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7 調和関数 [57]

7.6 ポアソンの式

を満たし、無限遠でUを定数として

ϕ→U x を満たす調和関数を求めると極座標表示で

∂ϕ

∂r|r=a= 0 ϕ=U rcosθ (r→ ∞) となるので

ϕ=U x+ψ=U rcosθ+ψ を導入するとψは次を満たす。

∂ψ

∂r|r=a =−Ucosθ ψ→0 (r→ ∞) 極座標でのラプラス方程式はr > aとして

2ψ=2ψ

∂r2 +2 r

∂ψ

∂r + 1 r2sinθ

∂θ (

sinθ∂ψ

∂θ )

= 0 となる。次のように変数分離をして

ψ(r, θ) =f(r) cosθ 代入すると

d2f dr2 +2

r df dr− 2

r2f = 0 df

dr|r=a=−U

ここでf(r) =rnとおくとn= 1,2を得るが無限遠で0になるためにはn=2となる。よって条件から f(r) = U a3

2r2 と決まるので

ψ(r, θ) = U 2

a3 r2cosθ を得る。これは2重極ポテンシャルである。よって

ϕ=U(r+ a3 2r2) cosθ

と決まる。これはx方向にUの一様な流れが半径aの剛体球に入射したときの非圧縮、非粘性の速度ポテン シャルである。

次にz=reの円|ξ|=ρに関する鏡像をzˆ= (ρ2/r)eで表すとf(ξ)/(ξ−z)ˆ はξの関数として|ξ| ≤ρで正 則になる。よって

1 2πi

I

|ξ|

f(ξ)

ξ−zˆ= 0 (7.53)

また

ξ=ρe とおくと

=iρe (7.54)

だから、式7.52と7.53から次のように積分変数を変換できる

f(re) = 1 2πi

I

|ξ|

f(ξ) ( 1

ξ−re ± 1 ξ−2/r)e

)

= 1

0

f(ρe) (

1

1ρrei(θϕ)± 1 1ρrei(θϕ)

)

(7.55)

負符号に対し、実数部をとると u(re) = 1

0

u(ρe)Re [

1

1rρei(θϕ) 1 1ρrei(θϕ)

]

= 1

0

u(ρe) (

1

1rρcos(ϕ−θ)− 1 1ρrcos(ϕ−θ)

)

= 1

0

u(ρe)

(ρ2+r2

)

cos(ϕ−θ) 1(

ρ2+r2

)

cos(ϕ−θ) + cos2−θ)

= 1

0

u(ρe)

( ρ2−r2

−ρr/cos(ϕ−θ) + (ρ2+r2)−ρrcos(ϕ−θ) )

= 1

0

u(ρe)

( ρ2−r2

ρ22ρrcos(ϕ−θ) +r2 )

(r < ρ < R) ここでu(z)|z| ≤Rで連続だから極限ρ→Rとすると

u(re) = 1 2π

0

u(Re)

( R2−r2

R22Rrcos(ϕ−θ) +r2 )

(7.56)

が得られ、これをポアソンの公式という。この公式が|z| ≤Rで調和関数のディリクレ問題に対する具体的 な解を与えている。また、式7.55の+符号の右辺は

f(re) = 1 2π

0

f(ρe) (

1−i 2ρrsin(ϕ−θ) ρ22ρrcos(ϕ−θ) +r2

) となるので両辺の虚数部をとると

v(re) =v(0)−1 π

0

u(ρe)

( ρrsin(ϕ−θ) ρ22ρrcos(ϕ−θ) +r2

) v(0)は前節の平均値の定理式3.36から求めることができる。ここで極限ρ→Rをとると

v(re) =v(0)−1 π

0

u(ρe)

( Rrsin(ϕ−θ) R22Rrcos(ϕ−θ) +r2

)

(7.57)

となる。これは虚成分が実成分に依存しているために両方を同時に決めることができないことを示している。

従って式7.56、7.57からζ=Reで変数変換するとf(z) =u(z) +iv(z)だから f(z) =iv(0) + 1

2πi I

|ζ|=R

u(ζ)ζ+z ζ−z

ζ (7.58)

とまとめることができる。ここで式7.56の括弧内の項についてz=re, ζ=Reで変換すると R2−r2

R22Rrcos(ϕ−θ) +r2 = |ζ|2− |z|2

|ζ−z|2 と簡単に表現できる。さらに

|ζ|2− |z|2

|ζ−z|2 =Reζ+z

ζ−z = 1 + 2Re z

ζ−z = 1 +Re z/ζ

1−z/ζ (7.59)

