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第4章 本件埋立対象地の有する価値と埋立てによる損失

1 自然環境への悪影響

89 1)自然を活用した交流の支援

2)地域の生活支援とコミュニティー環境の整備 3)金融・情報通信国際都市構想の推進

4)農水産業を中心とする産業基盤の育成

その基本方針に基づき、具体的な事業としては、二見以北地域の 活性化に向けて、その拠点である「わんさか大浦パーク」を中心に、

「やんばる風景花街道」や「大浦マングローブ林自然体験施設整備」、

旧嘉陽小学校跡地を利用したウミガメの幼体飼育・観察や回遊調査 を行う調査施設の整備等、自然を活用した取組が実施されている。

(7) 名護市土地利用調整基本計画

当該事業実施区域周辺は、名護市土地利用調整基本計画(平成 18 年8月)において、北部振興の一翼を担う地域として、教育・研究 や情報・通信・金融業務、産業・交流、医療・福祉機能等や生活基 盤の充実により地域の都市機能の強化を図る地域として周辺の優れ た自然環境に留意した名護市の「副都心」として位置付けられてい る。

第2 本件埋立のもたらす環境破壊等の懸念

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てにより消失する海草藻場については移植をすることで対応すると している。

しかし、そもそも、補正評価書に書かれている海草藻場への評価 は、海草の種ごとの特性の考慮や、被度が低い海草藻場に対する評 価がされていないなど、亜熱帯の海草藻場に関する専門的知見が反 映されていない。そのうえさらに、補正評価書では、中城港湾(泡 瀬地区)の事例をあげ、海草移植があたかも成功したかのように書 かれているが、中城港湾の事例では、機械移植と手植移植のいずれ も失敗に終ったことは明白である。

また、補正評価書で 海草移植 候補 地とさ れている豊原沖、久 志 沖は、海草移植候補地としてふさわしくないとの調査結果もある。

以上のとおりである から、海 草藻 場の移 植の実効性は 何らの担 保もない ものと言 わざるを得ず 、埋立 てにより、広大な海草藻場 が消失す る可能性 は高く、この ことは、すなわち、辺野古・大浦 湾に現存する生物の生存の危機に直結するものである。

(2) ジュゴンへの影響

沖縄ジュゴンは、日本哺乳類学会によって、IUCN 基準上の「近 絶滅種」(近い将来に高い確率で野生では絶滅に至る危機にある種)

に相当する「絶滅危惧種」に指定されている。また、水産庁の「日 本の希少な野生生物に関するデータブック」でも、同じく「絶滅危 惧種」に指定されており、保全の必要性が極めて高い生物である。

沖縄防衛局は、補 正評価書にお いて 、「ジュゴンは辺野古・大浦 湾を利用していない。したがって、辺野古での基地建設とその運用 はジュゴンの存続にあまり影響しない。」と結論づける。

しかし、沖縄防衛局は、平成 24 年、大がかりな事前調査で辺野 古・大浦湾の海を掻き回し、ジュゴンを追い出した上で調査を行っ

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ており、辺野古新基地建設予定地でジュゴンの食み跡を確認してい たにもかかわらずその情報を公開しない等、調査結果自体が極めて 信ぴょう性を欠くと言わざるを得ない。

加えて、補正評価書におけるジュゴンの個体群等の評価は、科学 的に正しい評価とは言えない。すなわち、沖縄防衛局は、個体群及 び個体群存続可能性分析(PVA)を行っているが、ここで用いられ ているジュゴンの繁殖率等に関する数値は、沖縄ジュゴン個体群に そのまま適用できるものではない。分析に用いられている環境収容 力についても、生息地を「沖縄島周辺」と「先島諸島を含めた沖縄 県全体」の2ケースを想定し、その広範囲にしめる海草藻場面積と 消失面積の割合を示す等して評価が行われている。しかし、特に近 年において、ジュゴンやジュゴンの食み跡が確認されているところ は沖縄島北部の沿岸であるから、実際のジュゴン生息域よりも広い 範囲で行われた評価については、実態に即した定量的な予測・評価 とはいえない。

以上のとおり、沖縄防衛局によるジュゴンに関する評価は、何ら 科学的な裏付けがない。前述の海草藻場の移植につき何ら実効性が ないことを合わせ考えれば、辺野古新基地建設のための埋立ては、

辺野古・大浦湾の海草藻場を餌場とする沖縄ジュゴンの生存に大き な影響を与えることは想像に難くない。

(3) ウミガメへの影響

沖縄近海で生息が確認されているアカウミガメやアオウミガメは、

ワシントン条約において、最も厳しく規制される附属書Ⅰに属し、

国際希少野生動植物とされている。

沖縄防衛局は、「ウミガメ類の上陸適性に関する既往知見を基にす れば、キャンプ・シュワブ海浜は、灯火・照明の存在や人の活動等

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の環境条件からウミガメ類の上陸・産卵等に好適な場所とは言えな いと整理される。」としつつも、埋立によりウミガメ類が上陸・産卵 する海浜の一部が消失するとの予測に対しては、消失の代償として、

