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ドキュメント内 生産環境の成立機構の解明 (ページ 134-137)

(3)土壌一草地系における窒素の収支の解明

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木村 武。倉島健次

 草地土壌の窒素肥沃度の維持,増強は,牧草の旺盛な窒素栄養要求からみて重要な意義をもってい る。特に草地は永続性が重視されるが,これと窒素肥沃度とは密接な関係があるものと予想される。

一般に草地では多量の肥料を施用しているが,数年を経過した採草地においても牧草が吸収する全窒 素量の過半は土壌から供給されており怨)一般畑と同様に土壌本来の窒素肥沃度,いわゆる地力窒素は 重要な役割を果たしていると考えられる。一方,草地は一度造成されると永年にわたり耕起されない ため,経年化すると表層に有機物が集積するとともに土壌が緻密化し,施肥窒素の効率が低下すると されている。したがって,草地土壌における窒素の動態を明らかにすることは草地の維持管理対策の 確立にとって極めて重要である。

 草地における窒素の問題は,草地生態系における窒素の循環として示すことができるが(図3−21),

本研究では,第1期(1981年度),及び第2期(1982〜84年度)を通じてこの循環系の各経路におけ る窒素の動態,収支について検討を行ない,草地の合理的肥培管理技術の指針を得ることを目的とし ている。

 草地における窒素の流れは,土壌窒素と施肥窒素の2つに大別できるが,第1期の研究においては 施肥窒素の流れについて,施肥窒素の土壌中での形態変化,牧草による吸収経過,および利用率につ いて検討した。

方 法

1) 供試圃場  栃木県西那須野町

にある草地試験場内 の利用1年目の精密 圃場(土壌:表層腐 植質火山灰土壌)を 用いた。造成時に炭 塵ル200㎏/LOa,よう  りん150㎏/10a,基

肥としてN,P205,

K20各10 kg/10 aを 施用後,オーチャー  ドグラス(アオナミ)

を2㎏/10a播種した。

草地の一般管理とし て,刈取りは年5回,

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*草地試験場環境部

 刈高は10㎝とし,追肥はN,P205, K:20各5kg/10aを早春および1〜4番草刈取後施用した。

 肥料は化成肥料(14−14−14)を用いた。

2) 試験区

  試験は1981黙すなわち利用1年目の1番草(3月23日〜5月10日),3番草(6月17日〜7月20  日)および5番草(9月8日〜10月25日)について行なった。草地内に塩ビ板を深さ15c姐に打ち込み  70×280㎝の枠を設定し試験区とした。試験区内の施肥は,二番草についてN,P205,恥0各5g/

 m2を15N一硫安(3。1 atom%),ようりんと過石の混合物(1:1)および塩加として施用した。施  肥後経時的に牧草(20×30㎝枠,3連)を地際から刈取り,生葉部と枯葉部に分離した。土壌はa/

 5,000の円筒形採土器で深さ20㎝の土壌柱として刈取跡から3連で採取した。採取した土壌柱は4  層位(0〜2,2〜5,5〜10,10〜20㎝)に分離した後,直ちに根部を品別し,土壌の無機態Nの分析  に供した。また無N区を設定し,N施用区と同様に牧草,土壌を採取した(ただし反復なし)。

3) 分  析

 土壌中の無機態窒素は10%塩化カリウム溶液で振撮浸出(土:液=1:5)後,微量拡散法11)に  よりアンモニア態窒素(NH4−N),硝酸態窒素(NOゴN)を定量した。牧草は70 GCで通風乾燥後  粉砕し,全窒素(T−N)をセミミクロケルダール法11)により定量した。15N含有率は, T−N分析の  際にホウ酸に捕集後濃縮(1mgN/hのし,光興業株式会社(現昭光通商株式会社)に依頼して分析した。

結果および考察

1) 無機態窒素の形態変化と土層内分布

  施肥後の無機態窒素の土層内分布と形態変化について図3−22に示した。

  無機態窒素の消失速度は1番草で最も速く,次いで3番草,5番草の順で,1番草では施肥後7日  目で土壌中の無機態窒素は極く僅かになったのに対し,3番:草,5番草では各々10日,20日目まで検  出された。NH4−Nはほとんど表層0〜5㎝でのみ認められ,施肥後急激に減少して7日目でほとん  ど検出されなくなった。この傾

向は1,3,5番草を通じて共通で あった。NO 3−Nは,1番草で は生育期間を通じほとんど認め られなかったが,3,5番草では

多量のNOゴNの生成がみられ

た。1番草の場合,施肥後7日 目以降での無機態窒素の検出量 は僅かであったが,その間の降 水量は27㎜程度であり,他の3,

5番草における同期間での降水 量:が40〜90㎜で,かっかなりの NO3−Nが0〜20㎝の層位に分布 していることから推定して,1 番草で20㎝以下の層位に移行 した可能性はないと考えられた。

したがって,1番草では7日目 までに施肥窒素は牧草によりほ とんど吸収されたものと考えら れた。それに対して3,5番草に

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図3−22.土壌中における無機態窒素の分布

Fig 3−22. Distribution of inorganic nitrogen童n soil・

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     W:10−20㎝,**Days followi㎎the application

