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製品製造実績と別枠試験材の評価結果 以上の 50kg 小型試験材を用いた試験結果を元に、当社

ドキュメント内 技報65 (ページ 90-93)

高クロム耐熱鋳鋼 COST-CB2 の特性

3.  製品製造実績と別枠試験材の評価結果 以上の 50kg 小型試験材を用いた試験結果を元に、当社

図 9 COST-CB2 50kg 試験材の室温衝撃特性

図 10 COST-CB2 の溶接性評価試験後の 外観写真と断面 PT 試験結果 高クロム耐熱鋳鋼 COST-CB2 の特性

高 B 量の試験材 1 において、クリープ破断寿命が長か った原因は、B がクリープ変形時の組織の回復を抑制す る効果を有するためと推測される。例えば、阿部ら15)、東 ら16)や堀内ら17)は B が粒界近傍の M23C6の粗大化を抑制 し、粒界近傍での組織の回復を遅延させる働きを有してい ると報告しており、今回の試験結果も同様の現象が生じて いる可能性が高いと考えられる。一方、焼ならし温度の高 温化によって、析出物の固溶化の状況が変わる可能性があ る。例えば、B や N を含む高 Cr 鋼において熱間加工中や 高温熱処理中に粗大な BN が生成し、固溶 B 量が減少す ることが報告されている18)。よって、BN のような B を含有 する析出物の析出、固溶の状況が焼ならしの保持温度の 違いによって変化し、焼戻し時またはクリープ試験時にお ける組織の回復や析出物の成長を抑えるために必要な固溶 B 量も変化した可能性も考えらえる。今後、クリープ破断 試験途中での組織や析出物に関する調査を行い、クリープ 特性と成分、組織の関連性を評価していく予定である。

COST-CB2 の 50kg 試験材の室温での吸収エネルギーを 図 9 に示す。B 量の低い試験材 2 が若干吸収エネルギー が高い傾向にあったが、それほど大きな差は認められなか った。

COST-CB2 の溶接性評価試験後の外観写真と断面 PT 試験結果の一例を図 10 に示す。適切な溶接条件であれば PT 欠陥は観察されず、COST-CB2 は溶接施工上問題ない ことが確認できた。

以上のように、COST-CB2 の機械的特性は過去の報告

14)よりも強度レベルが若干低い傾向にはあったが、成分や 熱処理条件を最適化すれば欧州で報告されているものと同 等の材料特性が得られることがわかった。

3. 製品製造実績と別枠試験材の評価結果

図 11 COST-CB2 相当の成分を有する 中圧内部車室上下半の外観写真

図 12 COST-CB2 の 50kg 試験材、別枠試験材、

新 12Cr 鋳鋼13)の室温引張試験結果

注)COST-CB2 の試験結果は全て焼ならし温度 1130℃の 結果を示す

図 14 COST-CB2 の 50kg 試験材、別枠試験材、

新 12Cr 鋳鋼13)の室温衝撃特性

図 13 COST-CB2 の 50kg 試験材、別枠試験材、

新 12Cr 鋳鋼13)のクリープ破断試験結果の比較

表 4 COST-CB2 の代表的成分14)と別枠試験材の化学組成(mass%)

表 5 別枠試験材の熱処理条件

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高クロム耐熱鋳鋼 COST-CB2 の特性

高クロム耐熱鋳鋼 COST-CB2 の特性

4. 結  言

欧州で開発された高クロム耐熱鋳鋼 COST-CB2 の性能 評価を 50㎏小型鋳塊を用いて行った。また、同結果を元 に実機中圧内車の製造を行い、その特性を新 12Cr 鋳鋼と 比較した。以下に、結果を纏める。

(1)COST-CB2 は従来報告されている成分範囲であれば焼戻 しマルテンサイト単一組織が得られることが分かった。

(2)COST-CB2 の機械的性質に及ぼす B 量と焼ならし温度 の影響を調査した結果、B 量の増量、焼ならし温度の高 温化により、クリープ破断寿命を長寿命化できることが分 かった。

(3)クリープ破断試験後の試験片平行部では調質後と比較 して転位が減少し、サブグレイン化が進んでいた。一方、

試験片ネジ部では低 B 量の試験材においてラス幅が広 がっていた。

(4)COST-CB2 は適切な溶接条件を選択すれば溶接施工上 問題ないことが確認できた。

(5)COST-CB2 の実機製品を製造し、製品として問題ないレ ベルの機械的特性を有することが確認できた。

(6)同等の強度、室温衝撃特性で比較すると、過去に当社 が東芝殿と共同開発した新 12Cr 鋳鋼の方が COST-CB2 よりも優れたクリープ破断強度を有することが分かった。

以上のように、欧州で開発された COST-CB2 の製造条 件を最適化することにより、実機製品の製造に成功した。

今後も世の中からのニーズに応えながら、各種耐熱鋳造部 材の研究開発や製造を通じて、発電プラントの高効率化に 貢献していきたい。

参 考 文 献

1) 岩渕 , 村田 , 土原 : 日本製鋼所技報 , 43(1998),115 2) 岩渕 , 村田 , 山畔 , 山田,渡辺 : 鉄と鋼 , 76(1990),1060 3) 高橋,藤田:鉄と鋼,60(1974),1506

4) 藤田 , 山田,高橋:鉄と鋼 , 61(1975),357 5) 劉,藤田:鉄と鋼 , 73(1987), 1034 6) 劉,藤田:鉄と鋼 , 74 (1988), 513 7) 藤田:鉄と鋼 , 76(1990), 1053

8) 山田,渡辺 , 吉岡 , 宮崎:鉄と鋼 , 76(1990), 1084 9) 志賀,福井,桐原,金子,伊藤,菅井:鉄と鋼 , 76

(199 0), 1092

10) 沖野,宮本,山畔,津 村,津田,山田:鋳造 工学,  68(1996), 1119

11) 金子,中村,渡辺,田中,藤田:火力原子力発電 , 46

(1995), 968

12)Y.  Tsuda,  M.  Yamada,  R.  Ishii,  Y.  Tanaka,  T. 

Azuma,  Y.  Ikeda  :  Steel  Forgings  Second  Volume,  ASTM, 1259(1997), 267.

13) 沖野 , 田中 , 宮本 , 福田 , 山畔 , 津村 : 日本製鋼所技報 ,  54 (1998), 54

14) K. H. Mayer, H. Cerjak, T. U. Kerm, M. Staubli, D. V. 

Thornton: Int. Workshop on the Innovation Structural  Materials and Infrastructure in the 21 century, ULTRA  STEEL 2000, 11-14. Jan. 2000, Tsukuba, Japan. 

15) F. Abe : Int. J. Mat. Research, 99(2008), 387.

16) 東 ,  三木,田中 ,  石黒 : 鉄と鋼 , 88 (2002), 678.

17) T. Horiuchi, M. Igarashi and F. Abe : ISIJ int., 42(2002),  67.

18) 櫻谷,岡田,阿部 : 鉄と鋼 , 90 (2004), 819.

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