他の海浜でウミガメ類の上陸・産卵に良好な環境整備を行う等の環 境保全措置を検討しているとする。

しかし、ウミガメに関しては、平成 19 年度からの5年間の調査 のうち、キャンプ・シュワブの地形改変地域において、平成 20 年 度からの4年間は連続して上陸し、そのうち平成 20 年度からの3 年間は産卵し、平成20年度と平成21年度は孵化が記録されている。

また上陸数も、安部からバン崎に次いでキャンプ・シュワブの砂浜 が多い。さらに、メディアの情報開示請求により、ウミガメがこの 海域を利用していることが、より一層明らかとなった。これらの結 果から、ウミガメは、たしかに、キャンプ・シュワブの砂浜を利用 しているということがわかる。

沖縄防衛局が提案している砂浜整備箇所(案)の周辺の砂浜は、

辺野古弾薬庫付近のポケットビーチにおいて砂浜の地形が変化する ことが予測されている場所でもあるが、適地としての砂浜をどのよ うに整備し維持するのか、その具体的な方法が示されておらず、当 該環境保全措置の効果の程度は極めて不明である。

また、ウミガメ類は、内湾の砂浜よりも外面に面した砂浜をよく 利用するが、砂浜整備箇所(案)の場所は、辺野古新基地予定地の 奥に位置している。騒音の発生に係る予測結果においても、忌避す る可能性当該箇所へ到達するためには騒音レベルの高い飛行場周辺 の海域を通過する必要があることから、影響が生じる可能性がある としている。そのため、当該箇所は、辺野古新基地建設の工事並び に供用に伴う騒音及び照明並びに工事関係船舶及び米軍関係船舶の

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航行などの影響により、ウミガメ類が近づきにくい場所であると考 えられ、この点からも、環境保全措置の効果の程度は極めて疑わし い。

以上のとおり、本件埋立により、ウミガメ類が利用していた砂浜 は消失するが、この事態に対し、沖縄防衛局は、新たに砂浜の整備 案を提示するものの、当該整備案には何ら具体性がなく実効性が乏 しいと言わざるを得ず、これまでウミガメが利用していた砂浜の代 替となりうるとは到底考えられない。

(4) サンゴ類への影響

サンゴは、二酸化炭素を吸収して酸素を供給するほか、炭水化物 やタンパク質などの有機物を作り出しており、それが小さな生物た ちの栄養分になり、彼らの最適な住処となる。

辺野古沿岸域の礁斜面及び大浦湾には、造礁サンゴが分布するサ ンゴ礁地形が発達している。特に大浦湾には、浜から礁斜面までい くつも切れ込みと高まりが繰り返す地形になっており、その高まり の上に多くの種類からなるサンゴ群集等が発達し、多様な生物の種 の保存に貢献している。

沖縄防衛局は、「埋 立区域内に 生息するサンゴ類について、避難 措置として適切な場所に移植をおこないます。サンゴの移植は、技 術が十分に確立、評価されたものではありませんので、完全な代償 措置には至りませんが、これまでに得られた現地調査結果の情報や、

沖縄県のサンゴ移植マニュアル等の既往資料の情報を踏まえながら、

環境が類似し、同様なサンゴ種が生息するとともに、移植先のサン ゴ群生への影響が少ないと予測される場所を選定し、最も適切と考 えられる手法による移植を行います。」とする。

しかし、沖縄防衛局は、日本に生息する 400 種以上のサンゴを識

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別しておらず、評価書では、「サンゴ」とひとくくりに扱っていると ころ、移植技術の導入方法の検討箇所についても当該姿勢は変わら ない。改変区域のサンゴ類を一度に移植してうまくいかなかった場 合、その時点で埋立工事は進行しているため、再度の移植は困難と なることが考えられるが、そうした点まで考慮されていない。

サンゴ移植は、現時点において、確立した技術ではなく、不確実 性が高い。日本サンゴ礁学会サンゴ礁保全委員会が公表した「造礁 サンゴ移植の現状と課題(2008)」にもサンゴ移植がサンゴ礁の保全 や再生にどの程度寄与するか不明であると記されている。したがっ て、そもそも、移植技術は、サンゴ類の保全措置として取り上げら れるような状況にはない。

以上のとおり、サンゴの移植技術は、不確実性が高く、大浦湾に 発達するサンゴ礁地形が消失する可能性は高いといえる。

(5) 外来種の侵入

公有水面埋立ての認可において、外来種侵入の可能性の検討の観 点からは、使用する埋立土砂の採取地及び埋立地の双方における環 境保全措置が適切なものであると確信できることが必要不可欠の条 件といえる。にもかかわらず、環境影響評価の時点では、事業実施 に必要な埋立土砂の調達先の詳細が記載されておらず、公有水面埋 立承認願書にてその詳細が明らかにされた。

辺野古・大浦湾の生物多様性豊かな海は、やんばるの森とともに 世界自然遺産の登録候補地であるが、外来種の移入阻止に向けあら ゆる努力を払うことが登録の必須の条件となっている。しかし、沖 縄防衛局による本件埋立承認出願においては、「外来生物法に準拠し た対策を講ずる」とするのみである。埋立土砂調達場所周辺域の動 植物が外来種となる可能性があるか確認する調査の実施者、実施時