なるに従ってNOゴN検出量は多く,経時的に下層へ移行したことが認められた。草地では一般に 無機態窒素が少なく,しかも耕地に比較してNO 3−N量がNH4−N量に対して少ないことから硝酸化 成が抑えられているといわれている讐)しかし一方,Rob預son訂)はN供給が充分であれば硝酸化 成は進行するとしている。本試験は造成1年目草地で行なったが,経年草地に比べて硝酸化成能が 高かった可能性がある。各番草において,土壌中NO 3−Nの検出量は1番草く3番羨く5番:草の順に 多く,また施肥後3〜4日目における土壌中の無機態窒素に対するNO 3−Nの比率は1番草の3月貿

・日(施肥後4日目)で25%,3番草の6月20日(施肥後3日目)で51%,5番草の9月12日(施肥 後4日目)で82%であった。更にNH4−Nは, NO3−Nとほぼ同じく迅速に牧草により吸収される47)

ことから,上記の比率は土壌の硝酸化成能の高低を示していると考えられる。一般に土壌中での硝 酸化成は25〜30℃で適温とされる。 施肥後10日間での平均気温(図3−23)を比較すると,1番 草では1〜8℃と低いのに対し,3番草では11〜20℃,5番草では16〜21℃と高く,温度条件として は一番草に比べて3,5番草再生初期では硝

酸化成が進行し易い状態にあったとみられ る。無機態窒素の流亡,脱窒量はNOザN  の生成量と対応していると考えられるので  NO3−N存在量の多い3,5番草では1番草  生育時に比較して流亡,脱窒による窒素損  失を受け易い条件にあったと考えられる。

2) 牧草の生育と施肥窒素の吸収

 草地は利用1年目であったため,牧草の 生育は全般に良好であったが,4番草(7月  20日〜9月6日)はいわゆる夏枯れ症状を呈

し,潮干病の発生がみられた。

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図3−23.施肥後10日間の気温と降水量 F圭g3−23. Some climatic conditions at first      10days after fertilizer application.

 図3−24には各番草における地上部および地下部の乾物重  8。。

の推移を示した。牧草の採取は3連制で行なったものの,採  、。。

取面積(地上部:600c割地下部:200c置)が小さかったため,

       400かなりの誤差を伴なった。しかし,図3−24の地上部落乾物 重および生葉部重推移から,各番草の生育はおよそ次のよう   200 に特徴づけられる。

播草は前年の鞠造成後の生龍がそのまま持・越され聖

ているため,初期から地上部乾物重は大きかった。しかし, ・…

皆野約,。日までは醐であ。たため乾物増加は鈍く,それ量、。。

以降では温度が上昇するとともに洗殖生長に肥汁鰹の1。

伸長が始まったため急速に乾物が増大したとみられた。3番 二 草は初期の全乾物重は最も大きかったものの,枯葉部分が多 。zoo

く,生葉部重は1番草に劣った。施肥後10日までは再生期間 であるため乾物増加は鈍いが,それ以降は乾物生産が活発に 行われたと考えられた。しかし,10日以後の乾物増加は1番 草に比べて小さかった。5番草は初期の乾物重が1,3番草と 比べ著しく低かったが,これは前述の4番草時における夏枯 れにより株密度の低下が生じたためとみられる。施肥後の乾 物量推移をみると急速に増大する時期は認められず,終始一

.定の速度で乾物生産が行なわれたとみられた。しかし,刈取 時での乾物収量は少なく,1,3番草に比べるとかなり劣った。

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図3−24.1,3,5番草の乾物収:量の推移 Fig 3−24. Dry matter yields of      first等 third−and 5th−

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 一方,図3−34に示した地下部重においても 各番草での特徴がみられ,全体を通じ地下十重 は3番草>1番草>5番草の順に小さかった。

このことは根重は春期から夏期にかけて増大し,

秋期に低下することを示すが 秋期での低下は 夏期の高温による夏枯れが地上部とともに根量 の低下をもたらしたためと考えられるQ  施肥窒素の吸収経過については図3−25の上

段に,牧草の地上部および地下部を含めた全吸 収量の経過として示した。なお同調の下段には 土壌中(0〜20α胆)の無機態窒素量の推移につい ても示してある。1番目では既に述べたように 土壌中の無機態窒素の消失が最も速かったが,

牧草による施肥窒素吸収も最も早く,施肥後約 10日でほぼ最大に達した。 このことは1番草 は低温下でも窒素吸収能力が活発であることを 示し,.乾物増加が施肥後20日までは鈍く,20日 以後に急速に増大することと対照的であった。

3番草では土壌中無機態窒素の消失は1番草よ り遅れたが,牧草による施肥窒素吸収も遅れ,

施肥後事15日で最大となった。一方,5番草で は土壌中の無機態窒素の消失が最も遅れたこと から予想されたように,施肥窒素の吸収も緩慢 で,施肥後20日で最大となり,最大吸収量も1,

3番草と比べると小さかった。

 このように施肥窒素の吸収速度は1番草>3番 草>5番草の順に遅い傾向があったが,施肥後7

日間の吸収速度(Ng∠㎡γday)をみると,1,3,

5.番草で各々0.45,0,37,0,11であ,つた。また 表3−2には刈取時における地上部および地下「

部を含めた施肥窒素の利用率を示したが,1,3,

表3−2,施肥窒素の吸収量:および利用率 Table 3−2,

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