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第2章 学校教育における環境学習カリキュラムの位置づけ

第5節 学校設定科目における環境学習

第2章学校教育における環境学習カリキュラムの位置づけ

①子どもの体験不足にどのように対応するカ㌔

②グローバル化する環境問題や環境情報の氾濫など,環境に関わる現代的課題  にどのように対応できるカ㌔

 まず,①について。現在の子どもたちの体験不足を前提にすると,今後は掘り活動や総 合学習などにおける体験的な環境学習がいっそう増加してくるのではないか。たとえば,

次にあげる「第9回全国小学校・中学校環境教育賞」(主催日本児童教育振興財団)の応 募内容についてのデータからもそのことがうかがえる。

  【表2−5・1】「第9回全国小学校・中学校環境教育賞」の応募内容:

教科での取り組み(小学校)       教科での取り組み(中学校)

取り組んだ教科

割合 取り組んだ教科 畳数 割合

総合的な学習の時間 91 92.9% 理科 23 79.3%

理科 69 704 特別活動 19 65.5

社会 66 67.3 総合的な学習の時間 18 62.1

糊1括動 65 66.3 選択科目 17 58.6

生活 62 633

14 483

道徳 50 51.0 道徳 11 37.9

図画工作 44 44.9 国語 10 34.5

国語 43 43.9 美術 10 34.5

38 38.8 技術・家庭 9 31.0

クロスカリキュラム 24 24.5 保健体育 5 17.2

音楽 17 173 クロスカリキュラム 5 17.2

体育 10 102 数学 3 10.3

算数 9 9.2 音楽 3 10.3

聡合教育技術7月号増F腸子どもと楽しむ環境教育ガイド2001〜2002』小学館,2001,p。18より転載

 第9回全国小学校・中学校環境教育賞は2000年秋に締め切られ,小学校98校,中学校 29校,合計127校の応募があった。【表2・5・1】では応募各校の,学校全体での取り組 みを複数回答で集計したものである。この表から,小・中学校ともに総合的な学習の時間,

理科,特別活動,社会での取り組みが多いことがわかる。特に小学校では,98校申91校 において総合的な学習の取り組みがなされていることが目を引く。

他方,2002年からの週5日制の導入にともない,学校以外の場での環境教育もこれま

で以上に展開していくことが予想される。例えば,1995年に環境庁(当時)の呼びかけで スタートした「こどもエコクラブ」がある1。2000年度には、全国4,300クラブ、75,000 人の小・中学生が登録・活動している。このような体験的活動による環境学習は,社会教 育が得意とする分野といえよう。

 決して学校教育における体験的な活動を否定するものではない。しかし,体験重視のあ まり,学校教育でしか担えない環境学習のあり方が軽視されることを危惧する。それでは,

学校教育がもっぱら担うべきは,環境学習のどのような側面であろうカ㌔それは,環境と 環境問題についての「知識」ではないか。ここで,先に指摘した学校教育における環境教 育の課題の②との関連がでてくる。環境教育の必要性がはじめて国際二会で認知されたス トックホルム会議が開催されたのは1972年であった。その後の約30年間の問に,予想を 越えて環境問題は広域化,複雑化,複合化してきているし,今後もこの傾向は加速するで あろう。グローバル化する環境闘題や環境1青報の氾濫など,環境に関わる現代的課題に子 どもたち自身が取り組んでいくためには,環境冬環境問題についての「知識1の習得の場 を保障していくことこそが学校教育の役目ではないカ㌔

2.学校設定科目でおこなう環境学習の有効性

 本項では高校に限定して,環境学習を考えたい。

 まず高校生の体験不足についてである。高校段階では,小・中学校での環境教育の成果 として自主的な社会参加も期待できよう。高校生の年齢にもなれ1噺テ動範囲の広がりにと もない,地域やNGOなどでの社会的な活動に参加することも容易になろう。このように,

「態度の育成」や「参加」は,発達段階に比例して学校内から学校外の場へとシフトさせ ていき,社会での体験を増やすことが望まれるのではないか2。

 したがって,さまざまな環境冬環境問題についての情報が飛び交う現在,高校での環境 学習は,これらの環境情報を批判的に評価,認識できるような知識を習得する学習体制が 必要となってくる。

 その際,本章第4節でみたように,クロス・カリキュラムのように複数の教科の連携に よる学習は効果的である。しかし,1999(平成11)年版高等学校学習指導要領では,保 健体育を除き必履修科目が選択制になったため,教科・科目をクロスすること自体が困難 になってくる。このような規制緩和が高校で進展する中,各学校において,生徒や地域の

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第2章学校教育における環境学習カリキュラムの位置づけ

実態に即した教科・科目の設置が模索されている。これが,学校設定教科・科目である。学 校設定科目について,1999(平成11)年版高等学校学習指導要領には次のように記され ている3。

4 学校設定科目

学校においては,地域,学校及び生徒の実態,学科の特色等に応じ,特色ある教育課 程の編成に資するよう,上記2及び3の表に掲げる教科について,これらに属する科 目以外の科目似下「学校設定科目」という。)を設けることができる。この場合に おいて,学校設定科目の名称,目標,内容,単位数等については,その科目の属する 教科の目標に基づき,各学校の定めるところによるものとする。

 従来は,「他必要な教科・科目」とよばれ,その設置については当該の教育委員会の許可 が必要であったが,今後は学校独自で設定することができ,教育委員会へも届け出制に変 わった。このような制度の変化にともない,環境学習についても,何らかの科目を設置す ることが容易になる。独立した科目として設定することで,環境学習にしぼった学習目標 を掲げ,時には既存の教科・科目の境界を超えた学習も可能となる。

 これまでの分析の結果,次の点が明らかになった。

 環境問題がますますグローバル化・複雑化し,同時に環境情報が氾濫する時代にあって,

環境と環境問題に関する知識の習得は軽んじられるべきではない。しかし,既存の教科・

科目での取り組みには限界がある。

 そこで,本研究では,高校生を対象とした1年間の環境学習カリキュラムを,学校設定 科目という新しい科目として編成することを提案ずる。

 次章では,新たな環境学習カリキュラム設計に示唆を得るために,先行する環境学習カ リキュラムの分析をおこなう。

【註および参考文献】

1小中学生が数人から20人程度の仲間を集め,「サポーター」と呼ばれる大人を決めて,

 市区町村こどもエコクラブ事務局(市区町村の環境担当課)に申し込みをする。活動内 容は大きく2っある。「エコロジカルあくしょん」は、クラブが自主的に行う活動で、

 生き物調査、町のエコチェック、リサイクル活動など、環境に関することなら何でも「あ  くしょん」になる。「エコロジカルとれ一にんぐ」は、JECニュースで紹介されるもの

で、毎日の生活の中で地球や環境のことを楽しく考えるプログラムがある。

 こどもエコクラブのホームページh 〃www env o 面ds酒eooclubメeoodublclub l htm1 2インターンシップなどの体験的な学習は,学校教育の一環としてなされるものであるが,

 学習の場は,あくまで社会である。

31999(平成11)年版『高等学校学習指導要領』第1章総則第2款の4

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