第2章 学校教育における環境学習カリキュラムの位置づけ
第3節 総合的学習における環境学習
第2章学校教育における環境学習カリキュラムの位置づけ
び方の「技能」の育成に重点が置かれていることがわかる。
それでは,鶏の学習灘どのように蹴ているのだ鵬「B配照0㎜」
では,全校生は学年の枠を取り払い,テーマごとの分科会にわかれて学習している。そし て,さらに分科会の中で,学習テーマごとのグループを編成するという学習形態をとる。
学習計画の概略は【表2・2・1】の通りである。
【表2・3・1】「BIWAKO TIME」の学習計画(全23時間)
①全体ガイダンス(1時間)
*希望分科会の希望調査・決定
②分科会別オリエンテーション(2時間)
*分科会別基礎学習 *学習グループの編成 *学習テーマの決定
③学習計画立案(1時間)
④グループ交流会(2時間)
*学習の展望や疑問点を交流しあう *地元の専門家の助言
⑤調査研究活動(10時間)
⑥分科会別発表会(4時間)
*分科会別発表準備
*分科会別は発表会での発表と他の分科会別発表会への参加
⑦パネル・ディスカッション・まとめ(2時間)
文部省『特色ある教育活動の展開のための実践事例集一「総合的な学習の時間」の学習活動の展開・一(中学校・高等学 校編)』大日本図書2000,p.88より一部改変し転載ゴ
開設される分科会は合計12あり,「B㎜0を見つめる」「B皿A:KOから広げる」の 2領域,「自然と環境」「くらしと文化」「郷土の課題・世界の課題」の3分野によって設定
されている。開設された分科会とグルーフ別学習テーマ例を【表2・2・2】に示す。
【表2・3・2】「B㎜AKO TIME」の開設分科会とグルーフ別学習テーマ例 分野/領域 BIWAKOを見つめる分科会 B㎜AKOから広げる分科会
自然と環境 1,滋賀の自然 7.湖を持つ世界の国々の自然
・琵琶湖固有種の環境と生態 E外来種の生態と歴史 E滋賀の水鳥〜生態に迫る〜
・世界の湖と琵琶湖〜自然・生活〜
E湖の未来と環境を守る人々 E世界の湖の文化や産業 2.事態調査相模割 8.実態調査GLOBE
・ポイント別の透明度を調べよう E相模川の昔と今〜パックテスト
ナ調査〜
Eホタルが住める環境
・同じ緯度による気温の違い
E温暖化〜50年後の気候を考えよう〜
E砂漠化と植生の関係 3.びわ湖の今を生きる人々 9.湖と暮らす世界の人々 くらしと文
サ
・琵琶湖の環境を守る人々 E文化財を守る人々 E伝統工芸を守る人々・世界の湖の特産物〜鮒ずしと比べて〜
E世界の湖の名所と見所 E世界の漁業と琵琶湖の漁業 4.びわ湖に息づく伝統と文化 10.世界のさまざまな文化
・信楽焼きの過去と現在 Eみたらし団子の隠されたなぞ E唐橋焼の職人技にせまる
・世界の結婚式〜愛ってなんだろう〜
E世界の民族衣装 E世界の料理大調査 郷土の課題
「界の課題
5.びわ湖の今,そして未来 11.国際化する社会の中の私たち
・開発とその問題薫 Eなぎさ公園の開発
E埋め立て地の利用と問題点
・世界の習慣〜衣・食・住〜
E世界の宗教と生活文化の違い
ELeゼs oome in oonta(北with七he world
6,歴史の中の近江と滋賀の未来 12.地球が抱える諸問題
・近江商人の生き方と今への影響 E近江の戦乱と今の遺跡
E東海道と湖上輸送,そして滋賀 フ未来交通
・地球の温暖化〜その原因,影響,対策
̀・森林の濫伐そして砂漠化 E飢餓に苦しむ子どもたち
文部省『特色ある教育活動の展開のための実践事忌蝶r一「総合的な学習の時間」の学習活動の展滞一(中学校・高等学 校編》』大日本図書2000,p.88より転載,
2、総合的学習でおこなう環境学習の特色
「BIWAKO TIME」の特色として次の点をあげることができる。
①子どもの興味と関心に応えるテーマ設定
