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zを複素数とする。解析写像とは複素空間で局所的な作用が伸縮と回転のみで表されるものとしよう。これ は複素数の微分についてどのようなイメージを与えるかを考える。

一般的な実空間では微分を考えると関数f の傾きとして表現できる。これを複素数に拡張することは簡単で はない。しかし、実軸上でdx

df =fdx (2.39)

となる。前節から実軸上での移動は伸縮に相当していたからこの時の回転は0or πということになる。しか し、複素数ではこれを0から2πの角度まで拡張できると考えればよい。ところが次の図のようにある複素数 zからでる無限小の移動は円周上の任意の点になる。その写像は同じ円周には写るとは限らない。

] I]

図2.24: 解析的ではない写像

そこでこのようなゆがんだものは捨ててしまって全ての無限小の変化は同じ円に写るとするのである。これ が解析的な写像である。

従って複素微分係数f(z)はzを始点とする無限小複素数にf(z)をかけるとf(z)における像が得られる複 素数ということもできる。

つまり次のように複素微分係数を定義する。

f(z) =|f(z)|exp(i arg[f(z)]) よって

df(z) =f(z)dz

と表すとこれは無限小ベクトルdzが伸縮度|f(z)|、回転角argf(z)でfによって写されることを示す。つ まり関数f により

伸縮度=|f(z)| (2.40)

回転角=argf(z) (2.41)

に写されると考えることによって複素空間での微分は幾何的に表現できることになる。

これにより任意の無限小円は解析写像により無限小円に移る。これは図のように局所的に無限小であれば よい。

] I]

図2.25: 無限小円の解析写像

またリーマン球面において写像が解析的であることは等角写像であることと同値である。従って次のような 複素共役をとる写像考えると

f : z→z¯ (2.42) この写像は同じように伸縮であるので無限小円を円に写すが等角ではない。よって解析的ではない。しかし 反等角である。これは実軸に対して鏡像関係にある。

ある領域全体で等角性を保証すると解析的な写像となり得るだろうか。答えはイエスである。しかし、伸縮 性だけでは3辺が同じ比率で伸縮しても図右のように角度の向きに任意性が残る。しかし、上下の図形は実軸 に対して鏡像関係になるのでf(z)が点pの無限小近傍において伸縮であればf(z)が解析的であるか、そうで なければf(z)¯ が解析的である。

図2.26: 鏡像変換

2.4.1 臨界点

複素数zによる微分がz=pで0になるなるようなf(z)は臨界点と呼ばれf(p)で等角性を失う。これは微 分が伸縮を表していたので伸縮度が0であり、無限小の円盤がその1点につめこまられるイメージである。

たとえばzmz= 0において位数(m1)の臨界点を持つという。一般的な関数にぽてもf(p) = 0なら ば点pの付近でこの関数はf =zmのようにふるまう。

したがって臨界点付近では回転の速さがm倍されることになる。従って次のようにおくと

f(z0) = 0 w=f(z) w0=f(z0)

zz0のまわりを1の速さで回ればww0の周りをmの速さで回ることになる。

2.4.2 コーシー・リーマンの方程式

複素数zに複素数wを次のようにかける。

z=x+iy w=a+ib

w z= (ax−by) +i(bx+ay) これはR2のベクトル(x, y)に次の行列Aをかけることに等しい。

A= (

a −b b a

)

(2.43) この時にどれだけ体積要素が変化したかは次のJacobi行列Jに従う。

J = (

xu yu

xv yv )

(2.44) 式2.43と式2.44から次のコーシー・リーマンの方程式(CR方程式)が得られる。

xu=yv (2.45)

xv=−∂yu (2.46)

この関係が満たされれば解析的であるという。この条件は強力である。

2次元デカルト座標において無限小の正方形を考えると。解析的であることはこの無限小の正方形が回転や 伸張はあっても正方形に写されるということと同じである。

この無限小の正方形のKでの1辺の長さをϵとおくとx方向にϵだけ移動した時、fによる像は

Ȝ

LȜ I

] I ]

図2.27: 無限小正方形の変換xf =fxで表す。

∆x∆f =ϵ∂xf となる。同様にy方向についても

∆y∆f =ϵ∂yf fを次のようにおくと

f =u+iv (2.47)

次の値はCR方程式から同値になることがわかる。

i∂xf =i∂xu−∂xv

yf =yu+i∂yv すなわち

i∂xf =yf

という関係があることになる。これは複素平面においてπ/2だけ回転した。関係である。つまり同じ正方形 を構成している。

極座標表示ではどうだろうか。点zからrをdrだけ変化させると図のように各辺の長さはr方向、θ方向に ついてだけ回転させると

㼐䃗 㼕㼦㼐䃗

㼐 㼞

㼑㻌㼐 㼞

㼕䃗

㼞 㼐䃗

]

ȟ

GȟI

G U I U

L

図2.28: 複素空間での無限小の正方形は回転、伸縮した正方形に写る

edr (2.48)

eirdθ=izdθ (2.49)

の辺をもつ正方形に移る。さらにこれをfで写像すると各辺の長さは

dr∂rf (2.50)

dθ∂θf (2.51)

になる。この時、同じように正方形ができているとすると

dθ∂θf =idr∂rf (2.52)

となるが連続曲線である条件として

dr=rdθ (2.53)

を用いると

θf =ir∂rf (2.54)

となる。これに式2.47を代入すると次の極形式のCR方程式が得られる。

θv=r∂ru (2.55)

θu=−r∂rv さらに式2.48、2.49から

edr·f=dr∂rf

izdθ·f =dθ∂θf とおけるので

f=erf

f =−i z∂θf の両方が成り立っていることが解析的であるといえる。