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評価用教材の開発

ドキュメント内 フロー理論に着目した 学習教材・学習環境の (ページ 113-119)

第 5 章 フロー理論適合度チェックリストの評価

5.4 評価用教材の開発

フロー理論適合度チェックリストの評価を実施するために,評価用の教材を開発した.

以下,詳細について述べる.

開発する教材は,フロー理論適合度チェックリストの信頼性・感度・有効性を評価する ための教材として,形成的評価実験に利用するためのものである.独学用のeラーニング

第5章 フロー理論適合度チェックリストの評価 101

教材として,「教材設計マニュアル」(鈴木, 2002)に沿って開発を実施した.教材開発の 条件としては,オープンソースの LMS である Moodle 上で利用でき,アンケートも含めて全 てオンラインで実行することが可能であり,教材自体の学習は約 30 分程度で終了し,参加 者のオンライン上での活動の負荷を考慮して,アンケート等も含めて全体として 1 時間以 内で終了するように構築した.

また,教材のトピックとしては,利用者(教授者及び教材設計者)や対象なる学生の関 心が幅広く得られやすいようなテーマ設定も重要であると考え,トピックとして,モバイ ルラーニングとも関係の深い,「スマートフォン」とし,「スマートフォン入門」教材を開 発することとした.理由は以下の通りである.

 2011 年,2012 年と,急速にスマートフォンの普及が加速し,非常に話題 性のあるテーマであり,携帯電話からスマートフォンへの移行という身 近なテーマは広く利用者に関心を持ってもらえる可能性がある.また,

スマートフォンは現在,ビジネスの世界でも非常に重要なテーマとなっ ており,学生の利用者も増え,企業内での利用も進みつつある.スマー トフォンの未利用者も,近い将来にスマートフォンに移行しようと考え る人も多いと思われ,幅広い関心を得やすいテーマとしては適当である と考えた.

 スマートフォンに関しては 3 年以上利用しており,仕事上も非常に密接 に関係しているので,十分な知識を持ち合わせており,独力でオリジナ ルな教材の開発が可能である.ただし,この分野は動きが激しく,短期 間に陳腐化してしまう可能性があるので,なるべく最新の情報を盛り込 んで教材を開発し,長く続けていくためには定期的な教材の更新を引き 続き行っていく必要がある.

 スマートフォンは非常に広範なテーマであるが,基本的な部分だけを取 り上げれば,30 分以内で学習できる範囲で構築することが可能な内容と して構成可能である.

 最終的には自分の携帯電話,モバイルライフをどうするか,という個人 の考え,行動に帰着するので,そのための,基本的な情報を与え,行動 に移すきっかけを与えるテーマとしては妥当である.

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対象とする学習者としては,大学生の初年次あるいは 2 年次を想定した.大学生の IT リテラシ教育の科目の中の1つの活動となる想定で,携帯電話と Moodle の利用経験を前提 とし,なるべく多くの学生が関心を持てるように,教材内に以下の3つのブロックを設け た.また,学習者の制御感を醸成するため,学生はどれか1つのブロックを選んでも全て を履修してもよい,という設定にした.

1 想定学習者: スマートフォンをまだ使ったことがない人

・ 学習目標: 初歩的な「スマートフォンの基礎知識」を習得する 2 想定学習者: スマートフォンを利用しているがアプリを使いこなせていな

い人

・ 学習目標: スマートフォンの代表的なアプリを活用するとともに,スト レスなくスマートフォンで文字を入力できる.

3 想定学習者: スマートフォンをよく知っている人

・ 学習目標: スマートフォンの市場動向を理解し,現状の課題を把握する とともに携帯電話市場を展望できる.

「スマートフォン入門」教材の設計上の特徴は以下の通りである.以下,スマートフォ ンを「スマホ」と呼ぶことにする.

(1) 学習者は,前提知識や利用経験に差があるので,なるべく広範囲の学習者 に有益な教材とするために,レベルに応じた 3 つの選択式ブロックとそれに 対応した 3 種類のクイズを設ける.

(2) 言語情報の習得だけでなく,学習者を飽きさせないように一部運動技能を 含むような知的技能の習得も学習の中に組み込む.

(3) オンラインでの実習については,最も利用者が多いと思われる,2 種類のス マホの OS に対応した知的技能を習得するための活動を提供する.

