7 調和関数 [57]
7.5 内部と外部
が
wn=ex+iy+2inπ=ex+iy に等角写像される。ただしw= 0で
dw
dz =ez=w= 0
だから、この点では等角写像にならない。逆関数は対数関数になり、
z= logw
である。例えばwの1つの値をρeiϕとした時、ez=wとなるz=x+iyを決める。
ex+iy =ρeiϕ
この時の偏角には2πの不定性があるから次のようにzのとりうる値は無限個あることになる。
zN =x+yN = logρ+i(ϕ+ 2N π) (N = 0,±1,±2,· · ·)
下図に見るようにw平面の1点がz平面上では無限個の横帯に相当する。対数関数は無限多価関数である。
㻞䃟
㼤 㼥
㼆
㻝 㼡
㼣 㼢
䃟 㻠䃟
図 7.8: w=ezではz空間の2πまでの負領域がw空間の単位円内部に写る。正領域は外部に写る
o
r1
r
R
Q(x1,y1,z1)
P(x,y,z)
図7.9: 球Vの外部Pと内部Q これは前節2.18でみた反転であり
rr1=R2
という関係が成り立つ。この反転の操作によって原点Oを除く内部の領域と外部の領域を1対1で結ぶこと ができる。今、球の外部で調和関数u(x)が与えられるとこの反転
u1(x1, y1, z1) = R r1u
(R2 r12x1,R2
r21y1,R2 r12z1
)
= R
ru(x, y, z) (7.47)
はOを除く領域で調和になる。この変換をケルビン変換(Kelvin transformation)という。
例えば単位球(R= 1)に対して次の関数
u(x) = a
r r=|x| のケルビン変換を考えると球の内部x1において
u1(x1) = 1
r1u(1/r1) = 1 r1
a 1/r1 =a となり定数になる。逆に
u(x) =a| とすると
u1(x1) = 1
r1u(x1/r21) = a r1 になる。また無限遠では正則ではないが
u(x) =ax とすると
u1(x1) = 1 r1
u(x1/r21) = ax1 r31
が得られ、これは式7.14で見た、双極子ポテンシャルになる。よって逆に u(x) =ax
r3 を選ぶと
u1(x1) =ax1
になる。これらは除去可能な特異点では調和になっていることを表している。
よって関数u(x)が閉曲面、Sの外部領域V1で調和、Sを含めてC1関数で無限遠で正則であれば式7.70,7.73 に対応して次のように書き換えられる。
∫
V1
(∇u)2dV =
∫
S
u∂u
∂ndS (7.48)
....
u(x) = 1 4π
∫
S
(1 r
∂u
∂n−u ∂
∂n (1
r ))
dS ただし、∂/∂nはV1から見て外向きである。
2次元の場合にも円Cを考えて反転が定義できる。Rを半径とすると u1(x1, y1) =u
(R2 r12x1,R2
r21y1
)
=u(x, y) (7.49)
とおくと∇1= Rr22∇だから
∇21u1(x1, y1) =∇21u(x, y) = r4
R4∇2u(x, y)
が成り立つ。したがってu(x)が円Cの外部で調和であればu1(x1)は原点Oを除く円の内部で調和である。
u(x)がr→ ∞で有界になればu1(x1)は原点Oの近傍で有界であり、Oは除去可能な特異点となるので u1(x1)は円の内部全体で調和になる。よってラプラス方程式からuが無限遠で定数になるなら
∂u
∂x,∂u
∂y =O(1 r2)
程度の関数であるとみつもれる。従ってu(x)が平面上の閉曲線Cの外部領域S1で調和で無限遠で正則であ れば式7.48の2次元版として
∫
S1
(∇u)2dS=
∫
C
u∂u
∂ndl (7.50)
∫
C
∂u
∂ndl= 0 が成り立つ。これからも
u(x) = 1 2π
∫
C
((
log1 r
)∂u
∂n−u ∂
∂n (
log1 r
)) dl+c
c= lim
r→∞u
となる。外部ディリクレ問題はケルビン変換によって内部ディリクレ問題に変換される。
例えば原点を中心とする半径aの球の表面において
∂ϕ
∂n= 0
を満たし、無限遠でUを定数として
ϕ→U x を満たす調和関数を求めると極座標表示で
∂ϕ
∂r|r=a= 0 ϕ=U rcosθ (r→ ∞) となるので
ϕ=U x+ψ=U rcosθ+ψ を導入するとψは次を満たす。
∂ψ
∂r|r=a =−Ucosθ ψ→0 (r→ ∞) 極座標でのラプラス方程式はr > aとして
∇2ψ=∂2ψ
∂r2 +2 r
∂ψ
∂r + 1 r2sinθ
∂
∂θ (
sinθ∂ψ
∂θ )
= 0 となる。次のように変数分離をして
ψ(r, θ) =f(r) cosθ 代入すると
d2f dr2 +2
r df dr− 2
r2f = 0 df
dr|r=a=−U
ここでf(r) =rnとおくとn= 1,−2を得るが無限遠で0になるためにはn=−2となる。よって条件から f(r) = U a3
2r2 と決まるので
ψ(r, θ) = U 2
a3 r2cosθ を得る。これは2重極ポテンシャルである。よって
ϕ=U(r+ a3 2r2) cosθ
と決まる。これはx方向にUの一様な流れが半径aの剛体球に入射したときの非圧縮、非粘性の速度ポテン シャルである。