一方,図3−34に示した地下部重においても 各番草での特徴がみられ,全体を通じ地下十重 は3番草>1番草>5番草の順に小さかった。
このことは根重は春期から夏期にかけて増大し,
秋期に低下することを示すが 秋期での低下は 夏期の高温による夏枯れが地上部とともに根量 の低下をもたらしたためと考えられるQ 施肥窒素の吸収経過については図3−25の上
段に,牧草の地上部および地下部を含めた全吸 収量の経過として示した。なお同調の下段には 土壌中(0〜20α胆)の無機態窒素量の推移につい ても示してある。1番目では既に述べたように 土壌中の無機態窒素の消失が最も速かったが,
牧草による施肥窒素吸収も最も早く,施肥後約 10日でほぼ最大に達した。 このことは1番草 は低温下でも窒素吸収能力が活発であることを 示し,.乾物増加が施肥後20日までは鈍く,20日 以後に急速に増大することと対照的であった。
3番草では土壌中無機態窒素の消失は1番草よ り遅れたが,牧草による施肥窒素吸収も遅れ,
施肥後事15日で最大となった。一方,5番草で は土壌中の無機態窒素の消失が最も遅れたこと から予想されたように,施肥窒素の吸収も緩慢 で,施肥後20日で最大となり,最大吸収量も1,
3番草と比べると小さかった。
このように施肥窒素の吸収速度は1番草>3番 草>5番草の順に遅い傾向があったが,施肥後7
日間の吸収速度(Ng∠㎡γday)をみると,1,3,
5.番草で各々0.45,0,37,0,11であ,つた。また 表3−2には刈取時における地上部および地下「
部を含めた施肥窒素の利用率を示したが,1,3,
表3−2,施肥窒素の吸収量:および利用率 Table 3−2,
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5番草各々74,78,60%で5番草で低かった。
以上,牧草の施肥窒素吸収には季節的な変化がみられ,春期の1番草では早春期に低温であるに もかかわらず窒素吸収が活発であり,夏期の3番草では1番草より窒素吸収が遅れること,また秋
の5番草では初期の平均気温が約20℃で適温にもかかわらず窒素吸収が著しく遅延し,かつ施肥窒 素吸収量が1,3番草に比べ劣ることが示された。これら窒素吸収の特徴は牧草の生長,乾物生産の 季節的変化を反映しているものとみられるが,特に根系の季節的活力と関係しているものと考えら
れる。
3) 草地における施肥窒素の収支
図3−25下段の土壌中無機態窒素は,窒素施肥用区から無言素直での値を差し引いて施肥由来の 無機態窒素として示してあるが,各番草において牧草による施肥窒素吸収経過と土壌中での無機態 窒素の消失パターンはよく一致していた。
土壌一草系における施肥窒素の損失としては,流亡および脱窒が挙げられる。WHITEHEAD47)に よれば,草地では牧草の旺盛な窒素吸収力から流亡による損失は少ないであろうとし,季節的には 9kgN/10 a施用で春から夏においては僅かであるが秋から冬にかけては流亡があり得るとしてい
る。これは,秋以降気温が低下し,牧草の窒素吸収能力が衰退するためとみられる。一方,脱窒に よる施肥窒素の損失は,土壌,実験法によってその評価は10〜40%と変動が大きいが,多くの場合 20〜30%としているま7)しかし,著者らはポット試験による窒素収支から,流亡のない条件下では あるが,施肥窒素の脱窒による損失は約10%,固定,有機化による土壌残留分が約15%程度という 値を得ている罪したがって,脱窒および土壌残留分を約25%とすれば,牧草による施肥窒素の利 用率が74〜78%の1,3番草では流亡による施肥窒素の損失はほとんどなかったと考えられた。しか しながら,牧草による窒素吸収速度が低下し,かつ硝酸化成の進行した5番草においでは施肥窒素 の利用率が約60%であるので,約15%の流亡による施肥窒素損失があったとみられた。
本試験は,造成後1年目で牧草の活性とともに草生密度が高かったなど,利用1年目草地という 特殊性が影響を与えている可能性もあり,経年化草地においては異なった様相を呈することも考え られる。しかし,本試験において1,3番草で施肥窒素の利用率が高かったのは草生密度と共に牧草
の活性が高かったためと考えられるが,5番草で低かったのは4番草時での夏枯れが5番平時の牧 草の地上部,地下部の活性を低下したためとみられる。したがって,本試験の1,3,5番草で認めら れた牧草の再生経過と施肥窒素吸収経過は,牧草のもつ季節的な生育特性を示していると考えられ た。そのため,施肥窒素の効率的利用の観点からは牧草の施肥窒素吸収力の低下する秋期での施肥 法改善の必要性が示唆される。これらの事項については経年草地で確認するとともに更に検討する 予定である。
摘 要
利用1年目のオーチャードグラス単播草地(年5回刈取)において,施肥窒素(N)の土壌中での行動 と牧草による吸収について検討した。
1)施肥後における土壌中無機態窒素の消失速度は1番草>3番草>5番草の順で,窒素の形態は 1番草ではほとんどがNH4−Nで表層0〜5㎝に存在した。一方,3,5番草ではNO 3−Nが多量に生成 され,特に5番草で多かった。そのため,3,5番草でのNO 3−Nは降雨により5〜10,10〜20㎝層位ま で移行した。
2)牧草による施肥窒素の吸収速度は1番草>3番草>5番草で,土壌中の無機態窒素の消失経過 とよく一致した。施肥後7日間での窒素吸収速度は1,3,5番草各々0.45,0。37,0.11gN/m2/dayで特 に5番草で劣った。
3)施肥窒素の利用率は1,3番草では各々74,78%と高い値を示したが,5番草では60%で低かった。
4)以上のように,牧草による窒素吸収は春,夏期に旺盛で,秋期に劣る季節変化を示したが,秋 期で窒素吸収力が低下したのは,4番草時の夏枯れにより地上部および地下部の活性が低下していた ためと考察された。
Nitrogen balance in soil−grass system
Takeshi KIMURA and Ke珊 i KuRAsHIMA
(National Grassland Research Institute)
s砿mmary
The availability of fertilizer−nitrogen was studied in relation to behavior of nitrogen in soil and nitrogen.uptake by grass.15N−Ammonium sulfate(5gN/m2 for. each c就ting herbage)was applied沁orchardgrass sward of丑st harvest year after the establishment.. The experiment was conducted in early spring (1st cu亡ting,3/23−5/10) early surnmer(3rd cu亡ting,6/17−7/20) and autumn(5th cutting,9/8−10/25)of 1981.
