7 調和関数 [57]
7.4 等角写像
は変数(x, y)の1価連続な関数で例えばxのみの変分をとると
V(x+dx, y) =V(x, y) +
∫ x+dx x
(
−∂U
∂y )
dx (7.41)
とおける。これから
∂V
∂x = lim
dx→0
V(x+dx, y)−V(x, y) dx
= lim
dx→0
1 dx
∫ x+dx x
(
−∂U
∂y )
dx
= −∂U
∂y が成り立つ。同様にyのみの変分を考えれば
∂V
∂y = ∂U
∂x (7.42)
となる。この結果からDでRe[f(x)] =U(x, y)を満たす1価正則関数は
f(z) =U(x, y) +i
∫ Q(x,y) Q0
(∂U
∂xdy−∂U
∂ydx )
(7.43) となる。
である。領域Dにおいて正則であるためには、全微分可能である必要があり、これは式3.7のコーシー・リー マンの関係を満たすことであった。これから
f′(z) =∂f(z)
∂x =−i∂f(z)
∂y が成り立ち、
f′(z) =ux(x, y) +ivx(x, y) =vy(x, y)−iux(x, y) である。
さらに一般に複素関数を共役との対、F(z,z)¯ で表すと次の関係が成り立つから 2 ∂
∂z = ∂
∂x −i ∂
∂y, 2 ∂
∂z¯ = ∂
∂x +i ∂
∂y (7.45)
∂
∂x = ∂
∂z + ∂
∂z¯, ∂
∂y =i ( ∂
∂z − ∂
∂z¯ )
これから
f′(z) = ( ∂
∂z + ∂
∂z¯ )
F(z,z) =¯ ( ∂
∂z− ∂
∂z¯ )
F(z,z)¯ が成り立つことになる。従って正則である場合は常に
∂F(z,z)¯
∂z¯ = ∂f(z)
∂z¯ = 0 でありz¯=x−iyには依存しない、これから一般に
F(z,z) =¯ f(z) =F(x+iy) としてよいことになる。
また、正則関数f(z) =u(x, y) +iv(x, y)は2階偏微分関数で2次導関数も連続であるから 次のように偏微分の順番を変えてもよい。式3.7のコーシー・リーマンの関係から
∂2u
∂x2 = ∂2v
∂x∂y = ∂2v
∂y∂x =−∂2u
∂y2
∂2v
∂x2 =− ∂2u
∂x∂y =− ∂2u
∂y∂x =−∂2v
∂y2 である。これはラプラス演算子を用いて
△u= 0, △v= 0
が成り立つ。このuに対してvを共役調和関数(conjyugate harmonic function)という。
また、なめらかな曲線C :z(t) =x(t) +iy(t)がz0=z(t0)においてx軸となす角をθとし、次の変換でう つされるなめらかな曲線をΓとする。
Γ :w(t) =u(x(t), y(t)) +iv(x(t), y(t))
このΓがu軸となす角をϕとする。w=f(z)は等角写像であるから、曲線に依存しない角αを用いて ϕ=θ+α
と書き表すことができる。従ってtanθの加法定理から tan(θ+α) = tanα+ tanθ
1−tanθtanα = tanϕ (7.46)
であり、さらにtanϕが∆v/∆uに対応しているから共通したパラメタtのもとで dv
dt = dv dx
dx dt +dv
dy dy dt =dx
dt (dv
dx+dv dy
dy dt
dt dx
)
du dt =du
dx dx
dt +du dy
dy dt = dx
dt (du
dx+du dy
dy dt
dt dx
)
の関係を用いると
tanϕ = dv/dt du/dt|t=t0
= vx+vy( ˙y/x)˙ ux+uy( ˙y/x)˙ |t=t0
= vx+vytanθ ux+uytanθ 従ってz0=z(t0)で7.46と比較すれば
ux:uy:vx:vy = 1 :−tanα: tanα: 1 よってこれからもコーシーリーマンの関係式
ux = vy
−uy = vx
が得られたとになる。そこでリーマンの写像定理(Riemann)として
z平面の領域Dが単連結で、かつ少なくとも2つの境界点を持つならば、Dからω平面への単位円の 内部への1対1の単葉な等角写像ができる。すなわちこの等角写像を与えるDにおける正則関数 w=f(z)が存在する。
が成り立つ。リーマンの写像定理はz平面とw平面の領域の内店同士の対応関係を述べていいるが境界点どう しの関係は次のカラテオドリの定理で明らかになる。
z平面の領域Dが単連結Cで囲まれていて、この領域Dをw平面上の単位円に写像する正則関数 w=f(z)は閉領域D¯ =D∪Cで連続である。よって境界Cは単位円周上に1対1に連続で写像される。
7.4.2 具体的な例
例えば次の変換を考えよう。
w=f(z) = 1 z
これは前節でみたようにz平面上の単位円の内部(外部)の点をw平面の単位円の外部(内部)に移す変換 である。原点z= 0と、無限遠z=∞を除いて等角写像になる。
下図のように向きが反対になることにに注意する。
㻜㻚㻡 㻝 㼤 㼆 㼥
㻝 㻞 㼡 㼣 㼢
図7.6: 内側と外側の変換 次に一般化してべき乗
w=fn(z) =zn
を考える。例えばn= 2の場合はz=x+iyとw=u+ivを代入すると x2−y2=u, 2xy=v
という関係式を得られるからw平面ではu=Const, v=Const の直線へ写像される。
この時、z平面上の点はy=±x,またはy= 0, x= 0を漸近線とする直角双曲線になる。
また、x=a, y=bの直線はw平面上でv2= 4a2(a2−u), v2= 4b2(b2+u)へ写され、共に等角写像になっ ている。しかしdw/dz= 0となるz= 0は等角にならない。
n= 2の場合はz平面の2点をw平面の1点
x+iy,−x−iy→u+iv に写す2対1の写像である。
図 7.7: 左はu=±1, v=±1のz平面のグラフ。右はx=±1, y=±1のグラフ よって一般にnの場合も
z=fn−1(w) = √n w
はn価の関数になる。これらはリーマン葉に分岐させることで解析関数になる。
次に最も単純な指数関数
w=ez
を考えよう。z=x+iy平面上の横幅2πの無限個の横帯状の領域の各点 zn=x+iy+ 2inπ(n= 0,±1,±2,· · ·)
が
wn=ex+iy+2inπ=ex+iy に等角写像される。ただしw= 0で
dw
dz =ez=w= 0
だから、この点では等角写像にならない。逆関数は対数関数になり、
z= logw
である。例えばwの1つの値をρeiϕとした時、ez=wとなるz=x+iyを決める。
ex+iy =ρeiϕ
この時の偏角には2πの不定性があるから次のようにzのとりうる値は無限個あることになる。
zN =x+yN = logρ+i(ϕ+ 2N π) (N = 0,±1,±2,· · ·)
下図に見るようにw平面の1点がz平面上では無限個の横帯に相当する。対数関数は無限多価関数である。
㻞䃟
㼤 㼥
㼆
㻝 㼡
㼣 㼢
䃟 㻠䃟
図 7.8: w=ezではz空間の2πまでの負領域がw空間の単位円内部に写る。正領域は外部に写る