPMA-1720を用いて WDXによる組成分析を行った。加速電圧は15 kV、フィラメント電流は10 nAに 設定し測定を行った。

 さらに試料表面の局所的ゼーベック係数を図 5.2で示された加熱式サーマルプ ローブ装置を用いて測定した。測定は試料温度が室温の24 ℃の際と、300 ℃とな るように加熱して行った。また試料に生じさせる温度差はいずれも40 ℃差とする ため、プローブの温度は室温での測定では64 ℃、加熱状態では340 ℃にして測定 した。

 そして等温での熱―電力変換を検証するために、結晶成長方向から等温測定用 試料を切り出し、図 3.3に示す模式図のように試料両端が等温となるように加熱 を行い起電力測定を行った。

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