1)After fertilizer application, almost all inorganic nitrogen in the soil disappeared by 7,15 and 30 days in e血rly spring, early summer and. autumn, resp.6ctively。 Inorganic.nitrogen was in the t6p s cm of th6.. soil as dominantly ammonium−N.in.early spring、 On the other hand, nitrate−N was㍉found..dominantly at 7亡h day and 4th day af亡er nitr(磨en applicatioh. in 6arly su㎡1mer and autumn, respectively. Therefore, nitrate−N was. leached to 5−10 a血d..10−20cm hofizons of the soil脚ith prebipitation in th6忘e times.
2)The. r包tes of fertili乞er−nitrogen uptake durin9. the first 7.days of..fegrowth.d實r包tioll w6re O.45,0.37and O.11gN/m2/day in early spring, early sum血er.a血d:autumn, respectiveiy, The time−co縫rse of fbr亡ilizer−ni亡rogen upねke coincided w鈍h the disappe.arance patterh of正norgahic ni廿ogen in the soil.
3.)The recovery rates of fertilizer・nitrogen were high as 74%in....early}.sp士ing and 78%in early su血mer, but decreased t660%.in autumn,
4)It脚as indicated.that th6.decline of grass gr6wth, caused by...sutn;mef d..epfession, brought 亡he loW acdvity ofni亡ro.gen Up.take bygrass in au亡umn.
(4) 草地生態系における太陽エネルギー 利用の季節的年次的変化
ホ
秋山 侃・高橋繁男・塩見正衛
目 的
放牧草地は,土一草一家畜からなる複雑な生態系を形成している。この草地生態系をシステムモデ ル化することによって解析し,草地の管理と家畜生産の最適化を図るため,系における物質・エネル ギーの流れを量的に把握することをこの研究の目的としている。本論においては,太陽に由来するエ ネルギーが草に,さらに家畜に利用される効率を実験的に求め,グリーンエネルギー利用の改善技術 発展への基礎資料にしたい。
方 法
草地試験場(栃木県西那須野町)藤荷田山放牧地において1974年から.5年間にわたり太陽光が牧 草に固定され,これを家畜が偏食し体内に蓄積していく過程を,エネルギー量の変化として追跡した。
草地管理=1973年秋に一部は機械耕起により,一部は不払起法(蹄耕法)により放牧草地を造成 し,オーチャードグラス,ペレニアルライグラス,トールフェスク,レットトップ,ケンタッキーブ ルーグラスおよびシロクローバを播種した。造成時にヘクタールあたり窒素N:100㎏,燐酸P205:
180kg,加里K20=100㎏および苦土石灰2,000㎏を基肥として投入し,以後:原則として毎年, N:以)5
:K20=80:40:80㎏イhaの割合で追肥を直な?た。
家畜管理:藤荷田山放牧地(約6虹a)を4haと2haに2記し,更にそれぞれを4牧招ずつ(1haと 0.5ha)の小牧区:に細分した。両区に8頭,初期体重合計が約1,600〜1,700㎏の育成魚群を4月から 10月まで放牧したq.、4ha q haを4区)に放牧された牛宿を弱放牲(L)群,2ha(0.5 ha×4)に放牧 された歯群を強放牧(H)群と呼ぼう。それぞれの晶群は,各小牧区に1週間ずつ追訴しながら4週間 で一巡する。弱放牧区,強放牧区の各1区を試験小牧区に定め,牧草現存量の変化を調べた。
気象:調査期間中の気象要因は,放牧地から約2km離れた場内気象観測露蜀で測定した。 1972年 から10年間の年平均気温は122℃,平均年間降水量は1,663㎜であった。全短波放射量:は管型日射計
(300〜3,000nm),光合成有効放射量は東芝型(400〜700 n ln)で測定した。
サンプリング方法:強弱両法牧山のそれぞれで,定められた調査対象とする小牧区に,各6個の移 動保護ケージ(120cm×120 cm,高さ150㎝)を設置した。各放牧回次後に50 c磁×50㎝のコドラート
を用いて,ケージ内外6対の草量を測定することにより,植物生産量,家畜血忌量を推定した。地下 三重については,地上部サンプリング時に,それぞれの区から25㎝×25㎝,深さ約15㎝の土層をケ
ージ内外各3対ずつ堀り取り,地上部については草種分けをした後,地下部は洗灘し,75℃で48時 間以上乾燥して秤量した。
単位熱量値の測定:植物体に蓄積された熱量と家畜に採食された熱量を推定するために,1978年と 1980年の3月から11月までの月別草種別単位熱量値(cal/g)を測定した。現存量の調査に用いた 乾物の一部を粉砕しサンプルとし,ボンブ熱量計(島津製)により測定した(AKIYAMA et al軌983)。
可消化熱量の推定:採食された牧草の可消化熱量を推定するために,草種別消化率の季節変化を求 串 草地試験場生態二