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第5章 公有水面埋立法の要件判断の誤り(本件埋立承認の瑕疵)

3 本件事業の性質

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頁も核燃料物質及び原子炉規制に関する法律,電気事業法による審 査が予定されていることを挙げ、更には、熊本地判昭和 63 年7月 7日判決判タ 678 号 82 頁も同様に発電所稼働後は電気事業法,公 害規制諸法等による審査が予定されていることを挙げている。)。

しかしながら、本件埋立は、普天間飛行場の代替施設として供用 されることが予定されているところ、判例は、米軍機の運航に関し て、日本国の民事裁判権が及ばず、国によっても、それを規制・制 限する権限を有しないとされている(最判平成5年2月 25 日判決民 集 47 巻2号 643 頁 【厚木基地訴訟最高裁判決】等)。

したがって、事後的な許認可や業法的規制、あるいは公物管理法 令によって、上物の稼働状況の適正さを確保するための手段を採る ことが困難である以上、なおさら、基地供用後の環境への被害を食 い止めるための方策は承認審査段階においてより慎重かつ厳格な検 討を要するものである。

4 小括

「港湾行政の概要」(6-57 頁)においては「埋立地の利用,いわ ゆる本来の 用途に従って設置される上 物等に対する規制については,

(中略)埋立法においても第1号,第3号等により必要なチェックを 行うものとしている」とされている。

公有水面埋立法4条1項1号は「国土利用上適正且合理的ナルコト」

を公有水面埋立免許ないし承認の要件としており,これは、埋立の必 要性と自然の保全の重要性,埋立及び埋立後の土地利用が周囲の自然 環境に及ぼす影響の比較衡量を意味する(高松高裁平成6年6月 24 日判決 判タ 851 号 80頁)。そして、埋立後に何に土地利用するかに よって,埋立の必要性は異なりうる以上、当該要件との関係において 供用後の環境への影響は当然に審査されるべきである。

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この点、申立人自身も申立書において上記判決を引用し、「埋立て後 の土地利用が周囲の自然環境に及ぼす影響等」が比較衡量の判断要素 となるものとしており、埋立後の土地利用が審査対象となることを認 めている。

また、改正公有水面埋立法4条1項2号が、環境に対し「十分配慮」

することを要求し、環境保全図書が,「埋立て及び埋立地の用途に関す る環境影響評価に関する資料を含む環境保全措置を記載した図書であ ること」とされ(前掲共同通知)、他方、環境影響評価法においても、

基地供用後の影響を評価し、その評価書や知事意見に基づいて免許等 に関する判断を行うことが要求されていることに鑑みれば、改正公水 法は,埋め立てとその後の土地利用を一体のものとして,総合的に「環 境保全」につき十分配慮されたものであるか否かを審査すべきことを 求めているというべきである(牛山積編『大系 環境・公害判例 第7 巻 自然保護,埋立,景観,文化財』80 頁はその様な解釈の可能性を 指摘する)。

特に、本件の場合、事後的な許認可、あるいは公物管理法令等によ る統制が不可能であることをも踏まえればなおのこと上記解釈が妥当 する。

以上から、本件承認審査における基地供用後の影響に関する「必要 なチェック」とは、具体的な基地の運用との関係において、環境に対 して「十分配慮」したものと認められるかどうかという観点から判断 すべきであり、その様に認められないにもかかわらずされた承認は瑕 疵ある承認というべきである。

第3 1号要件について 1 はじめに

(1) 公有水面埋立法の第4条 1 項(同法第 42 条3項で承認に準用)

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は、その柱書において「都道府県知事ハ埋立ノ免許ノ出願左ノ各号 ニ適合スト認ムル場合ヲ除クノ外埋立ノ免許ヲ為スコトヲ得ズ」と し、第1号は「国土利用上適正且合理的ナルコト」と定めている(以 下、「1号要件」という。)。

この「国土利用上適正且合理的ナルコト」とは、埋立てにより生 ずる利益と埋立てにより失われる利益(生ずる不利益)とを比較衡 量し、前者が後者を優越することを意味するものであり、これは総 合的判断として行われなければならないことを意味するものと解さ れる。

(2) 埋立てにより生ずる利益とは、埋立必要理由書記載の埋立必要理

由にほかならないものと解される。すなわち、「埋立ての必要性」と いう審査事項は、「規範的(不確定)要件の判断をより透明化するた め、この1号要件の法定外判断要素として『埋立ての必要性』(『埋 立必要理由書』)が実務上」設定されているものと解される(阿波連 正一「公有水面埋立法と土地所有権―都道府県知事の埋立て承認の 法的性質論―」289 頁)。

本件埋立承認出願は、海兵隊航空基地の建設を目的とするもので あり、海兵隊航空基地新設の動機は普天間飛行場の返還にあるとさ れる。

普天間飛行場が返還されるべきことは当然であるが、普天間飛行 場を返還する必要があるということと、本件埋立対象地に海兵隊航 空基地を新設することとは、次元の異なる問題であり、普天間飛行 場の返還の必要性からただちに本件埋立対象地への海兵隊航空基地 新設の必要性が導かれるものではない。あくまで検討の対象となる のは、本件埋立対象地における海兵隊航空基地新設の必要性である。

そして、埋立必要理由書は、本件埋立対象地への海兵隊航空基地新

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設が必要な理由について、普天間飛行場の国外、県外への移設が適 切ではないが、沖縄県内への移設先は辺野古以外にはなく、本件埋 立対象地への海兵隊新基地建設が、普天間飛行場返還のための唯一 の選択肢であるとしており、この理由の当否こそが、本件における 検討対象である。

しかし、その根拠については、埋立必要理由書は抽象的なマジッ ク・ワードを羅列するだけで、具体的な根拠を何ら示していない。

普天間飛行場代替施設を県内に移設しなければならないとする理由、

すなわち、抑止力・軍事的プレゼンスが許容できない程度に低下す ること、地理的に優位であることや一体的運用の必要性などについ て、なんら具体的・実証的説明はなく、埋立必要理由書の記載をも って埋立必要理由を認めることはできないものである。

(3) 他方、本件埋立対象地は、自然環境的観点から極めて貴重な価値 を有する地域であって、いったん埋立てが実施されると現況の自然 への回復がほぼ不可能である。また、今後本件埋立対象地に普天間 飛行場代替施設が建設された場合、騒音被害の増大は住民の生活や 健康に大きな被害を与えるものである。

また、本件埋立は、全国の在日米軍専用施設の 73.8パーセントを 抱え、基地負担についての著しい格差により、70 年余にわたって過 重な負担を強いられてきた沖縄県に、沖縄の民意に反して、将来に わたって米軍基地の固定化するものにほかならない。

貴重な自然環境を破壊し、騒音被害等により生活環境を悪化させ、

沖縄の過重な基地負担を将来にわたって固定化するという不利益に は、重大なものがある。

(4) 以上を総合的に衡量すれば、「国土利用上適正且合理的ナルコト」

という公有水面埋立法第4条第1項第1号の要件を満たしていない

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以下、2項において、上記をさらに敷衍して説明する。