とかけるので最後の項に無限級数の公式を適用し、結局次のように位相部分を分離できる。

R2−r2

R22Rrcos(ϕ−θ) +r2 = 1 + 2

n=1

Re (z

ζ )n

= 1 + 2

n=1

(r R

)n

cos(n(ϕ−θ))

= 1 + 2

n=1

(r R

)n

(cos(nϕ) cos(nθ) + sin(nϕ) sin(nθ)) これをポアソン核と呼ぶ。注目すべきはこれはそのままフーリエ級数になっていることである。

式7.56は

u(re) =a0

2 +

n=1

(r R

)n

(ancos(nθ) +bnsin(nθ)) (7.60) ただし、

an = 1 π

0

u(Re) cos(nϕ)dϕ, bn= 1 π

0

u(Re) sin(nϕ)dϕ (7.61) である。

式7.56はフーリエ級数を使うことなく、次のような幾何関係から求めることができる。

円周上の点Q(R, α)と円内の点P(r, θ)を図のように決め、線分PQの長さをρとすると余弦定理から 分母は

ρ2=R2+r22Rrcos(α−θ) となり、これはr < Rならばρ >0だから0になることはない。

Ș ȟ ȟ Ș

図7.10: 円内の点Pと円周上の点Q ポアソン核の式のu(r, θ)Cの関数で一般に

0

R2−r2 ρ2 =

0

R2−r2

R2+r22Rrcos(α−θ)dα= 2π (7.62) が成り立つ。これは|z|<1であれば

k=1

zk= z 1−z となるのでz=Rrei(αθ)として、この左辺の実部をとると

Re [

k=1

(r R

)k

(cosk(α−θ) +isink(α−θ)) ]

=

k=1

(r R

)k

cosk(α−θ) 図から余弦定理を用いて

ρ2=R2+r22Rrcos(α−θ) が成り立つから右辺の実部をとると

Re [ z

1−z ]

= rcos(α−θ) R−rcos(α−θ)

= 1 2

R2+r2−ρ2 R2−Rrcos(α−θ)

= 1 2

R2+r2−ρ2 R2−Rrcos(α−θ)

= 1 2

( R2−r2

R2+r22Rrcos(α−θ)−1 )

となる。よって次のようになる。

R2−r2

R2+r22Rrcos(α−θ) = 2

k=1

(r R

)k

cosk(α−θ) + 1

これを0から2πで積分すると式7.62が成り立つ。

従って式7.56を次のように (r, θ) = 1

0

f(α)

( R2−r2

R22Rrcos(α−θ) +r2 )

(7.63)

ただし円周上では

u(r, θ) =f(θ) (r→R)

になる。この積分をポアソン積分という。これは次のように示すことができる。

円内の点P(r, θ)として、Pが円周上の点M(R, θ)に近づくことを考えると式7.62から u(P)−f(β) =R2−r2

0

f(α)−f(β) ρ2

図のようにM を中心とするδを半径にとる円Cから切り取る部分をC1それ以外をC2とする。C1に含ま れる点Q1(R, α)に対してはfの連続性から

|f(α)−f(β)|< ϵ とすることができる。

図7.11:

よってC上の積分をC1C2に分けた時、C1上の積分に対しては

∥R2−r2

0

f(α)−f(β)

ρ2 dα∥< ϵR2−r2

0

ρ2 =ϵ である。

点PがMを中心とする小さい円、半径δ/2の円内の任意の点であればC2上の点Q2に対して ρ= ¯P Q > δ

2 であるからC上で|f|< K(定数)とすると

∥R2−r2

0

f(α)−f(β)

ρ2 dα∥< 4K(R2−r2) 2π

0

ρ2 =8K(R2−r2) δ2

これはP →Mの時、r→RだからC2上の積分もϵより小さいくできる。よってP →Mの時、u(P)→f(M) となりポアソン積分が内部ディリクレ問題の一意的な解になる。さらに境界値f(θ)の連続性が内部のu(r, θ) に影響する。これは2つの境界値が

|f(θ1)−f2)|< ϵ (0≤θ≤2π) を満たせば対応する解が

∥u1(r, θ)−u2(r, θ)∥< ϵR2−r2

0

ρ2 =ϵ

を満たすことからわかる。従って境界値f(θ)の値を境界の一部分で変更した影響が円内の解に及ぶ。これは 波動方程式のように双曲線型の解の性質とは対照的である。