第 5 章 フロー理論適合度チェックリストの評価
5.11 チェックリストの信頼性の評価結果と考察
第5章 フロー理論適合度チェックリストの評価 117
図 5-4 評価実験の手順
118 第5章 フロー理論適合度チェックリストの評価
それぞれ,1.9,2.1,となっている.
また,表 5-5 より,教材毎のκ係数の標準偏差は,教材 A:0.28,教材 B:0.19,教材 C:0.40 となっており,教材 C の評価者毎のばらつきが一番大きい結果となった.
表 5-5 教材毎の評価結果のまとめ
κ係数 専門家評価
との一致率
専門家の教材の 評価値の平均 平均 標準偏差
教材A 0.47 0.28 56% 2.7
教材B 0.61 0.19 69% 1.9
教材C 0.58 0.40 59% 2.1
全体平均 0.56 0.31 61% 2.2
また,各評価者のκ係数は表 5-6 に示した通りである.表 5-6 において,A1~A7,B1
~B7,C1~C8 はそれぞれ,教材 A,B,C の評価者である.教授経験とフローの知識とは,
事前アンケートにおいて,評価者が 1 から 5 までの 5 段階で自己評価した,自分の教授経 験・教材設計経験,及びフロー理論に関する知識の多寡,である.1が少なく,5が多い.
κ 係数と教授経験,フロー理論の知識との間に有意な相関は見られなかった.また,κ 係 数の検定結果を表 5-5 の右列の数字の右肩に*で示した.*は有意水準 5%,**は 1%,***
は 0.1%である.
表 5-2 の κ 係数の目安に合わせて,表 5-6 で示した評価者毎のκ係数 の分布割合を示 したのが図 5-5 である.図 5-5 において,κ 係数の目安の「かなりの一致」となる,κ 係数が 0.61 以上の評価者の割合は,教材 A,B,C でそれぞれ,29%,71%,63%,となり,
全体平均は 55%であった.また,「中程度の一致」以上であれば,それぞれ,71%,86%,63%
となり,全体平均は 73%となった.
予備実験での 3 つの教材に対する評価の一致度係数κが 0.28~0.33 であったことを考え ると,本実験結果では,0.47~0.61 とかなり改善されており,表 5-2 の一致度係数 κ の 目安からは「かなりの一致」に近い「中程度の一致」であると言うことができる.また, 図 5-5 に示した通り,「かなりの一致」以上に該当する評価者が全体の 55%,「中程度の一致」
以上に該当する評価者が全体の 73%,いう結果となり,信頼性の観点からは実用上問題の ないレベルであるといえる.図 3-1 で示した再設計支援フレームワークの実運用を繰り返
第5章 フロー理論適合度チェックリストの評価 119
しながら,徐々に改善の実例やフロー経験に関する知見を蓄積して,チェックリストを形 成的に改善していくという観点から,現段階のチェックリストの初期値の信頼性としては 十分であるといえる.
表 5-6 評価者毎の評価結果のまとめ
教授経験 フローの知識 専門家評価
との一致率 κ係数
教材 A
A1 3 2 60% 0.69***
A2 3 2 42% 0.24
A3 3 2 45% 0.43*
A4 3 1 46% 0.44*
A5 1 2 31% 0.08
A6 4 3 47% 0.40
A7 3 4 100% 1.00***
教材 B
B1 1 1 73% 0.84***
B2 3 2 36% 0.59
B3 1 2 67% 0.65***
B4 3 2 87% 0.60***
B5 2 3 50% 0.18
B6 3 3 80% 0.70***
B7 1 1 80% 0.71**
教材 C
C1 3 2 15% -0.02
C2 4 2 73% 0.89***
C3 3 2 27% -0.07
C4 5 3 100% 1.00***
C5 3 3 29% 0.39
C6 1 2 80% 0.86***
C7 3 3 53% 0.78**
C8 4 3 80% 0.83***
(* p<0.05, ** p<0.01, *** p<0.001)
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図 5-5 教材毎の評価者の κ 係数の分布