第 3 章 フロー理論に基づく学習教材・学習環境再設計支援手法
3.4. フロー理論に関する入門教材
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においてのフロー経験も含めて,個人が体験した範囲内で記述してもら うこととしている.個人的なフロー経験,状況,その時の感情,思いな どを記述してもらう.最後に,フロー経験の深さについての自己評価を 行う.フロー経験の深い浅いについては,定義と構成要素のところでも 簡単にふれるが,他者との比較はできないので,まずは,第一印象とし ての自己評価を記述してもらい,他者のフローの実例や深さを理解した 後で,リフレクション時に,自己評価を修正できるようにしている.ま た,ここで記述された個人的なフロー経験は記入者の了承を得た上で,
匿名化し,共有データベースに登録され,他の利用者が閲覧することが 可能となる.この活動の目的は,利用者がフロー理論への関与を増し,
フロー経験との関連性を増大させることである.特に,深く,長時間続 くフローではなく,短時間で浅いフロー,いわゆる,マイクロフローは,
ほ と ん ど 全 て の 人 が 体 験 し て い る と も 言 わ れ て い る の で (Csikszentmihalyi, 1975),フロー経験はより身近なものであり,自分 との関連性も深い,ということを認識してもらうことをこの活動の目的 としている.
フロー経験の実例集
先行研究では数多くのフロー経験についての実例が述べられている.
Csikszentmihalyi (1975)は,ロッククライマー,ロックダンサー,チェ スプレーヤー,外科医等の専門家へのインタビューを行った.彼らは自 分の言葉で自分自身のフロー経験を述べている.また,この活動におい ては,いわゆるプロフェッショナルだけでなく,ビジネスマン,教師の フロー経験の例も幅広く示されている.この活動の目的は利用者にフロ ー経験の多様性,つまり,分野や深さ等に広がりがあることを示すこと で,誰にでもフロー経験が体験できる可能性があることの理解を促し,
自分の経験と照らし合わせてフロー経験をリフレクションする際のヒン トにすることである.
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リフレクション(振り返り)
フロー理論の定義を理解し,フロー経験の実例に触れた後で,自分が 記述したフロー経験を振り返る機会を設ける.本活動が,この入門教材 の中で最も重要な活動と位置づけられる.利用者は,自分のフロー経験 の記述や自己評価の値を変更し,新たなフロー経験を追加することが出 来る.この活動の目的は,フロー理論の定義を理解し,自分のフロー経 験を記述し,他のフロー経験の実例を理解した後,今までの自己の活動 を振り返りながら,フロー経験との関連性を増加させ,利用者の個人的 な経験とフロー経験を結びつけることである.
クイズ
この活動は,フロー理論やフロー経験についての簡単なクイズ集で構 成される.フロー理論を心理学的な依存症と勘違いしている人もいるか もしれないし,フロー状態を単なる集中している状態と捉えている人も 多いかもしれない.そこで,簡単なクイズを提供することで,利用者の フロー理論に関する理解を深めることを促進する.例えば,「ある人がテ レビを見ていて,近くで電話が鳴っているのに気づいていません.彼は フロー状態であると言えるでしょうか?」等のフロー理論に関するクイ ズを設けている.これらのクイズに答えて,解答を参照することで,利 用者は自分のフロー理論に関する知識をチェックし,確認することがで きる.この活動も,利用者に自己制御感を感じてもらう機会を増やすた めに,利用者の選択に任せ,自分のペースで行うことができる,自己調 整的活動の1つとして組み込んでいる.この活動の目的は,フロー理論 に関する知識について利用者にフィードバックを与えることで,利用者 のフローに関する理解を深め,自信を増加させ,フロー理論についての 自分自身の理解度を把握し満足感を得ることである.
また,上記のクイズについての回答は以下の通りである.「どちらとも 言えない.例えば,暇な時にぼーっとテレビを見ていて,たまたま面白 いドラマだったので,夢中になっていた,ということであれば,フロー 状態とはいえず,くつろぎ状態である可能性が高いが,テレビを見てい
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る人がテレビの画像調整技師で,画像の不具合を一生懸命調整している 状況,ということであれば,その時はフロー状態である可能性が高い.」 ということになる.