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製品・技術紹介

ドキュメント内 技報65 (ページ 115-118)

図 2 使用した MH 合金の PCT 特性 図 4 プロトタイプ MH タンクの水素放出特性 図 3 AB5 合金の繰返し耐久性試験結果

3. MH タンクの特性

製品・技術紹介

実機製造前に確認用の MH 容器を 1 本試作して水素吸放 出特性の確認を行なったところ、容器 1 本あたりの仕様とな る MH 容器 1 本あたり 94Nℓ /min の水素放出速度が仕様 貯蔵量の 90% に相当する 27Nm3以上の水素放出量まで維 持できない結果となった。このため、① MH 合金の平衡水 素圧をわずかに上昇させる、②容器内の圧力損失低減のた めに通気材の構造・配置を見直す、③伝熱促進のための Al プレートの挿入間隔を小さくするなどの改善を施し、容器 2 本を内蔵する MH タンクプロトタイプの製造を行なった。最 終的に使用した MH 合金の PCT 特性を図 2 に示す。典型 的な AB5 型合金であるが、成分調整により平衡圧の調整 やプラトーの平坦化を行うことで 30℃における 1MPa 吸収、

0.1MPa 放出時の水素移動量が 150Ncc/g となり、AB5 合 金の水素吸蔵能力をフルに発揮できる特性が得られた。こ の合金系の水素吸放出の繰返しサイクル耐久性は、過去の データより図 3 のように 5,000 サイクル以上を確保できること が確認できている。プロトタイプ MH タンクにて水素吸収、

放出特性確認試験を行なった結果、実質水素吸放出量は 74 Nm3に達し、所定の水素吸収速度にて 61.4Nm3の水素 吸収と所定の水素放出速度にて 62.3Nm3の水素放出が実現 でき、仕様貯蔵量の 90% 以上を満足した。水素放出時の 熱媒体温度、MH 合金温度、水素放出速度、および MH タンク内圧の経時変化を図 4 に示す。水素放出反応は吸熱 反応であるため、水冷ジャケットに流す熱媒体の温度は入口 よりも出口側で約 3℃低くなり、水素放出工程の間、ほぼ一 定の値を示した。水素放出の継続とともに MH 合金の温度 は徐々に低下するが、10℃以上の温度が保てれば所定の水 素放出速度を維持できることがわかる。

プロトタイプタンクによる水素吸放出試験の様子を写真 1 に示す。実機では MH 容器を断熱材で覆うとともに MH タ ンク内の水素圧力を目視で確認するための圧力ゲージ、水素 吸放出を確認・制御するための水素ガス系圧力トランスミッ ター、合金層温度測定用熱電対(2 ヶ所)、および水素ガス 配管と媒体配管に安全弁の取り付けを行い、媒体系配管に は更に圧力トランスミッターと測温用熱電対の取り付けポー トを設置する機器構成となる。最終製品の外観を写真 2 に 示す。この MH タンクを 19 基用いることにより、100kg 以上

(実質 125kg)の水素を低圧で安全に貯蔵可能なシステムを 構築できた。この貯蔵水素を用いて燃料電池で発電できる 量は、約 100kWh(実質 125kWh)の発電量に相当する。

写真 1 プロトタイプ MH タンクによる水素吸放出試験

写真 2 製品 MH タンク外観

4. おわりに

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日本国内では風力発電エネルギーの賦存量は北海道、

東北に局在しており、北海道では系統を安定に保つために 許容される太陽光、風力発電の接続容量を既にオーバーし ている。この解決のために、

・変電所への大型蓄電池の設置

・系統線の強化

・北本連絡線の強化

などの対策が採られつつあるが、系統に接続できない風 力エネルギーは地産地消が求められ、地域の電力需要と 合致させる必要がある。大型の蓄電池による電力貯蔵も一 つの手段ではあるが、現状では蓄電池がまだ高価なため、

余剰電力を水電解装置に導き、得られる水素でエネルギー 貯蔵を行う需要は今後増大していくと考えられる。

今回製造した水素貯蔵システムはこれまでの MH タンク の実績の中では最大量の水素貯蔵量であり、再生可能エネ ルギーを低圧で安全に貯蔵可能な手法として各方面に PR するとともに、さまざまな顧客要求に適合した水素吸放出 特性を達成すべく技術開発を進めていきたい。

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