・琵琶湖をテーマにしながらも,琵琶湖そのものを学習対象とするにとどまらず,琵
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琶湖を手がかりに発展させた学習が可能になっている。
②学び方を学ぶ学習
・調査研究活動に23時間中の10時間が割り当てられている。子どもが試行錯誤しな がら,自ら学んでいく時間が保障されている。
③実地調査・体験学習の重視
・調査研究調査では授業時間内,あるいは夏休みを利用した学校外での活動が活発で ある。地域の学習環境,人材も積極的に活用している。
④共同学習による学習の深化
・グループ学習が中心である。各グループは異学年で構成されているため,上級生は 過去の学習経験を深めることができ,下級生は上級生から調査や発表の方法を教わ ることができる。このように学習内容や方法が継承されるため,個人やグループの 学習が深化するだけでなく,学校全体として学習内容の年々のレベルアップが期待 できる。
⑤研究内容や方法の共有化
・学習活動は基本的にグループごとに,ひとつのテーマを掘り下げていくことになる。
研究成果を,全員で共有するために発表会,パネル・ディスカッションが学習の最 後に設定されている。
このように,rB㎜照0㎜」は,はじめに紹介した5りの学習のねらし・を十分に達 成した内容となっており,総合的学習の特性を生かした,すぐれた実践である。
総合的学習では,多角的,重層的な視点に立って,主体的な環境学習を展開することが できる。「環境問題」の概念が,単なる環境汚染や自然破壊を超えて理解されている現在,
広い視野に立って環境について学ぶことができるならば,環境教育にとって意義あること である。また,第1章第3節で取りあげたように,環境コミュニケーションが注目されて いる中,「学びあい」「情報の発信と共有」という総合的学習の学習形態は,環境コミュニ ケーションの実践ともいえる。
しかし,総合的学習で環境を扱えば理科や社会科(地歴科・公民科)などの教科での 扱いをしなくていいというものではない。教科と総合的学習とは,それぞれめざす目標が 異なるのである。岩田は社会科と総合的学習の媚llの重要性について,次のように述べて
いる3。
科学知の構造と体系性に沿って問題を組み立てていくのが,社会科の授業設計の基本である。それ に対して,体験知とかかわって個1生的に組み立てられていくのが総合的学習における問題である。
この問題設定の仕方の違いは,評価内容および評価方法にも反映してくる。到達目標との関係で評 価する社会科と方向目標との関係で成長過程として評価する総合的学習では大きく違っている。・
したがって,教科の学習と総合的学習,あるいは道徳や特別活動のそれぞれの特色と環 境学習で担う役割をふまえたうえで,各々の授業計画をおこなうことが必要である。
【註および参考文献】
1滋賀大学教育学部附属中学校の実践報告は多くなされている。本節では①を中心に,② ③の文献も参考にした。
①文部省『特色ある教育活動の展開のための実践事例集一聡合的な学習の時間」の 学習活動の展開一一(中学校・高等学校編)』大日本図書,2000,pp.87・91
②天野正輝『総合的学習のカリキュラム創造一教育課程研究入門一「』ミネルヴァ書房,
1999,pp.120・133
③佐島群巳『環覧教育入門総合的学習に生かす』国土社,1999,pp.55・61
2文部省『特色ある教育活動の展開のための実践事例集一「総合的な学習の時間」の学習 活動の展開一(中学校・高等学校編)』大日本図書,2000,pp.87・88
3岩田一彦『社会化固有の授業理論30の撰言総合的学習との関係を明確にする視点』
明治図書,2001,p.170
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