第5章 公有水面埋立法の要件判断の誤り(本件埋立承認の瑕疵)
3 生態系について(環境保全図書6. 19 生態系【4分冊中の4】)
⑴ 環境保全施策との整合性
事業実施区域一帯は、特異的な生物群と希少種が分布する貴重な 生態系を保持している。
国が、このような極めて重要な自然環境を有する辺野古崎・大浦 湾を事業実施区域とするためには、本件事業の必要性、国内におい てこの地域を選定して事業を実施することの必要性・適切性、仮に
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事業を実施する場合の環境保全策の内容・実効性等、環境保全施策 との整合性について、具体的に明らかにされなければならない。
しかしながら、審査請求人・執行停止申立人は、最終的に、「事業 者として実行可能な範囲で 最大限の環境保全措置を講じることとして いることからも,県の環境保全施 策との整合性については適切に評価し ているものと考えています。」と述べるのみである。
以上から、審査請求人・執行停止申立人は、環境保全施策との整合性、
すなわち、厳格な保護を図るべき地域として、現に種々の環境保全施策 の対象とされている辺野古崎・大浦湾地区を事業実施区域とすることに ついて、何ら具体的な検討を行っていないと言わざるを得ない。
⑵ 事業計画の規模
辺野古崎・大浦湾が、貴重な生態系を保持する重要な環境保全 地域であることに照らせば、仮に事業を実施するにしても、可能 な限りの環境への配慮を行うため、当然、埋立面積は、必要最小 限にとどめられるべきでる。
そして、審査請求人・執行停止申立人としては、埋立面積等の 事業計画の規模について、対象地域の自然環境の価値の重要性に 照らし、必要最小限であることを、具体的な根拠とともに示さな ければならないはずである。
しかしながら、上記環境保全施策との整合性の箇所で述べたと 同様、この点についても、何ら具体的な回答はなかった。
⑶ 辺野古地域と大浦湾の価値、特徴の評価
事業実施区域の価値を適切に評価するためには、自ずと、他の海域 との比較を行うことが検討されてしかるべきである。他の海域と比較 して初めて、当該地域の固有の生態系の特徴や価値の評価が明らかに なるといえるからである。
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しかしながら、審査請求人・執行停止申立人は、このような他の海 域との比較等は一切行っていない。評価として記載された内容は、単 に、現地調査結果を列挙したものにすぎず、「評価」とはいえない。
したがって、辺野古崎・大浦湾地域の生態系の特徴・価値が、適切に 把握されたとはいえない。
⑷ 審査請求人・執行停止申立人の生態系の評価の問題点
審査請求人・執行停止申立人による評価は、いずれも定性的評価 であって定量的評価ではない。全て定性的評価で良しとするのであ れば、審査請求人・執行停止申立人の希望的観測を示した評価に終 始し、何ら客観的かつ具体的な評価が示されないこととなり、およ そ評価自体を行う意味が損なわれるといっても過言ではない。
また、生物相互間のつながり・影響についての考慮が不十分・不 適切である。審査請求人・執行停止申立人においては、各生物に対 する調査・評価だけでは不十分であり、生態系相互のつながりにつ いての調査・評価が不可欠であるにもかかわらず、審査請求人・執 行停止申立人による生態系についての評価は、この視点を欠いてお り極めて不十分な内容であった。
4 海草について(環境保全図書6.15 海藻藻類【4分冊 中の3】)
⑴ 消失する海草藻場に対する評価
海草藻場が、多種多様な生物の餌場となっていることから、広大 な範囲で海草藻場が消失することにより、そうした生物へ甚大な影 響を与えることは想像に難くない。しかしながら、この点について の審査請求人・執行停止申立人の予測・評価は、極めて具体性を欠 いており、明らかに誤った記載も見られる。
⑵ 消失する海草藻場についての代償措置
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事業対象区域に、広く海草藻場が分布していることは、審査請 求人・執行停止申立人の調査結果にも記されており、事業の実施 によって、広範囲の海草藻場が消失することは明白である。多種 の生物の生息の基盤となる海草藻場の重要性に鑑みれば、具体的 かつ実効性のある代償措置が示されなければならない。
しかしながら、審査請求人・執行停止申立人により示された代 償措置の内容は、何ら具体的ではなく、その実効性も不明である。
⑶ 地形変化による周辺海域の海草藻場への影響
事業実施区域の埋立によって、局所的な塩分低下が予測され、
海草に対しての影響が生じることが予想される。この点について も、審査請求人・執行停止申立人により何ら具体的な予測はなさ れなかった。
⑷ 工事による影響
工事の実施に伴う水の濁り及び堆積により、海草藻類の生育環境 に影響を与えることが予測されることから、この点についての評価 及び具体的な環境保全措置が明らかにされる必要がある。
しかしながら、この点についても、審査請求人・執行停止申立人 の回答は、何ら具体性がなく、実効性も明らかでなかった。