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第2章 学校教育における環境学習カリキュラムの位置づけ

第2節 特別活動における環境学習

 糊1」活動における環境教育の指導について『環境教育指導資料』では,特別活動の特質 が実践的な集団行動にあることを指摘したうえで,「このような経験が,広く環境保全に向 けて積極的に取り組む態度や環境問題の解決に必要な的確な判断と自分なりの意志決定が できる能力や態度を育てる基盤」としている1。本節では,特別活動における体験的な環 境学習の,学校教育全体での位置づけを検討する。

1.「森林と水のめぐみ」の実践2

 宮城県の上野目小学校の「森と水のめぐみ」の学習は,生活科,社会科,理科の教科を 中心に進められている。学年ごとに新しい単元を作り,それぞれの発達段階に合った「森 と水のめぐみ」の学習をおこなうとともに,教科以外の時間にも環境を見つめ,環境を守 る実践活動をおこなっている。本項では,その中の学校行事における実践を取り上げる。

上野目小学で,学校行事として実施された環境教育は3つある。遠足としておこなわれ た「森の話を聞こう」,勤労生産・奉仕的行事としておこなわれた「遊歩道に名前をつけよ

う」と「ゴミちゃんすくえ大会」である。その中で,「森の話を聞こう」と「遊歩道に名前 をつけよう」について学習活動の概要を示すと次の通りである。

①「森の話を聞こう」(遠足)

 上野目小学校で,林業の仕事の学習をしていることを知った地域の方の協力で,実際 に林業の仕事を見せてもらえることになり,遠足が計画された。子どもたちは,林業の 作業を昔の方法から今の方法まで説明してもらいながら,実際に鎌と草刈り機械での下 草刈り,なたとロボットでの枝打ち,鋸とチェーンソーでの伐採を見学している。次に あげるのは,5年生男子の感想の一部である3。

杉林に行ってみると,大きな杉がいっぱいあった。これが153年も生き続けた木だとか,不思議 に感じられてきた。木に登って枝を切っているところでは,よくこわくないなあと思ったり,手 を切らないのかなあなんていろいろ考えた。

②「遊歩道に名前をつけよう」二二生産・奉仕的活動)

 上野目小学校には,学校裏に「遊歩道」と呼んでいる自然観察に使っている山がある。

この遊歩道に,美化活動の」環として12か所に名前をつけて,名前を書いた立て札を 立てようという活動である。縦割りグループごとに,あらかじめ教師が目印を立ててお いた場所に実際に行って名前を考えた。子どもが考えた名前を教師が審査して立て札を 作り,名前を考えたグループの子どもらの手でその場所に立てられた。

 この日は雨であったが,日頃から「雨は雨なりに,風は風なりに」をモットーに活動 しているので,子どもたちも雨を楽しんでいたという。2年生の女子は次のような感想 を書いている4。

おくの方に行くと,道がだんだんグチャグチャになってきました。どろんこ道:です。もっとお くの方へ行って,やっと竹やぶのところにつきました。雨がはっぱにあたってさらさらきれい に落ちていきました。

2.特別活動でおこなう環境学習の特色

 まず,「森の話を聞こう」の場合,(おそらく5年生の)林業の仕事の学習と関連づけて 遠足が計画されている。林業の昔の方法と今の方法を見比べることで,子どもたちは昔の 山仕事の大変さや,現在使われている機械がいかに効率的であるかを実感をもって知るこ とができる。教室での林業の学習は,このような子どもたちに共通の体験と結びつくこと によって,学習効果はいっそう高まるであろう。また,5年生の男子の作文に「木に登っ て枝を切っているところでは,よくこわくないなあと思ったり,手を切らないのかなあな んていろいろ考えた」とあるように,作業三三へみずから足を運ぶことで,たとえ機械化 が進んだとしても,山仕事は今な声厳しい仕事であることが認識されている。

 「遊歩道に名前をつけよう」の場合,あいにくの天候にもかかわらず,学習活動は決行 されている。雨の日だからこそ体験できることもある5。グチャグチャのどろんこ道や,

雨粒が葉にあたってさらさら落ちていく様は,自分の五感全部を使って感じとるのと,言 語を通じて習い知るのとでは,感性の磨かれ方はまったく異なるであろう。上野目小学校 の学校行事における環境教育では,「楽しい体験」をめざしているので,この目の体験活動

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第2章学校教育における環境学習カリキュラムの位置づけ

の目標も,何かを学ぶことではなく,山歩きを全身で楽しむことにあったと推測される。

しかし,体験的活動それ自体は楽しむためのものであったとしても,活動場所は日頃から 生活科や理科の自然観察で使っている場所であり,これまで,あるいはこれからの教科に おける環境学習で意図的に生かしていくことが可能である。

 岩田は,「体験の欠乏は学習を不成立にする」,また「体験帽総合性を持っている」こと を指摘し,体験的活動を組み込んだ授業,体験・経験を生かした授業を提案している6。

特別活動でおこなわれる体験的活動は,直接には知識の獲得をめざしたものでないことが 多い。しかし,体験に裏付けられた豊かで,総合的な情報の存在によって,環境冬環境問 題についての概念や事象間の関係への認識は深まるであろう。

 このように,糊ll活動における環境学習は,楽しい体験活動を重視しながらも,学校の 教育活動全体,あるいは教科との連携を考慮した計画的な実施によって,いっそう効果的 な学習活動となろう。

【註および参考文献】

1文部省『環境教育指導資料(小学校編D』大蔵省印刷局,1992,p.46

2三浦勝幸,ふるさとの明日を考える子どもの育成,成田國英編著『小学校特別活動で進め  る環境教育』明治図書,1994

3三浦,前掲論文2,p.105 4三浦,前掲論文2,p.107

5自然界への探検について,レイテェル・カーソンも次のように述べている。(レイテェル・

 カーソン/上遠恵子訳『センス・オブ・ワンダー』新潮社,1996,p.10)

   わたしたち(レイテェルと甥のロジャー:筆者注)は,嵐の日も,穏やかな日も,夜も昼も探検に出    かけま洗それは,なにかを教えるためにではなく,いっしょに楽しむためなのです。

6岩田一彦『小学校社会科の授業分析』東京書籍,1993,pp.148・159