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8 Green 関数

8.7 周期的ポテンシャル

1次元自由粒子についてさらに周期的なポテンシャルが次のクローニッヒペニーのモデル(Kronig-Penny model) になる場合を考える。

V(x) =−V0

+

n=−∞

δ(x+na) ,(V0>0, nZ)

図 8.4: クローニッヒペニーのポテンシャル 0< x < aではV(x) = 0なので先と同様に波動関数の一般解はx⊂(0, a)として

ϕn(x) =Aeikx+Beikx (8.30)

ただしkは束縛状態E <0もあり得るので複素数であり k=

√2mE

2 (8.31)

である。また周期的な境界条件から

ϕn(x) =eiknaϕn(x−a) とおくことができた。。よってa < x <2aの範囲において解は

ϕn(x) =eikna (

Aeik(xa)+Beik(xa) )

(8.32) となる。境界条件から両側から

ϕn(a+0) =ϕn(a→ −0)

が成り立つのでシュレディンガー方程式を次の微小区間で積分するとデルタ関数の性質から

a+ϵ aϵ

dx [ℏ2

2m2ϕn−V(x)ϕn+n ]

= 0 ℏ2

2m∇ϕn|a+ϵaϵ+V0

a+ϵ aϵ

δ(x−a)ϕn(x)dx+E

a+ϵ aϵ

ϕn(x)dx= 0 ℏ2

2m(∇ϕn(a+0)− ∇ϕn(a→ −0)) +V0ϕn(a) + 2ϵEϕn(a)dx+O(ϵ2) = 0 ここでϵ→0の極限をとれば

∇ϕn(a+0)− ∇ϕn(a→ −0) + 2m

2V0ϕn(a) = 0 式8.6から

eiknaik(A+B)−ik(

Aeika−Beika) +2m

2V0(

Aeika+Beika)

= 0 (8.33)

を得る。さらに境界条件ϕn(x) =ϕn(x+a)を式8.6に使うと

Aeika+Beika−eikna(A+B) = 0 (8.34) が得られる。この2式からA, Bについての連立方程式は次のようになる。

(

eika−eikna eika−eikna

−ik(

eika−eikna)

+2m2V0eika ik(

eika−eikna)

+2m2V0eika ) (

A B

)

= 0

この行列に逆行列が存在するとA=B = 0となってしまうので解が存在する条件として行列式が0になれ ばよい。

従って

(eika−eikna) ( ik(

eika−eikna) +2m

2V0eika )

(

eika−eikna) (

−ik(

eika−eikna) +2m

2V0eika )

= 0

eiknaikeikna+ik(

12eikaeikna)

−eikna2m

2 V0eika eiknaikeikna+ik(

12eikaeikna)

+eikna2m

2V0eika = 0 よってeika+eika= 2 coska だから

2ik(

1 + 2eikna−eikna(

eika+eika))

+eikna2m ℏ2V0

(eika−eika)

= 0

2ik(

1 + 2eikna2eiknacoska)

+eikna2m

2 V02isinka= 0 両辺を4ikeiknaでわると

coskna= coska−am

2 V0sinka

ka = 0 (8.35)

を得る。左辺は実のコサインだから

coska−am

2V0sinka ka >1

となる実数解は存在しない。E <0の場合は地球に束縛された月のように束縛状態となるから

式8.31から改めて

k=iβ β =

√2m|E|2 >0 としてkは純虚数とする。そこで次の公式

cosix = coshx sinix = isinhx から式8.35は新たに次のように関数f(x)を定義すると

coskna=f(iβa)coshβa−amV02

sinhβa ka

となる。従ってこれは実数ならば下図左のように振動解になるが引数に虚数が入ると下図右のように急激に 増加する関数である。

5 5

1.0 0.5 0.5 1.0

2 1 0 1 2

0.5 1.0 1.5

図 8.5: cosx-sinxxのグラフ、右はx=ixの場合

従って必ず1と公差するところがあり、これより上の領域にはエネルギー固有値が存在しない。

これからエネルギー固有値の下限が次のように決まる。

|E|= β22

2m ≤β202 2m ≡E0 E ≥ −E0

この時

f(iβa) = 1 だから

k= 0 + 2nπ

となる。次に非束縛状態E >0の場合を考える。この時kは正の実数である。ただし、f(iβa)>1となる ようなkはとることができないからC=amV20 として式8.35は

cosx−Csinx

x = 1 (8.36)

を解くと半角の公式から

12 sin2x 2 −C

xsinx 2 cosx

2 = 1 sinx

2 (

sinx 2 +C

xcosx 2 )

= 0 従って

sinx

2 = 0, tanx 2 =−C

x (8.37)

となる。よって1つは

xn= 2nπ

でもう一つは次のグラフ左の交点になる。この解を∆(2nπ)とおくと xn= 2nπ∆(2nπ) となるがn→ ∞では∆0である。

642 2 4 6

42 2 4

642 2 4 6

321 1 2 3

図 8.6: tanx,x1のグラフ左、cotx,x1 のグラフ位右、交点が解 また、f(x) =1の場合も同様に

k=π+ 2nπ なので次の2つの解を持つ。

cosx

2 = 0, cotx 2 =−C

x 結局これは式8.36から次のグラフの1,1の内側の領域で解を持つ。

30 20 10 10 20 30

3 2 1 1

図8.7: 非束縛状態cosx-sinxxのグラフ

従ってnが小さい時、外側の領域では解をとることができない禁則帯が存在する。

このモデルはシュレディンガー方程式の自由粒子と無限ポテンシャルがある場合の解を両極限に持っている。

つまりポテンシャルV0を無限大にすると∆の幅が広がり、離散スペクトルになり、nが大きいところでは 自由粒子の解になる。

そこで式8.35の解を次のように連続的に足し合わせる関数をつくると。

f(x) = 1 xarccos

( N

n=0

cosnknx ka

)

このグラフは

1.0 0.5 0.5 1.0

10 5 5 10

図8.8: 不連続になったarccosxのグラフ、このグラフを切り貼りする これをy軸で反転させ、90度回転してつなぐと下図のようなエネルギー固有値が得られる。

-10 -5 0 5 10

20 40 60 80 100

図8.9: 不連続になったエネルギー固有値 エネルギー固有値に不連続な禁則帯が生じ、バンド構造が生れることがわかる。