(4) 教材の最後に,振り返りの時間を設け,今までの自分の学習状況や集中度 等を振り返ることで,フロー状態へとつながる経験を認識する場を設ける.

(5) 各トピック(各ブロックは平均 5 トピックで構成される)を終了した後に はミニクイズを設け,学習者が理解できているかどうかについての即時フィ ードバックが得られるようにする.

第5章 フロー理論適合度チェックリストの評価 103

「スマートフォン入門」教材の構成は図 5-2 の通りであり,以下,教材の構成につい て詳細に述べる.

(1) 教材の冒頭では,事前アンケートということで,スマホに関する関心度合 い,知識,利用経験,利用機種(この設問のみ任意)を回答する.

(2) スマホに対する現在の知識レベル・関心レベル等により,選択式の3つの ブロックがあることを説明し,学習者に選択を促す.ブロック1:主にス マホ未利用者,ブロック2:主にスマホを利用しているがアプリを使いこ なせていない人,ブロック3:主にスマホをよく知っている人,の3つの 選択式ブロックを設け,学習者が自由に選択できるようにする.学習のガ イダンスでは,最低限どれか1つのブロックを学習することは必須である が,他のブロックの学習は制限せず,任意とし,全てのブロックを履修し ても良い設定とした.

(3) ブロック 1 の特徴について述べる.このブロックの学習目標は以下の 3 つである.

 従来の携帯電話とスマホの違いを説明でき,代表的なスマホの OS(Operating System)を2つ覚える.

 スマホへの関心をさらに深め,自分の携帯電話を変更すべきかどう かの判断基準を得る.

 スマホでは通常の携帯電話のテンキー入力以外の文字入力方法が あることを理解する.

このブロックでは,スマホの定義,代表的なスマホの機種と OS,ス マホのOSの比較,スマホのアプリ,について学習する.

(4) ブロック 2 の特徴について述べる.このブロックの学習目標は以下の 3 つである.

 スマホの特徴はアプリであることを理解する.

 ソーシャルメディアとクラウドのアプリを最低1つずつ利用する.

 スマホで,ストレスなく文字を入力する.

このブロックでは,ソーシャルメディア,スマホのアプリ(フェース ブック,エバーノート,ドロップボックス,グーグルマップ),アプリ

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から見たスマホ,について学習する.

(5) ブロック 3 の特徴について述べる.このブロックの学習目標は以下の 3 つである.

 スマホの市場動向を理解する.

 スマホの現状の課題を最低2つ理解する.

 携帯電話の将来を考えるための背景情報を理解する

このブロックでは,国内携帯電話機市場の動向,スマホの年別普及の 推移,米国及び世界のスマホ市場の動向,スマホの現在の課題,等につ いて学習する

(6) 全てのブロックに共通のトピックで,スマホに特有の日本語入力形式であ る,フリック入力について,ビデオ等で解説する.実際に iPhone や

Androidを利用していて,実機が手元にある学習者は,特定のアプリをダ

ウンロードして,そのアプリを利用して,フリック入力の練習を実施する.

最後にその結果をアンケートモジュールに記入する.それ以外の学習者は PCによるシミュレーションを利用して,マウスにより,フリック入力を 疑似体験する.また,フリックだけでなく,他の入力方式もスマートフォ ンには用意されていることを合わせて学習する.

(7) 学習後に提供されるクイズは3種類用意する.それぞれは,基本的にブロ

ック1,ブロック2,ブロック3で履修した内容と合致している.ただ,

学習者には,どれか1つのクイズを修了することは必須として課すが,自 分が履修したブロックに該当するクイズ以外の 2 つのクイズの履修は任 意としている.また,クイズ合格の閾値は仮に正解率 70%以上と設定し た.閾値については,実運用では学習者の成績分布等を鑑みて適宜調整す る必要がある.70%未満の場合は該当する教材に戻ること及びもう一度ク イズを実施することも選択できるようにした.

(8) ソーシャルインタラクションを好む学習者のために,フェースブック上に スマホ学習のページを設け,教材内で紹介を行う.現状の教材は,スマー トフォンに関して,学習者間で何も交流できず,質問等について何も書き 込むことができないので,何か質問等ある場合は,フェースブックを利用 してインタラクションを行うことが可能という設定とした.

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